深刻な子供の貧困。ひとり親だからと頑張りすぎないで!知っておきたい制度
配信日: 2019.09.03
執筆者:福本眞也(ふくもと しんや)
FPコンシェル代表取締役
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP® 認定者、証券外務員
できる限り解り易い言葉で、お一人お一人のご理解にあわせてご説明することをモットーにしています。
日系証券会社(現三菱UFJモルガン・スタンレー証券)で約8年間金融の基礎を学び、外資系投資銀行(TDグループ、NAB、クレディ・スイス、JPモルガン証券)では約15年間に渡り高度な金融技術を学び、独立して約9年、金融一筋に32年が経ちました。
「お金・経済・金融マーケットに関わること」について、特に個人顧客向けには住宅・保険・教育・老後の資金(運用)を目的としたご相談を得意としています。
http://www.fpconcier.com
ひとり親だからと頑張り過ぎず制度を知ることから
ひとり親で一生懸命に子育てをされている人は少なくありません。特に女性の場合、妊娠・出産で育児休暇をとれても、その後、体制が変わってしまい正社員として復職できずに派遣やパートでの勤務を余儀なくされ、収入が下がってしまった方もいらっしゃいます。
万一、死別・離婚などでシングルになってしまっても、子育ては継続していかなければなりません。経済的な不安がつきまといますが、ひとり親家庭等で児童を養育する方々のための支援制度があります。知っているといないとでは大違いですので、ひとつひとつ見てみましょう。
どのような制度があるのか
現在、ひとり親家庭等を支援する制度が大別して3つあります。
(1)経済的(養育費確保)支援
1、母子および父子福祉資金の貸し付け:20歳未満の子どもを扶養されているひとり親などに、子どもが自立するのに必要な資金(入学、修学および技能習得など)の貸し付けがあります(無利子または金利1%)。
2、5つの助成金制度:子どもが以下に該当する場合に給付されます。
・父母が離婚した児童
・父か母が死亡した児童
・父か母が重度の障害を有する児童(一部例外あり)
・父か母が生死不明な児童
・父か母に1年以上遺棄された児童
・父か母に裁判所からのDV保護命令を受けた児童
・父か母が法令により1年以上拘禁されている児童
・婚姻によらず生まれ、父か母から扶養されていない児童
A.ひとり親家庭等医療費助成:「ひとり親家庭等医療証」が交付され、健康保険自己負担分の一部または全額が助成されます。
B.児童扶養手当:ひとり親家庭等の生活安定と自立サポートを目的に子どもに助成金が給付されます。(それぞれの要件に該当してから5年以上経過している場合は申請不可、また公的年金額が児童手当相当額以上の親、児童が保育園および母子生活支援施設以外の施設に入所している場合は給付されません。)
給付額
全部給付 月額4万2910円
一部給付 月額4万2900円から1万120円の間
第2子がいる場合の受給児童の加算 月1万140円から5070円の間
第3子以降の受給児童の加算 月6080円から3040円の間
*一部給付および加算額は所得に応じて10円刻みで決定されます。
C.児童育成手当:福祉増進および成長を図る目的で子どもに助成金が給付されます。
給付額
育成手当 月額1万3500円(子ども1人につき)
障害手当:以下に該当する場合に手当が給付されます。
・身体障害手帳1級・2級程度の障害
・愛の手帳1度から3度の障害
・脳性マヒまたは進行性筋委縮症
給付額
障害手当 月額1万5500円(子ども1人につき)
D.令和元年度認可外保育施設保育料助成:認可外保育園施設を利用するひとり親の負担軽減を図る目的で助成金が給付されます。
給付額 通常の助成金以外に月額1万5000円
E.未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時・特別給付金:児童扶養手当の受給者のうち、未婚のひとり親に対して一度だけ給付されます。
給付対象者
・2019年11月分の児童扶養手当が市区町村から支給される
・2019年10月31日において法律婚をしたことがない
・2019年10月31日において事実婚をしていない、または事実婚の相手が生死不明
(過去に法律婚をした者、所得超過で児童扶養手当が受給できない者は対象外)
(2)就業支援
1、ひとり親家庭自立支援教育訓練給付金:子どもを扶養しているひとり親の就労環境を良くする(促進する)ため、雇用保険教育訓練制度の指定訓練を受講しやすくするもの。修了すれば講座受講料の60%相当額(上限額20万円、1万2000円を超えないものについては支給されない)が給付されます。
2、ひとり親家庭高等職業訓練促進給付金:子どもを扶養しているひとり親の就業に向けて資格取得を目指した就業訓練をしながら生活する経済負担を軽減する目的で訓練促進給付金が給付されます。
(3)子育て生活支援
1、ひとり親家庭ホームヘルプサービス:子どもを扶養する親が就業、職業訓練、求職活動、看護、傷病、介護などの理由で養育が困難な場合に一定期間ではありますが、ホームヘルパーが派遣されます。(介護券が発行され、自身で申請し活用します。)
2、母子生活支援施設への入所:生活上のさまざまな問題が発生し、子どもの養育・教育が十分にできない場合に入所可能です。ただし、所得により負担額は異なります。
制度は知って申請しなければ給付されない
ご自身が、もしくは子どもがこれら支援制度に対象になるのかを確認し、申請しない限り給付されません。また市区町村により手当等の名称が異なる場合があります。ひとりで悩まず、どのような支援が受けられるか、お住まいの市区町村にご相談してください。
執筆者:福本眞也
FPコンシェル代表取締役