更新日: 2019.06.26 その他
【どうして?】人口は減っているのに増え続ける住宅(後編)
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しかし昨今は増えすぎてしまい、空き家が社会的な問題となっています。2019年4月に発表された住宅・土地統計の調査結果から住宅の現状について確認し、将来の問題点を考えてみました。
![松浦建二](https://test.financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2017/10/matsuura1b-150x150.jpg)
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
1990年青山学院大学卒。大手住宅メーカーから外資系生命保険会社に転職し、個人の生命保険を活用したリスク対策や資産形成、相続対策、法人の税対策、事業保障対策等のコンサルティング営業を経験。2002年からファイナンシャルプランナーとして主に個人のライフプラン、生命保険設計、住宅購入総合サポート等の相談業務を行っている他、FPに関する講演や執筆等も行っている。青山学院大学非常勤講師。
http://www.ifp.cc/
東京都は住宅も人口も集まり続けている
前編で下記の住宅数の多い都道府県別と少ない都道府県別の表を載せました。
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資料:総務省「住宅・土地統計調査(平成10年・平成30年)」 単位:戸
20年前と比べると20の都道府県全てで住宅数が増えていますが、そんなに住む人が増えているのか確認するために、同時期の人口の変化も調べて表にしてみました。
下記表に記載の都道府県は人口の順でも人口の増加順でもなく、住宅数の表と同じ順にしてあります。割合は全国に占めるその都道府県の割合で、増減数と増減率は1998年度と比べた2018年度の数や率となっています。
![](https://test.financial-field.com/wp/wp-content/uploads/2019/06/476be8e45b7adbf739e617808e27fe26-19.jpg)
東京都の住宅数の割合は12.3%なので、人口(10.9%)の割合より1.4%高く、日本全国の8分1程度の住宅が集まっています。また、住宅数は20年間で1.0%上昇していますが、人口は住宅数を上回る1.5%も上昇しています。東京都の場合、この20年間で住宅数が200万戸も増えましたが、人口が199万人増えたこともあって、住宅数の増加分を吸収できていると言えます。将来の人口増加への期待も住宅数に影響しているでしょう。
神奈川県・愛知県・埼玉県等も東京都と同じ様に住宅数も人口も増加しており、全国に占める割合が高まっています。
北海道と静岡県は住宅数も人口も多い道県ですが、20年間で住宅数は増えているのに割合は低くなっています。人口が減少し、全国に占める割合も低くなっていることが影響しているのでしょう。
住宅数の多い10都道府県を合計すると、全国に占める住宅数の割合は58.5%になり、20年間で56.9%から1.6%高くなっています。そして、人口の割合は54.3%が57.3%へ3.0%高くなっています。ここ20年は住宅も人口もこれらの都道府県に集まっていく状況にあったと言えますが、今後はどうなるのでしょうか。
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徳島県は人口が11%減に対し住宅が19%増
今度は住宅数の少ない都道府県の人口の変化を住宅数と絡めて確認します。
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資料:総務省「人口推計(1998年・2018年)」単位:千人
住宅数が少ない都道府県は人口も少なく、鳥取県は住宅数が26万戸、人口が56万人で全国に占める割合はともに0.4%しかありません。そして共通して言えるのは人口が減っているにもかかわらず住宅数が増えていることです。例えば、山形県は20年間で住宅数が14.1%増えたのに対し、人口は13.0%も減っています。その結果、1戸あたりの人口を計算すると3.17人から2.42人へ大幅に減っています。
他も1戸あたりの人口を計算してみると、表の20都道府県で最も多いのが山形県の2.42人、次が佐賀県の2.32人で、最も少ないのは高知県の1.801人、次が東京都の1.803人となっています。住宅数の多い都道府県は2.17人~1.80人の範囲、少ない都道府県は2.42人~1.80人の範囲なので、1戸あたりの人口は住宅数の多い少ないとはあまり関係はなさそうです。
表を作成していて気づいたのですが、日本の人口は2018年(平成30年)10月1日と1998年(平成10年)10月1日がほとんど同じ(4.3万人差)です。人口は20年前に戻ってしまいましたが、住宅数は1217万戸(24.2%)も増えています。住宅だけが24%も増えれば当然問題はいろいろ生じます。昨今の空き家問題もその一つです。
中古住宅の流通活性化や新たに建てる住宅数の制限、積極的な解体等、様々な政策を推進していく必要があるのではないでしょうか。
執筆者:松浦建二(まつうら けんじ)
CFP(R)認定者