更新日: 2019.01.10 その他

選挙後の公約は果たせるのか?

執筆者 : 當舎緑

選挙後の公約は果たせるのか?
2017年10月22日衆議院選挙が自民党勝利で終わりました。これから教育費負担がかさむ子どもがいる家庭にとって政治に無関係ではいられません。チェックしておきたい項目は、公約(1)の「学校をもっと素晴らしく」です。これが本当に実現するのか、しっかりと見守っていきたいものです。
當舎緑

Text:當舎緑(とうしゃ みどり)

社会保険労務士。行政書士。CFP(R)。

阪神淡路大震災の経験から、法律やお金の大切さを実感し、開業後は、顧問先の会社の労働保険関係や社会保険関係の手続き、相談にのる傍ら、一般消費者向けのセミナーや執筆活動も精力的に行っている。著書は、「3級FP過去問題集」(金融ブックス)。「子どもにかけるお金の本」(主婦の友社)「もらい忘れ年金の受け取り方」(近代セールス社)など。女2人男1人の3児の母でもある。
 

みんなへの約束の「みんな」は誰のこと?

 
自民党の公約をHPから抜粋しましょう。

「幼稚園、保育園の費用をかからなくすることなど、お父さんとお母さんの負担を軽くします。
教育費の仕組みも見直して、みんなが学べるチャンスを平等にします。
大学などに進学したい人がみんな進学できるような制度づくりも進めます。」

という記載があります。これを見ると、子育て世代が利益を享受できるのは、小学校就学前、そして、大学進学時ということのようですが、この「みんなが進学できる」というのはどのような意味なのか、公約を見ていても全くわかりません。
 
学力をあげていくのか、費用面なのか、そもそも「みんな」とは誰が入るのか読み取ることは難しいです。
 

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実は小学校就学前はそんなに費用はかからない

 
文部科学省が2年おきに「子どもの学習費調査」を公開しています。この数字を参考にすると、子供にかかる学習費総額は、幼稚園は公立であれば222,264円、私立は498,008円となります。
 
ひと月当たり平均額は、公立であれば18,522円、私立であれば41,500円となります。
 
ただ、原則として、児童手当15,000円が支給されていることと、月額3万円程度、幼稚園に通う子供がいると補助が出るケースがありますし、ほとんどの自治体では、小学校就学前には家庭の所得や子供の数によっての助成が既にあるのです。
 


 
FPの立場としても、「子供が小学校までは、一番貯蓄できる時期」と言い続けてきました。なぜなら、子供が小学校就学前の子育て世帯では、家計がコントロールしやすい時期だといえるからなのです。
 

大学進学するための事前の費用が抜け落ちていないか

 
「給付型の奨学金」は、現時点での日本学生支援機構が運用している制度が一番有名でしょう。
 
ただし、みなが利用できるわけではなく、住民税非課税など、申し込みできる条件があります。もう一点忘れてはいけないのは、また、給付型であろうがなかろうが、奨学金は実際に入学した後に口座に振り込まれることです。
 
大学進学の前には、進学塾に通ったり、受験の費用、そして、受験後すぐに納付すべき入学金等が必要です。
 
しかも、受験の費用もバカになりません。センター試験利用かそうでないかによって差はありますが、1校受験するのに30000~35000円程度必要なこともありますし、遠方に受験する場合には新幹線や飛行機の旅費交通費や宿泊費など、あっという間に数十万円にかさむ可能性があります。高校3年生の保護者にお話を聞くと、「入学するまでにこんなにお金がかかるなんて」と予想外の驚きがあったと言われることがほとんどです。
 

入学者にかかる初年度納付金

 
文部科学省が公開している「平成26年度入学者にかかる初年度納付金」の金額は平均1,311,644円です。もちろん、これには、高校3年次の進学塾の費用や大学のための下調べは入っていません。
 
もし、子供が地方の大学などに行きたいと言い始めた場合には、まず親が交通費と宿泊費を負担して、本命、滑り止めなどの受験するための費用を準備する必要があります。
 
いまどき、子供が受験を考える大学には、必ず下調べのために、オープンキャンパスに行くということが主流になっていますので、地方の大学進学を考えるときには、親の負担が増えることにつながります。自民党の公約がどのように政策に反映されていくのかは、子ども保険も含めて詳細についてはこれからです。
 
ぜひ、将来の働き手を育てる子育て世帯はどんな制度が利用できるようになるのか、選挙後も今後の政策の行方を見守っていきたいものです。
 
Text:當舎 緑(とうしゃ・みどり)
社会保険労務士。行政書士。CFP