更新日: 2019.01.08 その他
借金して大学進学、意味ある?
最近では奨学金とか教育ローンの話は、高校3年生本人にも理解してもらう必要性が増しました。なぜなら、教育ローンはさておき、奨学金の申し込み窓口は学校であり、成績が審査に関わってきますので、保護者の年収や経済状況だけで済ませられる問題ではないからです。
高校生がいよいよ長いライフプランニングと真剣に向き合うデビューのきっかけになります。
Text:柴沼直美(しばぬま なおみ)
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com
奨学金と教育ローンの違い:「主語の違い」
ご相談で「教育ローンと奨学金とどちらがいいんでしょうか?」というご質問をお受けすることがあります。「どうしてそう思われるのでしょうか」と聞き返すと、「教育ローンはローンという名前の通り返さなければいけないけれど、奨学金って返さなくてもいいような気がするし」と言われます。
奨学金の仕組みは国の施策によって変わりますので、整理しておきましょう。まず奨学金と教育ローンの大きな違いは主語です。奨学金は「子どもが借りる(あるいは給付を受ける)」のに対して、教育ローンは「保護者が借りる」のです。したがって返すのも保護者が返します。まずはここをおさえましょう。
平成29年からスタートした給付型奨学金
日本学生支援機構では、特に経済的に厳しい世帯(家計支持者の住民税の所得割が非課税)または生活保護受給中か、18歳時点で児童養護施設等に入所している生徒又は18歳時点で里親等のもとで養育等されている生徒に対して平成29年度から先行的に給付型奨学金制度をさせています。給付型ですから返還しなくてもいいのです。
ですが、ちゃんと誓約書を提出し、7月と10月には在籍確認を行い、毎年度給付奨学金継続願を提出しなければ交付が止まってしまいますので目的をもって充実した学生生活を送らなければなりません。これらの財源は国の税金ですから当然といえば当然です。それ以外にも従来型の所得に応じた貸与型奨学金(利子ありと利子なし)は継続して提供されています。
奨学金の申し込みは意外と早い
ここで注意しなければならないのは、給付型奨学金と従来からある貸与型奨学金も利子がつかない(つまり100万円借りたら100万円だけ返還する)タイプの募集時期は申し込みや書類の手続きが意外と早く締め切られるということです。
具体的には5月中旬~7月中旬です。そのころにはまだ進路が固まっていないかもしれませんが、奨学金を活用して大学生活を考えている生徒や保護者はタイミングに十分気を配り、乗り遅れないようにしなければなりません。「聞いてなかった」という言い訳は通用しない、という大人のルールが適用される初めての経験になるかもしれません。