高校に進学する場合の就学支援金、2020年4月から結局どうなるの?
配信日: 2020.03.05
そこで、国公立高校も含め、高校に進学する際の学費支援についてお伝えします。
執筆者:福島佳奈美(ふくしま かなみ)
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー
大学卒業後、情報システム会社で金融系SE(システムエンジニア)として勤務。子育て中の2006年にCFP資格を取得、FPとして独立。「ライフプランニング」をツールに教育費や保険、住宅ローンなど家計に関する悩みを解決することが得意です。
国公立高等学校の学費は?
高等学校に関する公的な支援金には、国の制度である「高等学校等就学支援金」があります。これは、国公私立問わず、高等学校等に通う所得等の要件を満たす世帯の生徒に対して、授業料に充てるために国が支給する支援金です。所得は、年収約910万円未満の世帯が対象です。夫婦共働きなら夫婦の合計額で判断されます。
入学後に所定の手続きをすれば、授業料を限度として基準額の年額11万8800円(月額9900円)の「高等学校等就学支援金」が支給されますので、国公立高校の授業料は一定の年収以下なら実質無料ということになります。
私立高校に進学する場合は?
私立高校の授業料は、月額9900円では足りません。2019年度までは、不足分を補うために年収に応じて国の「高等学校等就学支援金」を段階的に多く支給する制度や、都道府県独自の「学費補助金」制度を併用して、一定の年収未満なら授業料の支援をする仕組みがありました。
しかし、都道府県独自の制度は、居住している都道府県内の高校でしか利用できなかったり、支援の内容も自治体間で差があったりするという点が課題でした。
そこで、2020年4月から私立高校に進学する場合の国の「高等学校等就学支援金」が大幅に変更され、年収約590万円未満の世帯には、一律で年額39万6000円(授業料の範囲内)が支給されることになっています。
これにより、収入要件を満たせば、居住する都道府県外の高校に通う場合でも国から支援金を受けることができます。また、新制度は在校生も対象になります。
就学支援金をもらうための手続きや注意点は?
国公立高校、私立高校とも、国の「高等学校等就学支援金」の手続きは入学後になります。収入状況の確認は、基本的には1年生については4月と7月頃の2回、2年生と3年生は7月頃に毎年度行います。
年収要件はあくまでも目安です。正確には令和2年4月から6月分までの分は、保護者等の市町村民税所得割額と道府県民税所得割額の合算額で、令和2年7月以降は課税所得で判断されます。また、所得要件の確認方法はマイナンバー(個人番号)で行う場合もあれば、課税証明書等で所得要件を確認する場合もあります。
書類提出の期限については各学校、都道府県によって異なりますので、入学後によく確認する必要があります。必要な書類を提出しなかったり、手続きを忘れたりすると支援金を受けられなくなる場合がありますので、十分に注意しましょう。
国の「高等学校等就学支援金」はあくまでも授業料に対する補助になりますし、上限額を超えた部分の授業料は自己負担です。私立高校は、国公立高校と比較して入学金も高額です。
また、授業料以外にも施設関連の費用等の負担も発生します。入学手続き時には授業料だけでなく入学金や施設費などの費用も含めてあらかじめ準備しておく必要がありますので注意しましょう。
生活保護世帯や住民税非課税世帯の高校生は、返済不要の「高校生等奨学給付金制度」を利用して授業料以外(教科書費、教材費、学用品費、通学用品費、教科外活動費、生徒会費、PTA会費、入学学用品費、修学旅行費等)の支援を受けることも可能です。
また、自治体独自の奨学金や学校によっては特待生制度がある場合もあります。さまざまな制度がありますが、よく調べると学べる環境が整えられていますので活用していきましょう。
執筆者:福島佳奈美
【保有資格】CFP(R)・1級ファイナンシャルプランニング技能士・DC(確定拠出年金)アドバイザー