更新日: 2019.01.08 その他

日本学生支援機構の奨学金のここが変わった!

日本学生支援機構の奨学金のここが変わった!
日本学生支援機構(旧日本育英会)の奨学金に給付型の奨学金が新設されましたが、変更点は、これだけではありません。主な変更点をまとめてみました。
新美昌也

Text:新美昌也(にいみ まさや)

ファイナンシャル・プランナー。

ライフプラン・キャッシュフロー分析に基づいた家計相談を得意とする。法人営業をしていた経験から経営者からの相談が多い。教育資金、住宅購入、年金、資産運用、保険、離婚のお金などをテーマとしたセミナーや個別相談も多数実施している。教育資金をテーマにした講演は延べ800校以上の高校で実施。
また、保険や介護のお金に詳しいファイナンシャル・プランナーとしてテレビや新聞、雑誌の取材にも多数協力している。共著に「これで安心!入院・介護のお金」(技術評論社)がある。
http://fp-trc.com/

給付奨学金の新設

住民税非課税世帯の生徒と社会的養護を必要とする生徒が申し込めます。各学校は日本学生支援機構が示す推薦枠の範囲内で推薦します。

ただし、社会的養護を必要とする生徒は、推薦枠の範囲外で推薦することができます。推薦基準は日本学生支援機構のガイドライン(人物、健康、学力及び資質、家計の4項目が記載)に基づき、各学校の教育目標や実情を考慮して独自に定めます。
第一種奨学金のように、必ずしも成績だけで判断されるわけではありません。
 
給付額(月額)は、私立下宿生が4万円、私立自宅及び国公立下宿生が3万円、国公立自宅生が2万円です。社会的養護を必要とする生徒については、採用時に別途一時金24万円が支給されます。
 
ただし、国立の大学等に進学して、授業料の全額免除を受ける場合は、給付金額(月額)が減額されます。申し込みは、進学前に申込む「予約採用」のみです。学業成績が著しく不振の場合は、給付奨学金の返還が求められることがありますので、気を付けましょう。
 

所得連動返還方式の新設

 
無利子の第一種奨学金の返還のみ、従来の「定額返還方式」に加え、「所得連動返還方式」を選択できるようになりました。「所得連動返還方式」は、卒業後の年収に応じて毎年の返還額が決まるので、年収の少ないときも無理なく返還できます。
 
たとえば、4年間、月額5万4000円を借りた場合、「定額返還方式」では、返還額は毎月1万4400円ですが、「所得連動方式」では、年収200万円では月額約4700円、年収300万円では月額約8900円、年収400万円では月額約1万3500円となります。
 
ただし、最低返還額は月額2000円です。注意点としては、返還額が少ないと、「定額返還方式」より、返還期間が長くなる点です。その他、奨学生採用時にマイナンバーの提出が必要です。保証制度は「機関保証」のみとなっています。

減額返還制度の拡充

 
減額返還制度は、卒業後の返還が、病気・失業等で困難になったときに、毎月の返還額を減額して返還するしくみです。従来の、毎月の返還額を2分の1にして2倍の期間で返還する方法に加え、毎月の返還額を3分の1にして3倍の期間で返還することができるようになりました。減額できる通算の期間も10年から15年間に延長されました。なお、「所得連動返還方式」を選択している奨学金については利用できません。

貸与月額の新設

 
無利子の第一種奨学金の貸与月額は、通学先と通学形態で決まります。私大下宿生の場合、選択できる金額は従来、6.4万円・6万円・3万円でしたが、新設後は、6.4万円・6万円・5万円・4万円・3万円・2万円と選択できる金額が増えました。ただし、最高月額(この場合は6.4万円)を利用できるのは、世帯収入が一定以内の場合に限られることになりました。利子付きの第二種奨学金の貸与月額は変更ありません。

成績基準の撤廃

 
住民税非課税世帯の生徒は、無利子の第一種奨学金の学力基準である「評定平均値3.5以上」が適用されなくなりました。

残存適格者の解消

 
従来、無利子の第一種奨学金は成績基準を満たしていても、予算の制約から採用されなった生徒がいましたが、これが解消されます。

保証料の引き下げ

 
無利子の第一種奨学金の保証料は、従前より約15%引き下げとなりました。

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