2020年4月から「私立高校の授業料無償化」がスタート。対象者や内容を確認しておこう
配信日: 2019.07.31
ポイントを解説します。
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。
ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
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高等学校等就学支援金とは?
全日制高等学校の年間平均授業料(平成30年)は、公立高等学校が約12万円、私立高等学校が約40万円です。私立高等学校等に通う生徒が安心して勉学に打ち込めるよう、授業料を支援する国のしくみが就学支援金です。
ただし、保護者の所得が所得制限額を超える場合は、支給されません。現行では、都道府県民税・区市町村民税所得割額の合計額50万7000万円未満の世帯が対象です。年収ベースでは、約910万円未満の世帯(4人家族)が対象となります。
支給額は月額9900円です。保護者の所得に応じて加算され、国公立高等学校が年間約12万円、私立高等学校が所得の状況によって約12万円~30万円となっています。
さらに、都道府県では、私立高等学校等に通学する生徒の経済的負担を軽減するため、国が授業料への補助を行う「就学支援金」に上乗せする形で、授業料などの軽減補助を行っている場合があります。
例えば、埼玉県では、「授業料軽減補助」として、年収約609万円未満世帯に対し、(1)国の就学支援金と合わせて、県内私立高等学校(全日制)の平均授業料37万8000円(年額)まで補助し、授業料を実質無償化しています。
しかし、授業料に対する支援のレベルは都道府県によって大きな差があります。そこで、国は2020年4月より、年収目安約590万円未満世帯の私立高等学校等に通う生徒を対象に「就学支援金」の上限額を「私立高等学校の平均授業料を勘案した水準」に引き上げることにしました。
所得の判定においては地方税の「所得割額」から変更され、保護者等の「課税所得」が基準として判定されることになります。
入学時などに、通っている学校から案内がありますので、対象となる方は忘れずに申し込みましょう。
出典:文部科学省「2020年4月からの「私立高等学校の授業料の実質無償化」リーフレット(令和元年5月)」
高等学校等奨学給付金とは?
高等学校では授業料以外にも修学旅行費、遠足・見学費、PTA会費、学用品費、通学費などの学校教育費がけっこうかかります。文部科学省「平成28年度子供の学習費調査の結果について」によると、全日制高等学校の学校教育費(年額)は公立高校が約27.6万円、私立高校が約75.5万円となっています。
授業料以外のこれら学校教育費を支援するしくみに、高等学校等奨学給付金があります。対象は、生活保護世帯と住民税所得割非課税世帯(年収約270万円未満の世帯)です。
支給額は、学校の種類や世帯の状況によって変わり、年額約3万円~14万円が支給されます。高等学校等就学支援金と両方利用することができます。
高等学校等就学支援金は学校が生徒本人に代わって受け取り、それを授業料に充てることになります。生徒本人(保護者)が直接受け取れるものではありません。一方、高等学校等奨学給付金は給付額が振り込まれます。
学校またはお住いの都道府県へ申し込みます。申請漏れが多いようです。毎年7月頃に手続きが必要となるところが多いようです。
上記の支援制度の他にも、私立高等学校の学費の負担を軽くするための都道府県独自の支援策がありますので調べてみましょう。
出典:文部科学省「2020年4月からの「私立高等学校の授業料の実質無償化」リーフレット(令和元年5月)」
文部科学省「平成28年度子供の学習費調査の結果について」
執筆者:新美昌也
ファイナンシャル・プランナー。