抹茶ソフトが「700円」してビックリ! 伊藤園も「緑茶・抹茶」製品の価格改定へ…“抹茶価格高騰”の理由とは
配信日: 2025.08.13


日々の生活における、お金にまつわる消費者の疑問や不安に対する解決策や知識、金融業界の最新トレンドを、解りやすく毎日配信しております。お金に関するコンシェルジェを目指し、快適で、より良い生活のアイディアを提供します。
なぜ抹茶ソフトが700円超に? 抹茶価格高騰の背景
近年、日本国内外で抹茶の需要が急増しています。特に海外での抹茶ブームにより輸出量が増え、国内の原料供給が逼迫(ひっぱく)しています。
抹茶の原料となる「碾茶(てんちゃ)」は生産量が増加傾向にありますが、茶農家の高齢化や老園化による栽培面積の減少などにより、需要に応えきれていないのが現状です。
さらに、エネルギー価格や人件費の上昇も影響し、原料価格が高騰。それにともない、抹茶を使った商品の価格も上昇しており、7月31日に飲料水メーカーの株式会社伊藤園は、一部の緑茶・抹茶製品の希望小売価格および出荷価格を2025年9月1日および10月1日より改定する方針を決定しました。
伊藤園の緑茶・抹茶製品、9月以降の価格改定とその意味
株式会社伊藤園は、2025年9月1日から抹茶製品計19品目、および10月1日から緑茶リーフ製品計32品目(ティーバッグ茶や顆粒茶も含む)の希望小売価格を引き上げることを発表しました。
抹茶製品の価格改定率は48.8%から100%に達し、一部製品では価格がほぼ倍になるケースもあります。例えば、「寿榮の昔(30g)」の希望小売価格は、3024円から4536円になります。
株式会社伊藤園は茶産地育成事業や生産技術向上など、さまざまな企業努力を重ねてきました。しかし、需給ギャップが大きく、企業努力だけでは安定供給が困難な状況です。
今回の決断は、そうした状況を踏まえた苦渋の決断といえるでしょう。
茶業界を襲う人手不足・栽培面積減少と需給ギャップの実態
茶農業従事者の高齢化や後継者不足により、碾茶を含む抹茶用茶葉の栽培面積は減少している状況です。
一方、緑茶・抹茶製品の世界的需要は年々増加しており、2024年の日本茶輸出額は過去最高を更新しました。2025年1~4月は前年を上回るペースで推移しています。特に抹茶の輸出は著しい伸びを示し、海外の抹茶カフェや甘味処が人気を集めています。
こうした構造的な需給ギャップが生まれ、茶葉の原料価格は継続的な高騰が避けられない状態です。また、製茶業者の倒産や休廃業も増加傾向にあり、産業全体に逆風が吹いています。需要拡大の好機でありながら、生産基盤の脆弱(ぜいじゃく)さが今後の課題となっています。
まとめ
抹茶製品の価格上昇は消費者の財布に直撃しますが、一方で品質向上や生産者支援にもつながる動きです。消費者としては、商品の価格だけでなく、その背景にある農業や地域経済への配慮・応援の視点も持つことが大切です。
また、抹茶製品は健康志向の高まりや国内外の需要増により、今後も需要は底堅く推移すると予想されます。抹茶価格の高騰は単なる消費者負担の増加にとどまらず、茶業界の持続可能性を問う重要な課題でもあるのです。抹茶文化を守り、健全な市場を未来に残すためには、生産・販売両面での工夫と協力が不可欠です。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー