更新日: 2020.05.25 その他
2017年の欧州経済の見方
そこで整理してみたいと思います。
執筆者:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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ドイツとフランスの動向を中心にみる
2016年時点でドイツとフランスのEUに占める経済占有率はそれぞれ27.9%、21.4%となっており、この2か国の動向が良ければ大きく牽引する、逆にこの2か国がよくなければ、必然的にEU全体の経済成長力はぜい弱なものに甘んじることになると思われます。
2017年前半はドイツの力強い経済成長力とフランスの選挙通過によりプラス
このように見てくると、2017年前半はフランスではマクロン新大統領が誕生し、懸念されていたフランスの選挙が無事通過しました。
またユーロ圏ではまだ金融緩和が継続中であったため、いち早く金融政策を転換した米ドルとの間ではユーロ安ドル高であったことを背景に、ドイツでは輸出主導となって経済が堅調に推移しました。
つまりEUの2大国は政局安定・低金利・景気伸張という3つの要因がすべて整っていたのです。
ドイツ・フランス政局の求心力低下と脱低金利政策から転換の見通し
上述の3つの理由からユーロ相場への投資は妙味があったことの説明になりますが、見通しについてはやや投資しづらい環境に変化するとみられます。
1つめは両国の政局の不透明性が増していることです。2017年8月時点でのマクロン大統領の支持率は歳出削減策のアグレッシブな断行から36%、不支持率は49%となりました。
ドイツも反ユーロを主張する極右勢力が躍進し、メルケル首相の支持母体、キリスト教民主・社会同盟と社会民主党の中道がパワーダウンしています。
日本の安倍政権をみてもお分かりのように、どの地域に重点的に投資するかどうかの大きな決め手として、政権基盤の安定化があります。
その点での魅力のポイントが薄れたことに加えて、今後はECBも買い入れ資産縮小プログラムが議論されていることから米国と同様金融政策転換が実施されれば、金利差の点からのユーロ安ドル高というシナリオも描きづらくなります。
Text:柴沼 直美(しばぬま なおみ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
日本証券アナリスト協会検定会員、社会保険労務士
MBA(ファイナンス)、キャリアコンサルタント、キャリプリ&マネー代表