教育資金準備で慌てない為のコツとは?
配信日: 2019.05.16 更新日: 2019.06.13
執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント
「お金しだい」の人生から「自分しだい」の人生への選択をサポート。家計相談28年、相談件数4,000件超。家計相談と合わせて、その方の才能や適職を診断し潜在能力を高める「咲かせようじぶん資産」をテーマに個人セッションとワークショップを開催。
教育費は小学校~大学までの全体像を把握する
教育費の鉄則は、
(1) 毎月かかる教育費は毎月の収入からまかなう(ボーナスをあてない)
(2) 各入学時の費用と、大学など18歳以降の教育費は、あらかじめ積み立てておく
の2点です。
特に(1)の毎月の教育費は、公立と私立を比較した場合、私立の方がおおむね3倍程度多くかかります。そのため、小・中学校から私立に通う場合は、長期的に収入のめどが立つか、シビアに検討する必要があります。
また、(1)の教育費をさらに分類すると、「学校に納める給食費等」と「習い事や塾などの学校外での教育費」とに分かれます。
調査データを見ると、学校外の教育費が思いの外かかることがわかります。しかし、こうした習い事や塾は個人で選択できるもの。だからこそ、いつ、何に払うかをあらかじめ計画しておきましょう。
例えば、中学受験前には塾費用をしっかり捻出したいので、低学年では習い事を厳選する。子どもが興味を持っている分野に集中的にお金をかける……。親の教育への考えを整理しておくことで、かける費用を最大限に生かすことができます。
子どもごとの教育費スケジュールを一覧にする
(2)は、毎月ではまかなえない金額の教育費です。特に18歳からの進路では、専門学校か大学かを問わず、おおむね1年あたり100万円程度の教育費がかかります。
ちなみに、私立大学文系で4年間の教育費総額は、約400万円です。仮にその半額の200万円を準備するとして、0歳から18歳になるまで、毎月1万円の積み立てが必要です。
(1)の支出が毎月発生しながら、別途(2)のお金を準備していかなければなりません。(1)がかさみすぎて、(2)の準備がままならないということがないように、毎月の教育費は家計を圧迫しない程度の予算にすることが大事です。
さらに、子どもが複数人いる場合には、いつ頃にどれくらいのお金が出ていくか、イメージしておきましょう。子どもごとにかかる教育費を、時系列に書き出してみるのをおすすめします。一覧表を作ることで、教育費のかさむ時期がいつ始まり、いつ終わるかがひと目でわかります。
さらに、このピンチ時期の前に積立を多めにする、住宅ローンを繰り上げ返済する、保障や家計の見直しをするなど、前もって備えることもできます。
児童手当を有効に使う
(2)の積み立ては、引き出しにくさを第一に考えれば、満期金重視の子ども保険(学資保険)で貯めるのがよいでしょう。また、意外にかかる入学時の費用も、別途貯めておくのが理想です。両方の積み立てを行うのが難しい場合は、児童手当(子ども手当)を貯めるのが確実です。
児童手当は、子どもが中学3年の3月になるまで支給され、支給額は0歳から3歳未満は毎月1万5000円、3歳以降は1万円です。(※)
児童手当を貯めておくと、小学校入学前には約90万円、中学入学前までには約160万円のお金が作れる計算になります。入学時の支出や修学旅行などの費用は、そこから引き出すようにすれば慌てずに済みます。
児童手当をしっかり貯めていくには、引き出しにくい工夫をしておくとよいでしょう。受取口座を毎月の給料が入る口座ではなく、都市銀行など支店の少ない銀行にする、キャッシュカードを作らず通帳でおろす、などといったことです。
子どもの教育費を出せるのは、親の幸せでもあります。子どもの成長を願いながら、楽しく準備していきましょう。
※親の所得が一定以下で、第1子・第2子の場合。第3子以降は期間中1万5000円/月定額を支給。(2019年4月現在)
出典
文部科学省「教育投資参考資料」
文部科学省「平成28年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について」
執筆者:波多間純子(はだまじゅんこ)
㈱bloom代表。ファイナンシャル・プランナー(CFP(R)),キャリアコンサルタント