更新日: 2019.08.19 子育て

対象も性質も異なる「出産手当金」と「出産育児一時金」育児に関わる給付金

執筆者 : 菊原浩司

対象も性質も異なる「出産手当金」と「出産育児一時金」育児に関わる給付金
出産により家族が増えるのは喜ばしいことです。しかし、初めての出産の場合には当然出産に関わる手続きも初めてになります。
 
特に出産に関しては、通常の出産は病気でないため、健康保険が使えないといわれてしまえば出産費用は自己負担になるのだろうか? などといった疑問も湧いてきてしまいます。
 
確かに通常分娩に関しては健康保険の適用範囲外となりますが、出産を控え働くことが難しい時期に多額の自己負担を強いることは困難です。
 
そこで、出産費用に関しては「出産手当金」と「出産育児一時金」という2つの給付金によりサポートを受けることができます。今回はこの2つの給付金のそれぞれの違いについて述べさせていただきます。
 
菊原浩司

執筆者:菊原浩司(きくはらこうじ)

FPオフィス Conserve&Investment代表

2級ファイナンシャルプランニング技能士、管理業務主任者、第一種証券外務員、ビジネス法務リーダー、ビジネス会計検定2級
製造業の品質・コスト・納期管理業務を経験し、Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)のPDCAサイクルを重視したコンサルタント業務を行っています。
特に人生で最も高額な買い物である不動産と各種保険は人生の資金計画に大きな影響を与えます。
資金計画やリスク管理の乱れは最終的に老後貧困・老後破たんとして表れます。
独立系ファイナンシャルプランナーとして顧客利益を最優先し、資金計画改善のお手伝いをしていきます。

http://conserve-investment.livedoor.biz/

出産手当金とは?

出産手当金は、出産により一定期間就労することができず、収入が得られなくなってしまった場合に、その収入の一部を補助するための給付金です。
 
対象者となるのは組合健康保険や協会けんぽなどの被用者健康保険の加入者または一定の要件を満たす退職者に限られており、加入者の扶養に入っている配偶者の方や加入している健康保険の種類が国民健康保険の場合は利用することができません。
 
一定の要件を満たす退職者とは、被用者健康保険の加入期間が1年以上あり、退職日が産前の42日前(双子などの多胎妊娠の場合は98日前)の間に含まれることが必要です。
 
さらに出産手当金の支給を受けるための条件として、出産日の42日(多胎妊娠の場合は98日)から、出産日の翌日以後56日までの範囲で休職し、給与が得られないことが必要で、1日単位で支給を受けることができます。
 
支給額に関しては出産手当金の支給開始前の継続した12ヶ月間の標準報酬月額の30分の1の3分の2に相当する額が支給されます。健康保険の加入期間が1年未満の場合は左記の金額か、平均標準報酬月額の30分の1(平均標準報酬日額)の3分の2の金額のどちらか少ない方が支給されます。
 

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出産育児一時金とは?

通常分娩では健康保険の対象とならないため、全額自己負担となってしまうかと思われますが、出産育児一時金によって別途助成を受けることができます。対象者には被用者健康保険の加入者の他に国民健康保険の加入者とその家族も対象に含まれますので、全ての国民が対象者といってもいいでしょう。
 
支給額に関しては、基本は40万4000円で、妊娠22週目以降に産科医療補償制度加入の分娩機関で出産の場合は42万円に増額となります。出産育児一時金は残念ながら死産となってしまった場合でも妊娠12週目以降であれば通常の出産と同様に、40万4000円の支給を受けることができます。
 
また、異常分娩や帝王切開などは高額の医療費が必要となります。出産育児一時金のみでは多額の窓口負担が生じてしまいますが、これらは健康保険の対象となります。支払う医療費の金額を自己負担の限度額までとする「限度額適用認定証」の利用をお勧めします。
 

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まとめ

出産手当金と出産育児一時金は出産を契機とする給付金です。名前も似ていますが給付金の対象者や性質は大きく異なります。
 
出産手当金は出産に関して失われる収入を補償するもので、対象者は被用者健康保険の加入者などに限られますが、出産育児一時金は被用者健康保険の加入者はもとより国民健康保険の加入者も対象となります。
 
出産費用を助成するという性質が強く、医療機関の窓口に直接支給される直接支払制度や受取代理制度が設けられています
 
名前が似ているために混同しやすい両者ですが、出産に関わる費用負担を軽減してくれる大切な給付金になります。出産後には育児も控えていますので、資金計画に悪影響を与えないために申請漏れに気を付けましょう。
 
執筆者:菊原浩司
FPオフィス Conserve&Investment代表
 

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