更新日: 2019.06.13 子育て
教育・進学資金の代表的な準備方法は6つあることを知っておこう
なぜ、まとめるかというと、教育・進学資金を準備する方法はたくさんあるのに、一択しかないと思っているご家庭が多いように感じるからです。
本来、教育・進学資金、特に大学などの高等教育への進学資金の準備方法や対策は、ご家庭によって異なってしかるべきものです。しかし、これを、みんなが同じように考える傾向があります。おそらく、ここに家計におけるお金の流れが滞りやすくなっている原因があると考えます。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
教育・進学資金の代表的な準備方法
大学などの高等教育機関に進学する場合、子育て資金としてまとまったお金が必要になります。
一般的には、その準備方法として(2)「学資保険」を選ぶご家庭が多いですが、マイナス金利政策を導入した2016年以降、学資保険の利率が下がり多くの商品で元本割れしてしまったため、学資保険自体を取り扱わなくなった保険会社もあります。
この流れを受けて、いくつかの保険会社では終身保険をお子さんの進学時期に合わせて解約し、その解約返戻金をもとに進学資金を準備するという手法を勧めるとともに、終身保険の販売に力を入れるようになりました。
しかし、実務的には、それらの保険商品の利回りを計算してみると、(1)預貯金、例えば定期預金の金利よりも年利が低いケースもあります。そのため、ご家庭によっては預貯金の活用も選択肢のひとつとして考えてみましょう、というお話をすることがあります。
また、比較的、家計に余裕があり、リスク許容度の高いご家庭の場合、(3)ジュニアNISA(少額投資非課税制度)と呼ばれる、資産運用しながら子どもの教育・進学資金を増やしていく方法についても言及します。
親御さんからの資金援助が見込めるご家庭では、(4)教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度を活用することも検討してみましょうというお話もします。
さらに、以前お伝えした(6)国の奨学金や(5)国の教育ローンといった方法も選択肢としてあります。これらはすべて、そのご家庭の家族構成やライフステージ、ライフイベントに影響を受けるため、どの方法がそれぞれのご家庭にとって最適かを探っていきます。
「知らなかったから損をした」がないように、必要な情報を得よう
本来、家庭はみんな一緒ではないことを、本当はみなさん分かっています。
しかし、教育・進学資金の準備方法ひとつをとっても、その選択肢について十分知らされないため、結果として、みんな一緒の結論となり、みんな一緒の行動をしてしまいがちになっている気がします。
子どもの教育資金は、住宅購入資金、老後の生活資金、生命保険の保険料と並び、「人生の4大支出」と呼ばれます。長い人生を通じてライフステージが変化し、それにともないライフイベントも変わっていきます。
そして、ライフイベントにより家計におけるお金の流れが変わっていくため、方法を誤ると、そこに機会損失が生まれます。簡単にいうと、「知らなかったから損をした」ということです。教育・進学資金についても、必要な情報を得ることを心がけましょう。
次回は、今回取り上げた教育・進学資金の代表的な準備方法を採用した場合に、それぞれが家計内でどのようなお金の流れを作るかについて解説していきます。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)