更新日: 2019.08.10 その他

途中で切符を分割したら、安くなることも。分割切符の買い方と注意点

執筆者 : 上野慎一

途中で切符を分割したら、安くなることも。分割切符の買い方と注意点
まとめてひとくくりにすると安くなるモノやサービスは珍しくありません。商品ならば「たくさん買ってくれる」とか「小分けするよりも容器や手間が省ける」といった理由で安くなるのでしょう。乗り物でも、回数券ならば10回分の運賃で11回分の切符が手に入るなど割安になります。
 
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

乗り物運賃の「スケールメリット」は?

乗り物を利用するときに、目的地まで直行する場合と途中で下車し、寄り道してから目的地に向かった場合はどうなるのでしょう? 例えば、均一運賃の路線ならば簡単です。寄り道の場合は2回乗車、直行ならば1回なので半額で済みますね。
 
距離に応じて運賃が変わる場合は、これほど単純ではありません。距離の刻み方や運賃設定のルールは多様で、距離に応じて単純に比例して高くなっていくばかりでもないようです。
 
JRの東日本・東海・西日本の3社だけ見ても、路線区分や区間指定などによって、さまざまな設定バリエーションがあります。
 

途中で切符を分割したら、安くなった!

ところで筆者は先般、旅先で名古屋駅を早朝に出発して敦賀駅(福井県)までJR在来線で向かう機会がありました。長浜駅で乗り継ぎ待ち時間が30分以上あったため、まず長浜駅までの切符にしていったん改札を出て用事を済ませ、次に敦賀駅までの切符を買ったのです。
 
あとで確認してみたら、次のように運賃が違っていました。結果的に110円安くなっていたのは意外でした。
 
<敦賀駅まで通しで切符を買った場合の運賃>:2270円
 名古屋駅  →  敦賀駅
     [2270円]
 
<長浜駅でいったん改札を出て、その先の切符を改めて買った場合の運賃>:2160円
 名古屋駅  →  長浜駅  →  敦賀駅
     [1490円]   [670円]
(筆者が集計)
 
実は、名古屋駅で最初から切符を上記のように分割して買えば、改札を出なくても運賃が安くなるのです。例えば[切符 分割]でネット検索すると、出発駅と到着駅等をインプットすれば分割パターンや運賃を試算してくれるサイトが公開されているのが見つかります。
 
分割すると運賃が安くなる理由は、出発駅と到着駅の設定によってもいろいろですが、かなり大ざっぱにいうと[距離の刻み方や路線区分や区間指定などによって複雑に設定される運賃体系の中で、分割すると結果的に「いいとこ取り」の組み合わせになるから]でしょうか。
 

おすすめ関連記事

「分割切符」の買い方や注意点

こうした「分割切符」ですが、JR駅の指定席券売機やみどりの窓口などで買えます。新幹線や特急の切符を買う場所という先入観があるかもしれませんが、実は普通乗車券も、そしてその駅以外を発駅にした券も買えるのです。
 
指定席券売機ならば、画面案内に従って[きっぷの種類 → 乗車券]、[乗車日]、[利用人数]、[目的地まで利用する列車 → 普通列車のみ利用する]までインプットが進むと、あとは[乗車券の出発駅、乗車券の到着駅]を指示すれば買えます。
 
これを繰り返すと分割切符がそろいます。筆者も実際に操作してみましたが、難なくできました。なお、注意点もいろいろです。まずは、あらかじめ分割パターンを調べておかなければならないこと(券売機や窓口では分割パターンなど教えてくれません)。
 
利用時に自動改札機と有人改札の使い分けが必要な場合が多いこと。そして分割内容によっては、切符の有効期間が短くなったり、事故時の振替輸送が受けられなかったりする場合もあります。
 

おすすめ関連記事

まとめ

分割によって安くなるケースは、普通列車に限らず新幹線や特急でもあります。
 
また、分割区間ごとに回数券をバラ買いしてさらに安くするケース、特急の利用区間を少し短縮すると安くなるケース、定期券でも分割で安くなるケースなどが、分割の“応用編”のようにネット等でもたくさん紹介されています。
 
今年10月からの消費税率引き上げ(8% → 10%)に伴い、鉄道運賃等も1.852%(110÷108)をベースに値上げとなる予定です。機会があれば「分割切符」のおトク度を一度試してみる価値はあるように思えます。
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士
 

ライターさん募集