更新日: 2019.12.03 その他

子供の貧困の背景には、【離婚による養育費不払い】が存在する!?

子供の貧困の背景には、【離婚による養育費不払い】が存在する!?
わが家では育ち盛りの息子のため、牛乳配達を利用しています。この牛乳代、なんと月1万円!
 
牛乳代もしかり、思った以上に費用が掛かるのが子育てです。まして、シングルマザー・シングルファザーのご家庭の収入で子どもを養育するのは相当な負担です。しかし、父親と母親はそれぞれ子に対して扶養義務を負うにもかかわらず、離婚などをきっかけに子の養育費を負担しないケースがあります。
 
そこで今回は、養育費請求のための弁護士費用の立替えに着目しました。
 
石井美和

執筆者:石井美和(いしい みわ)

中央大学法学部法律学科卒業。
20年に渡り司法書士・行政書士事務所を経営し、不動産登記・法人登記・民事法務・許認可などに携わる。また、保険代理店を併設。なお、宅建士、マンション管理士など複数の資格を保有。

養育費を値上げしてもらえる?

家庭裁判所が養育費の算定をする際に参考にしているのが「養育費・婚姻費用算定表」です。最高裁判所はこの算定表を約15年ぶりに見直す予定です。
 
この算定表では、権利者(養育費をもらう人)と、義務者(養育費を払う人)の年収、子どもの数・年齢により指標となる額が細かく示されていますが、この数値は、昨今の社会・経済情勢に合わず、子どもの貧困を招く一因と考えられることが見直しの理由です。
 
しかし、これは「家庭裁判所で養育費・婚姻費用算定表に基づき判断してもらった場合」の話です。家庭裁判所による調停・訴訟といえば、弁護士に依頼したほうがよいのではないか? と思う方も多いかと思います。
 
そこで気になるのが弁護士に頼む場合の費用ですが、この弁護士費用の立替え制度についてご説明します。
 

養育費支払請求の調停・訴訟

まず、任意の協議(話し合い)に応じてもらえなければ、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。ただし、調停はあくまでも、「双方の折り合いを付ける」手助けというイメージです。
 
相手方が調停期日(調停が開かれる日)に出てこない、調停期日内で決着がつかない場合は、最終的には調停は不成立として終了しますが、引き続き審判手続で必要な審理が行われた上、審判によって結論が示されます。
 
この調停や訴訟は自分で申し立てることができますが、一般の方には手続きも難しいですし、何より相手と裁判所で向き合わなければなりません。子どもの親権を争ったり、DVを理由に離別したりした人にとっては、相手と顔を合わせて話し合いをすること自体、相当な負担とリスクを伴います。
 
そこで養育費で悩む方が一度は考えるであろう「弁護士に裁判を依頼」することです。ここでネックとなるのが弁護士費用です。弁護士に頼みたいけれど費用がないという方は、泣き寝入りしなければならないのでしょうか?
 

法テラスを活用! 裁判費用の立替え

このように司法を利用したいけれども、すぐに費用を出すことができない方のために、「法テラス」は、「弁護士費用の立替え」を行っています。
 
「法テラス」(日本司法支援センター)とは、法務省が監督する公的な法人で、その主な業務の1つに「民事法律扶助業務」があります。これは、法的トラブルに合った方に無料で法律相談を行い、必要に応じて弁護士・司法書士の費用を立替える業務です。
 
立替額の一例を図表1で示します。
※図表1の費用とは別に事件の結果に応じて決定された報酬金を支払います。
 
【図表1】

 
ただし、この代理援助による弁護士費用は給付ではなく、分割などにより返済する必要があります。また民事法律扶助は、経済的に余裕のない方に司法を利用してもらうための制度なので、次の要件があります。
 
1、資力がないこと
2、勝訴の見込みがあること
3、民事法律扶助の趣旨に適すること

 
この「資力がないこと」の要件は細かく定まっていますが、例えば、3人家族の場合は、援助を受ける人の月収が27万2000円です。この額は、夫婦間の紛争か否か、医療費・教育費・住宅ローンの負担の有無、住まいの地域などにより変わります。
 
また、代理援助を受けるための手続きの流れは、無料法律相談→審査→援助開始決定→事件終了です。なお、法テラスを利用する場合は、援助の要件、返済方法など詳しい内容につき、日本司法支援センター(※1)までお問い合わせください。
 

まとめ

子どもの貧困の背景には、養育費不払いが隠されています。根本的な解決策を探るためにも、法律専門職としてさまざまな情報を提供できればと思います。
 
出典 (※1)日本司法支援センター「法テラス」
 
執筆者:石井美和
中央大学法学部法律学科卒業。
20年に渡り司法書士・行政書士事務所を経営し、不動産登記・法人登記・民事法務・許認可などに携わる。また、保険代理店を併設。なお、宅建士、マンション管理士など複数の資格を保有。


 

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