更新日: 2019.07.06 子育て

2020年4月入学からスタート!新しい就学支援制度のポイントとは

2020年4月入学からスタート!新しい就学支援制度のポイントとは
日本学生支援機構の給付型奨学金の申込(予約)が全国の高校で6月下旬から始まりました。新しい給付型奨学金の初めての申込(予約)となります。
 
高校により提出書類などの締切りは違いますが、7月下旬までには準備をする必要があります。
 
新美昌也

執筆者:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

給付型奨学金のポイント

家庭の経済事情に左右されずに、意欲のある子供たちが、社会で活躍する人材を育成できる大学等へ進学し学ぶことができるように2020年4月に入学する人から国の新しい修学支援制度がスタートします。
 
支援制度の柱は2つで、返済不要の「給付型奨学金」と「入学金・授業料の減免」です。「給付型奨学金」の対象となる学生は、進学時に進学先の大学等で手続きをすることで、「入学金・授業料の減免」を受けることができます。ただし、新しい制度の対象となる大学等は、学問追求と実践的教育のバランスがとれているか、など一定の要件を満たした学校です。
 
進学予定校が対象として認定されたかは、2019年9月中下旬に文部科学省のホームページで公表される予定です。
 
対象となる学生は、住民税非課税世帯及びそれに準ずる世帯の学生です。基準を満たす世帯年収は家族構成により異なります。自分が受け取れる給付額は、日本学生支援機構の「進学資金シミュレーター」で調べることができます。なお、毎月の支給額は、前年の所得金額等に基づき、毎年度秋ごろに見直されます。
 
また、学生と生計維持者(2人)の資産額の合計が2000万円未満(生計維持者が1人のときは1250万円未満)であることも要件になっています。なお、資産には土地等の不動産は含みません。
 
学力に関しては、高校等における全履修科目における評定平均値が、5段階評価で3.5以上あるか、または、3.5未満の場合は、将来自立し、及び活躍する目的をもって、進学しようとする大学等における学修意欲を有することが必要です。学修意欲の確認は、高校等において、面談の実施またはレポートの提出等により行われます。
 
どのくらい支援してもらえるかは、世帯の所得金額に応じて、進学先が国公立か私立か、自宅通学か自宅外通学か、により異なります。
 
例えば、住民税非課税世帯の学生が、私立の専門学校に自宅から通学する場合、年額約46万円が給付され、入学金約16万円(上限)及び授業料年額約56万円(上限)が減免されます。
 
住民税非課税世帯に準ずる世帯の学生への支援策は、上記の2/3または1/3になります。なお、学費の不足分は、貸与型奨学金(返済義務あり)も併用可能です。ただし、無利子の第一種奨学金の利用は制限されます。
 

申込のポイント

本年は例年よりも申込(予約)の時期が遅くなっています。高校により申込みの時期は異なりますが6月下旬から7月下旬までが多いでしょう。在籍校の先生に申込方法やスケジュールを確認しましょう。卒業後2年以内であれば在籍していた高校で申込むことができます。
 
返済不要の給付型の奨学金と同時期に、返済義務のある貸与型奨学金も募集が始まりますので、両方、申し込んでおくと安心です。
 
奨学金の申込は専用のホームページ「スカラネット」から申し込みます。その際、マイナンバーの入力と、マイナンバーの日本学生支援機構への提出が必要になります。マイナンバー関係書類の提出は、インターネットでの入力後、1週間以内に本人と生計維持者の分を簡易書留で郵送する必要があります。マイナンバー関係書類の早めの準備が重要です。選考結果(採用候補者決定通知書)は、12月頃に高校を通じて交付されます。
 
無事申込が済んでも安心してはいけません。AO入試や推薦入試は、早い場合、高3の秋ごろには合格が決まり、入学手続きとしてまとまったお金が必要になります。この資金が不足している場合には、新しい修学支援制度は間に合いません。国の教育ローン(日本政策金融公庫)や母子父子寡婦福祉資金(市区町村)、生活福祉資金(社会福祉協議会)、入学資金あっせん融資(市区町村)などが入学金等に利用できますので、早めに相談することもお忘れなく。
 
なお、労働金庫の入学時必要資金融資は、日本学生支援機構の入学時特別増額貸与奨学金の採用候補者が対象ですので、AO入試や推薦入試の入学手続き時納付金には間に合わないでしょう。
 
執筆者:新美昌也(にいみ まさや)
ファイナンシャル・プランナー。

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