明日から始めれる?誰にでもできるecoのススメ
配信日: 2020.03.07
今までに一度ももらったことがないという人はほとんどいないでしょう。今回は、身近なレジ袋にまつわるecoのススメをご紹介します。
執筆者:長崎元(ながさき はじめ)
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表
学校を卒業後、IT企業に就職。約15年勤めた後、行政書士として開業。前職で培ったITの技術と知識を活かし、効率的で、お客様にストレスのかからないサービスを提供している。主な取扱業務は、「許可の取得」や「補助金の申請」。
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2020年7月よりレジ袋は原則有料化へ
レジ袋はごみ袋としても利用することも多く、何かと使い勝手が良いことから、ついついレジ袋を受け取ってしまうというのはよくある光景ですが、最近は有料化が進んでいます。大手スーパーなどでは、1枚5円程度で販売しているお店も多くなりました。
一方、コンビニやドラッグストアでは、レジ袋の有料化はあまり進んでおらず、無料で配布しているお店が多いです。しかし2020年7月から、どのようなお店でもプラスチック製のレジ袋は、一部の例外を除いて“原則有料”となります。
ただし、以下の製品は今回の有料化からは除外されています。
【図1 有料化の例外となる袋】
バイオマスプラスチックとは、植物などの再生可能な資源を使っているプラスチックです。生分解性プラスチックは、微生物により完全に分解されるプラスチックです。いずれも後に残らない、地球環境にやさしいプラスチックです。
今回、これらを使ったレジ袋は有料化の例外とされているのですが、残念ながらレジ袋1枚当たりの価格においては一般的なプラスチック製のレジ袋のほうが安いため、これらを使っているお店は少なく、また、もし使っていたとしても有料というところが多いでしょう。
ただし前述のとおり、7月に始まるレジ袋有料化により、これまでのレジ袋が有料になります。
なぜ、レジ袋は有料になるのか
「地球環境に悪いプラスチック」と「地球環境に良いプラスチック」、どちらも有料であるならば、皆さんはどちらを選びますか?後者を選ばれる方が多いかもしれません。政府も、「地球環境に良いプラスチック」を推奨しています。
今まで無料だったのに、なぜ有料になるのか?その理由についてご説明します。一番の理由は、「プラごみ」問題です。
プラスチックは非常に便利な素材であり、私たちの生活を豊かなものにしてくれました。その一方で金属等、他の素材と比べて有効利用される割合が低く、また、不適正な処理などにより海へ流れ出てしまうことが大きな社会問題として取り上げられています。
2015年にアメリカのジョージア大学が出した研究結果によると、陸から海に流れ出るプラスチックの量は、世界全体で年間900万トン程になるようです。
平成29年の日本のごみ排出量は4289万トン(東京ドーム約115杯分)でした。日本で排出されるごみの4分の1に近い量のプラスチックが、毎年海に流れ出ていることになります。
こうして海に出たプラスチックは、長い年月をかけて少しずつ砕けて小さくなります。これがマイクロプラスチックと呼ばれるものです。
マイクロプラスチックが海の生物におよぼす害については、まだ科学的には確認されていません。しかし、魚の体内から複数個のプラスチック片が見つかったという事例は報告されています。
ハワイ沖のとある場所で採取した650匹以上の小魚を解剖した結果、8.6%の小魚の体内からプラスチックが見つかったという調査結果があります。
マイクロプラスチックは2種類に分けることができますが、このような状態(マイクロ化)になる前であれば改修も可能なため、ある程度の対策はできるでしょう。
また、2050年までにプラスチックの海洋流出量が魚の重量を上回る(海の中には魚よりプラスチックのほうが多い状況)と予測されるなど、環境汚染が懸念されています。
プラごみ削減に向けて世界中が動き出している
以上のような背景から、2019年5月に政府が「プラスチック資源循環戦略」を取りまとめました。ここで決められた重点戦略の1つが「ワンウェイプラスチックの使用削減」です。
ワンウェイプラスチックとは、通常一度しか使用されないプラスチックを指します。代表格はレジ袋や容器の包装の有料化は、この中に含まれます。
使い捨てプラスチック製品の代表格とされるレジ袋を有料化することで、ワンウェイプラスチックの使用削減を図ることが目的です。
プラごみ削減の動きは世界各地で起きています。以下はその一例です。
【図2 各地の取り組み内容】
このように世界中の多くの国や地域で、プラごみの削減に取り組んでいるのです。
日本は、人口1人当たりのプラスチック容器包装の廃棄量が世界2位(1位はアメリカ)とされています。
レジ袋の有料化は、あくまでも手段であり、その目的はプラごみの削減にあります。近年、「3R(reduce reuse recycle)」という言葉を聞いた方もいるかもしれません。どれもプラスチックを出さないための工夫で、資源にできる場合もあるという意味で使われています。
最近はエコバッグを持って買い物をされる方も多く見かけますが、レジ袋の有料化に伴い、この流れも加速していくのではないでしょうか。
また、バイオマスや生分解性プラスチックのように、地球環境にやさしいプラスチックについても、技術開発が進めば現在のプラスチックと置き換えられていくかもしれません。
プラごみ問題は日本に限った問題ではありません。プラスチック削減は、1人では立ち向かえない問題ですが、1人でできることも数多くあります。
一人ひとり意識をもって、地球環境のためのプラごみ削減、そのために誰にでもできることの1つとして、レジ袋有料化について考えていただきたいと切に願います。
執筆者:長崎元
行政書士/特定行政書士
長崎元行政書士事務所 代表