更新日: 2020.02.26 子育て

ひとり親家庭が優遇されている2つの教育資金貸付制度って?

ひとり親家庭が優遇されている2つの教育資金貸付制度って?
ひとり親家庭には、さまざまな経済的支援制度があります。教育資金もそのひとつで、通常よりも低利で融資を受けることができます。
 
ひとり親家庭が優遇されている代表的な教育資金貸付制度には、「国の教育ローン」と「母子父子寡婦福祉資金」があります。それぞれのポイントを解説します。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

国の教育ローン

国の教育ローンは日本政策金融公庫の教育資金貸付制度です。扶養する子どもの人数に応じて世帯年収の上限を満たすと、子ども1人あたり最高350万円(外国の教育施設に3ヶ月以上在籍する資金なら450万円)まで融資を受けることができます。
 
金利は、固定金利1.66%(2020年1月)で、返済期間は最長15年です。利子(保証料)補給・助成制度を実施している自治体がありますので調べてみましょう。
 
中学校卒業以上の高校、大学・短大、専門学校、予備校や各種学校などの入学金や授業料、住居費用、定期代、パソコン購入費、学生の国民年金保険料など幅広い用途に利用できます。日本学生支援機構の奨学金との併用もできます。
 
原則、連帯保証人が必要ですが、連帯保証人の代わりに、公益財団法人の保証機関(保証基金)を利用できます。この場合、金利と別途、保証料が必要です。
 
申し込みは、日本政策金融公庫の国民生活事業の各支店(全国152店舗)のほか、銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農協、漁協、国の教育ローンのホームページでもできます。申し込みは1年中いつでもできます。入学金等の必要時期の2~3ヶ月前から申し込むことができます。
 
通常、申し込み完了から審査の結果が出るまでに10日前後、さらに、実際に融資金が保護者の口座に振り込むまでに10日前後かかります。融資決定後もキャンセルできますので、早めに申し込むと良いでしょう。
 
一般的に大学等の入学金等は合格発表から1~2週間以内が納付期限ですので、合格発表があってから申し込むのでは納付期限に間に合いません。申し込みの際、預金通帳(最近6ヶ月分以上)が必要です。住宅ローン(または家賃)と公共料金の両方の支払い状況を確認するためです。延滞があると審査上、とても不利になりますので気をつけてください。
 
ひとり親家庭、交通遺児家庭、扶養するお子さまの人数が3人以上で世帯年収500万円(346万円)以内の方、世帯年収200万円(122万円)以内の方に関しては、ご家庭の状況に応じて、金利・返済期間・保証料が優遇されています。
 
例えば、ひとり親家庭では、金利は通常の-0.4%、返済期間は最長18年以内、保証料は通常の3分の2です。

母子父子寡婦福祉資金

母子父子寡婦福祉資金貸付金は、ひとり家庭の父母等が、就労や20歳未満の児童の就学などで資金が必要となったときに、都道府県、指定都市または中核市から貸付けを受けられる資金です。修学資金、事業開始資金、生活資金、住宅資金など目的により12種類あります。教育資金には、修学資金と就学支度資金があります。
 
資金を借りる際に原則連帯保証人が必要ですが、利率は、資金の種類により、無利子の場合と有利子(年1%)の場合があります。また、償還期限は、資金の種類により3年間から20年間までです。
 
修業資金、就職支度資金(子に関わるものに限る)および修学・就学支度資金については、
(1)親に貸付ける場合は、子を連帯債務者(連帯保証人は不要)
(2)子に貸付ける場合は、親を連帯債務者

となっています。
 
なお、実際の貸付け条件等は自治体により異なりますのでご注意ください。例えば、日本学生支援機構の奨学金との併用について、自治体により「日本学生支援機構から奨学金の貸付を受けている場合は、奨学金の貸与月額と母子父子寡婦福祉資金貸付金の修学資金の貸付限度額との差額を限度として貸付を行います」。
 
そして「日本学生支援機構、金融公庫等からの公的な貸し付けをすでに利用されている場合は、その貸し付けと同じ用途について、重複して母子(父子・寡婦)福祉資金の貸付けを受けることはできません」など、取り扱いが異なっています。
 
貸付を受けるには事前の相談が必要です。申請から資金の交付を受けるまで通常1ヶ月以上かかりますので、ご注意ください。

●修学資金

・使途:高等学校、大学、高等専門学校または専修学校に就学させるための授業料、書籍代、交通費等に必要な資金
 
・限度額(私立の自宅外通学の場合の限度額の場合)
高校、専修学校(高等課程):月額5万2500円
高等専門学校:月額[1~3年]5万2500円・[4~5年]9万円
短期大学、専修学校(専門課程):月額9万円
大学:月額9万6000円
大学院:修士課程 月額13万2000円、博士課程 月額18万3000円
専修学校(一般課程):月額4万8000円
 
・貸付期間:就学期間中
・据置期間:当該学校卒業後 6ヶ月
・償還期間:20年以内、専修学校(一般課程)5年以内
・利率:無利子

●就学支度資金

・使途:就学、修業するために必要な入学金や被服等の購入に必要な資金
 
・限度額
小学校:6万3100円
中学校:7万9500円
国公立高校等:16万円
私立高校・専修学校(高等課程):42万円
国公立大学・大学院・短大・高等専門学校・専修学校(専門課程):38万円
私立大学・大学院・短大・高等専門学校・専修学校(専門課程):59万円
修業施設:28万2000円
 
・据置期間:6ヶ月
・償還期間:就学 20年以内、修業 5年以内
・利率:無利子
 
(参照)東京都福祉保健局の資料
 
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー


 

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