更新日: 2019.01.08 その他

〈家庭でできるマネー教育〉 ⑦お金ってなぜ大事なの? お金の大切さを子供にどう伝えるか?

執筆者 : 黒澤佳子

〈家庭でできるマネー教育〉 ⑦お金ってなぜ大事なの? お金の大切さを子供にどう伝えるか?
「1円を笑うものは1円に泣く」などということわざがあります。

昔から「お金は大切にしなさい」と教わってきましたが、なぜ大切なのでしょう?

今の子供の周りにはモノがあふれているだけでなく、お金にもあまり不自由な思いをせずに育つ子が多いです。それだけでなく、われわれ親世代もそこまで不自由な思いを経験していません。

それどころか「バブルのときは、お札でパタパタ仰いだんでしょう?」なんて、子供に聞かれたことがあります。私はそんな経験はありませんが、確かにテレビではそんな光景をバブル期の映像として流していますよね。

そんな時代だからこそ、原点に戻り、お金がなぜ大切なのか、子供たちにきちんと教えてあげたいもの。以下のように「お金の役割」や「お金の価値の変化」から、お金の大切さをお子さまに説明してみてはいかがでしょうか?
黒澤佳子

Text:黒澤佳子(くろさわよしこ)

CFP(R)認定者、中小企業診断士

システム監査技術者、不正検査士(CFE)
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
毎日小学生と高校生の子育てに七転八倒しながら、明日の子供たちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性が自分らしく希望を持って生きられるよう、女性起業家支援を中心に経営サポートを行っている。
大学では会計、マーケティング、経営、経済等のビジネスの基本科目の講義を担当。
https://www.atharmony-office.jp/

 

お金がなかったらどうなるの?お金の役割を考えてみよう

 
お金には「価値機能」「交換機能」「貯蔵機能」と、3つの貨幣機能があります。

まずお金は、モノの価値尺度として使われています。2つのおもちゃがあったときに、1つはりんご5個分、1つはみかん10個分と言われたら、どちらが高価なのかよくわかりません。お金という共通のものさしを使って測ることで、モノの価値を比べることができるのです。

また、欲しいゲームソフトがあるとき、「手元にあるプレミアムカードを10枚あげるから、ゲームをちょうだい!」といっても、相手がそのプレミアムカードに価値を感じなければ、その交換条件は成立しません。お金であれば1万円は1万円、みんなが同じ基準で価値をとらえるので、交換条件として成り立つ可能性が高くなるのです。

さらに、お金は貯蔵手段としての機能を持っています。お米と獲れたての新鮮な魚を交換したとします。お米はしばらくとっておくことができますが、魚はすぐ食べないと腐ってしまいます。硬貨や紙幣はとっておいても腐ったりせず、貯蔵することができるのです。

 

お金の価値って一定だよね?いいえ、お金の価値は変わることがあります。

 
今ここにある1万円札は、1年後も1万円札です。しかし今の1万円と1年後の1万円では価値に違いがでてきます。これを経済学では時間価値といいます。

例えば、金利1%の場合、今1万円を1年預ければ、1万100円になります。つまり今の1万円と1年後の1万円では、今の1万円の方が、価値が高くなります。ちなみに、1年後の1万円を今の価値(現在価値といいます)にすると、9,900円です。

物価上昇率で考えることもできます。

1年後に物価が1%上昇するとします。そうすると今1万円のものは、1年後には1万100円になります。1万円を持っている場合、今なら買えますが、1年後には買えません。

物価が上がっていくときは、消費者は少しでも安いうちにモノを買おうとするので、消費が増え、お金が使われます。お金が使われるようになると、銀行は少しでも預金をしてもらうため金利を高くします。

物価上昇率以上の金利で運用しないと、お金の価値は目減りしてしまうとも言えるのです。

お金を大切にする姿勢やお金との向き合い方を育む時、貯蔵ができるというお金の機能と、時間によって変化するお金の価値をセットで理解することが大切です。お子さまにもぜひわかりやすく伝えていただければと思います。

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