更新日: 2019.06.13 その他

「起業したいと思っていますが始めるべき準備は何がありますか?」

執筆者 : 園田経人

「起業したいと思っていますが始めるべき準備は何がありますか?」
これから世の中は大きく変わります。
 
「元気でまだまだ働くことができるけど、定年だから悠々自適に……」という生活どころか、終身雇用で安心して働くことさえままならない世の中になりつつあります。どう生きるかの人生設計を、老いも若きも一人ひとりが真剣に考える時期にきています。
 
そんな中、皆さまの周りには独立起業をされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。アベノミクスの3本の矢の一つに成長戦略があり、創業支援やスタートアップが叫ばれ始めてから久しい今、副業OKな会社も増え、副業を推奨する会社さえ出てきています。
 
いずれは自分も起業したい、この先を考えて何か収入を得る手だてを用意しておきたいという方のために、今回は「起業」について考えてみます。
 
園田経人

執筆者:園田経人(そのだ つねと)

株式会社SFPコンサルティング 代表取締役

学習塾在職中に「FP」に出会い、自分自身の未来設計の無さに気付き、大人の進路指導をすべく生命保険会社へ転職。そこで営業を行う中でそもそものファイナンス知識の普及の重要性を痛感し、FPを活用した経営コンサルティング会社を起業。現在、創業支援や中小企業向けの経営支援を中心に活動中。お金に振り回されない未来こそが幸せな未来だと考えます。

起業するにはまずは借入れから

借入れをすることに対して抵抗感がある方は多いと思います。しかし、起業するなら借りることから始めるべき、というのが私の持論です。
 
まず、借入れの資料作成や交渉を通して、自身の創業計画を磨きあげることできます。目算がなければ、貸す側も首を縦には振りません。
 
また、資金的な余裕があると心にも余裕ができます。余裕があると、チャレンジ精神を損なうことなく、攻めの経営ができます。また、チャンスだと思ったらすぐに動くことが可能です。
 
そして何よりも、起業してしまうと簡単にお金を借りることができません。決算書を見てから、になります。事業を始めてから1年間は黒字にできないことも考えられるため、事業を始める前、実績がなくても貸してもらえる時期に借入れをしておいたほうがよいのです。

<借入れできる創業計画書の作り方>

今回は、創業時に一番身近な日本政策金融公庫で借入れることを想定します。審査する側が判断するポイントがあります。(以下は一例です)
 
(1)きちんと考えているか、その事業に対して熱い想いがあるか
(2)計画性はどうか、周囲の支援はどうか
(3)自己資金内容(通帳内容)はどうか
(4)万が一予定通りにいかなかったとき、融資が満額でない場合、どうするか

 
まず前提として、その事業に関して、審査する側よりも当然あなたのほうが知っています。融資のプロであっても、その事業のプロではありません。もちろん数字はしっかり見られますが、その他の部分についてはあなたとのやりとりの中で信用に値するかどうかを判断します。
 
(1)では社会をどうしたいのかという志と厳しいときに頑張れるかの精神面を、(2)では数字の根拠と実現の具体性、そして家族や周囲を納得させる用意周到性を、(3)では税金の滞納がないかなど金銭面の透明性を、そして(4)では対策代替案から危機管理能力を見られます。
 
そして、何よりあなたの強みを活かせる事業かどうかの一貫性が大事です。あなたの想いを、熱く熱く語ってください。 
 

その他、借入れしやすくなる交渉時のポイント

1.自己資金と借入金額の比率の目安は1:2程度
融資制度ごとにさまざまな要件がありますが、例えば300万円必要な事業であれば、その3分の1の100万円は自己資金で捻出し、残りの200万円を借入れるのが妥当と考えられます。自己資金を準備できる計画性も大きな判断基準です。
 
2.自己資金は運転資金に充て、3ヶ月で黒字化を目安にする。借入金は設備資金に充てる
 
3.交渉で分からないときは場当たり的にごまかさず、あとで調べて返答する。嘘はNG
 
4.言葉遣い、服装、身だしなみ、で人柄を見られる
 
今回は、起業をするならまずは借入れ交渉から始めるべきだということをお伝えしました。
 
お金を借入れる交渉を挟むことにより、その事業の成功確率はぐんと上昇します。貸す側も回収の見込みがなければ1円たりとも貸さないはずです。自身の創業計画を客観的に評価してもらう意味でも有効です。たとえ潤沢な自己資金があるとしても、まずは借入れ交渉から創業を始めましょう。
 
執筆者:園田経人(そのだ つねと)
株式会社SFPコンサルティング 代表取締役
 

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