更新日: 2020.01.31 その他

起業してから家にお金を入れなくなった夫。子どもの将来のお金も不安…共働き家庭の妻の苦悩

起業してから家にお金を入れなくなった夫。子どもの将来のお金も不安…共働き家庭の妻の苦悩
【ご相談内容】
共働きの夫婦です。私(妻)は出産後仕事と家事・育児の両立が厳しく退職。子どもが小学生になったのを機に仕事に復帰、その頃夫は、自分の夢を追い起業しました。
 
起業した当初はいろいろと大変かと思い、家計費を大目に見ていていました。しかし、それに慣れてしまい、家にお金を入れることが少なくなってきました。私が意見すると「おまえが仕事を辞めていた間は、俺が食わせていたんだ。このくらいしてくれてもいいだろう」といいます。
 
しかし、もう3年が過ぎようとしていますが、元に戻す気がありません。話せばけんかになるので最近では話をする気もなくなってきました。生活は厳しく、子どもの将来のお金も不安です。子どもには父親が必要かと思い離婚は我慢していましたが、そろそろ限界です。私はどうしたらいいのでしょうか。
 
ちなみに、夫婦ともに40歳で、子どもは小学校4年生です。
 
寺門美和子

執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)

ファイナンシャルプランナー、相続診断士

公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
※確定拠出年金相談ねっと https://wiselife.biz/fp/mterakado/
女性のための電話相談『ボイスマルシェ』   https://www.voicemarche.jp/advisers/781 

お金の話はしてはいけないのか!?

結婚をする前は「愛」があれば全て乗り越えられると、多くの人は思っているのですが、いざ生活をすると愛だけでは乗り越えられないことが多くなります。とりわけ「お金」に関しての問題となると、大きな溝ができるものです。
 
日本人は昔から「お金の話」をすることを美徳としない風習があります。たとえ夫婦でも、お金の話を切り出すと「金、金うるさい」とたしなめられることがあります。
 
しかし、時代は大きく変わりました。昔の人は、大きく分けると2通りの人がいたと思います。まずは、男気あふれるしっかり者の夫。家督制度(長男が家を継ぎ、家族親戚の面倒をしっかりと見る)があり、一家に何人かは「物言う大人」がいたもので、お金の問題なども親族間で解決してきたこともあるようです。
 
また一方で、「不届き者」もいました。飲んだくれて、ばくちをし、女遊びもする色男。妻は苦労をしますが、どこか憎めないキャラクターで面倒を見てしまいます。今の時代でも、そんなカップルはお見掛けします。しかし多様化した現代は、その中間にいるグレーな存在の「ねずみ男」が多くなってきた感があります。
 

ライフデザインを描く大切さ

今の時代は多様化で、不確実な時。このような時代に大切なのは「計画性」でしょう。
 
しかし、人生はそんなに甘いものではありませんから、計画どおりには運びません。だからといって、無計画では危険。人生100年時代、大切なのは「ライフデザイン」を描き、更新していくこと。収入があるなしにかかわらず、ライフデザインを描いているのか否かで、将来は大きく変わってきます。
 
目先の収支だけにこだわらず、中期・長期の計画を立て、そこに向かって歩んでいくことです。そこにはどうしても「お金」は必要です。
 
例えば、子どもの将来を具体的に考える。子どもは絵が得意だから、その才能を伸ばしてあげたいと思うならば、美術系の学校への進学を考えることもあるしょう。
 
そうであれば、まずはいくらくらいお金がかかるのか調べるのです。美術系大学の費用の他に、絵画教室へ通う費用・材料費、同じ道を歩んだ人を探してインタビューしたり、ネットで調べたりして、具体的な資金計画を立てるための材料を集めます。
 
「夫がお金を入れてくれない」「離婚だ」とただ騒ぐ前にすることがあります。夫にとっても子どもはかわいいはずですから、具体的なイメージを提案してあげるのです。やはり、稼ぎ口も2つ(妻も働く)あったほうがよいでしょう。
 
人は、自分が夢中になっていることがあると、それ以外に目がいかなくなる傾向があります。ですから、冷静な判断ができる方が、長い目で人生を俯瞰(ふかん)して、提示してあげる必要があると思います。
 

ネガティブな言葉にとらわれない

多くの妻たちが「夫の発言」にとらわれます。それはそうでしょう。年がら年中、嫌みを言われ続けたら心がなえてきてしまうのも無理はありません。戦国時代には、刀で人と斬り合っていました。しかし、今の時代にそんなことをしたら逮捕されます。現在は、言葉で人を斬る人が多いのです。
 
自分勝手な夫はほぼ全員「言葉の暴力」で妻を斬りつけてダメージを与えてきます。しかし、そんな言葉には負けないでほしいのです。言葉で人を斬る人間こそが「弱い人」です。大型で強い犬はあまり鳴きません。
 
しかし、小型犬はワンワンとすぐに鳴きます。それと同じこと。相手の言葉の下にある本音を見てください。そうすれば、相手の弱さ、本質が見えてくるでしょう。言われたことを数えるより、その言動から相手の状態を探るのです。
 

期限を決めて対応する

いくら心構えが万全になっても、一向に改善されない夫の場合はどうしたらよいのでしょうか? そんな時は「ライフプランニング」を行うことです。
 
「ライフプランニング」は、これから一生涯のお金の収支計を立てることです。その基になるのが「ライフデザイン」ですね。「ライフデザイン」がないとこの「ライフプランニング」はできません。
 
「夫が家にお金を入れてくれない」というご相談をする方の多くが「預金の切り崩し」をしています。その切り崩しが止まらないために不安になるようです。今のまま「預金の切り崩し」をしていたら、家計が破綻するのも無理もありません。どこかでストップをかける必要があります。
 
「ライフプランニング」をしたら、いつ破綻するのかが見えてきます。それを夫と共有し、建設的に話し合いをするのがベストかと思います。それでも生活費を入れることがない夫なら離婚も視野に。ご自分の中で預金を切り崩すのは「〇〇まで」と期限を決めてください。
 
また、離婚話をする前に、義父母へ相談をするのもよいかと思います。中には「息子が申し訳ない。今は頑張って仕事を立て直しているようだから、その間は私たちが息子の代わりに生活費を支払うよ」という方もいます。ここは、かわいく甘えてみるのもよいのではないでしょうか。
 
いつまでもずるずると引きずっていると、不幸のドツボにはまります。ここはあくまでも建設的な対応が重要です。人生の地図である「ライフデザイン」を修正しながら、一生涯大切に持ち続けてください。夢は大胆に大きく、しかし計画はシビアに現実的に。人生100年を常に賢く生き抜いていきましょう。
 
執筆者:寺門美和子
ファイナンシャルプランナー、相続診断士


 

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