更新日: 2019.07.20 子育て

今の高校3年生から奨学金の対象者が拡大!注意しておきたい3つのこと

今の高校3年生から奨学金の対象者が拡大!注意しておきたい3つのこと
2020年度に大学等へ進学する学生から、国の奨学金のうち「給付奨学金」の対象者が拡大します。
 
すなわち、今の高校3年生(2019年度)からです。奨学金制度の拡充はありがたいことですが、選択肢が増えることで、条件が煩雑になり、わかりづらくなるというデメリットもあります。
 
今の高校3年生だけでなく、2年生、1年生の親御さんにもかかわってくることですので、この記事で解説していきたいと思います。
 
波多間純子

執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)

㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント

「お金しだい」の人生から「自分しだい」の人生への選択をサポート。家計相談28年、相談件数4,000件超。家計相談と合わせて、その方の才能や適職を診断し潜在能力を高める「咲かせようじぶん資産」をテーマに個人セッションとワークショップを開催。

2020年度入学者から「もらえる奨学金」の対象者が拡大

前年度までの給付奨学金、すなわち「返還不要のもらえる奨学金」は、経済的理由で進学が難しい生徒を対象としており、住民税非課税世帯等、条件が狭いものでした。しかし本年度からは親の年収条件が緩和され、対象者が増える見込みです。
 
図表(1)給付奨学金の支給上限額

 

「給付型」→「貸与無利子」→「貸与有利子」の順に申し込む

そもそも国の奨学金とはどのような制度なのでしょう? 奨学金は日本学生支援機構が運営する、大学や専門学校等への進学者を対象とした教育資金借入制度です。
 
国の奨学金には、将来返還しなくてよい「給付型」と、大学等卒業後に返還義務のある「貸与型」の2つがあります。さらに「貸与型」は、返還期間中利息がつかない「無利子型」と、利息と元金を払う「有利子型」に分かれます。
 
すなわち、返還する人の負担が少ない順に「給付型」→「無利子型(第一種奨学金)」→「有利子型(第二種奨学金)」となります。
 
では、どういう人が対象になるのでしょうか? 奨学金を借りるためには、大きく2つの基準があります。それは「世帯の年収」と「本人の学力(学ぶ意欲)」です。簡単に言うと、家計のより苦しいほうが、学力のより高いほうが、有利な奨学金を借りられます。
 
基準に当てはまるかの判断は、申込時にマイナンバーや必要な所得を証明する書類を出すことで、審査をしてもらえます。当てはまりそうな場合は、とりあえず「給付型」→「貸与無利子」→「貸与有利子」の順に申し込むことをお勧めします。
 

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【注意1】思ったより早い! 高校3年の6月頃から申し込み開始

次に、奨学金を借り入れるにあたっての注意点をいくつかご紹介します。
 
奨学金は入学時までに手続きを進めればよいと考えがちですが、申し込みのスタートは高校3年の6月頃からと意外に早いものです。3年の1学期半ばには、奨学金の説明会などを開催する学校もありますので、参加してみましょう。
 
あわせて、進路先の学費も早めに確認しておくことが大切です。学費は進学先の学校のHPに掲載されています。
 
国公立は入学金と授業料はどこもほぼ同じ金額ですが、私立は学校や学部によって随分幅があります。特に、医療・福祉系、理工系は高額になりがちな上、授業が忙しくアルバイトが思ったほどできないものです。
 
下宿する場合は、さらに生活費が上乗せとなります。生活費を書き込めるシートをご用意しましたので、数字を入れてイメージしてみてください。生活費全般は平均額を参考に、家賃は進学先近辺の不動産情報を見ておきましょう。
 
図表(2)進学後の生活費を計算してみよう

 

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【注意2】受験費用、入学金等初年度納入金には奨学金は間に合わない

奨学金の初回入金は入学後となり、入学金や1年目の前期授業料の納付には間に合いません。入学前にも、受験費用や交通費・宿泊費と案外かさむものです。AO入学の場合、秋ごろには入学金の納付期限が来ることもあるため、心づもりが必要です。
 
1年目の費用はこれまでの貯蓄で賄うことになります。これだけでおおむね100万円、下宿の場合200万円程度かかる見込みです。
 
さらに、進学しても盲点があります。ボーナスを前期と後期の授業料に充てようという方は注意が必要です。なぜなら、納付期限がボーナス支給の前になるため。例えば前年の冬のボーナスを残しておいて、新学期の前期授業料を支払うという工夫が必要です。
 

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【注意3】借りる当事者は学生本人

奨学金の債務者は学生本人。つまり、社会人になって返還するのは、あくまで本人であるため、相応の自覚が必要です。
 
奨学金の返還は借入金額にもよりますが、10年程度から最長20年と長期にわたります。その時期は本人が結婚、出産・子育て、住宅取得等のライフプランを形成する時期と一致します。
 
だからこそ、奨学金を検討する時は、進学時に何を身につけ将来の糧にするか、真剣に考えるきっかけとしたいものです。
 
また、親御さんは早めに家計の状況を子どもに伝えることが大事です。その際、一方的に「お金がないから」ではなく、子ども本人の希望と、準備できるお金のすり合わせを丁寧にすることが、満足できる学生生活を送れるポイントです。
 
執筆者:波多間純子
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント
 

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