共働き夫婦ですが、子どもを「私立大学」に通わせるには“奨学金なし”では無理!? 世帯年収800万円でも足りない?
配信日: 2025.08.12

本記事では、最新の学費相場と制度、そして奨学金なしで進学させるための準備について具体的に解説します。

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私立大学の学費はどれくらい? 年収800万円世帯の負担感
私立大学の学費は、学部や学科によって異なりますが、文部科学省「令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査」によると、初年度の学生納付金は文系で年間約128万円、理系では約161万円とされています。これは授業料、施設設備費、入学料、実験実習料、その他費用の合計金額です。
2年目以降は、授業料と施設設備費のみで計算した場合でも、文系で約97万円、理系なら約130万円かかるため、総費用はさらに高くなることも想定しておきましょう。
世帯年収800万円の家庭では、税金や社会保険料などを差し引いた手取りの目安は約600万~680万円です。そこから生活費や住宅ローン、車の維持費などを支払うと、教育費に年間100万円以上を確保するのは決して容易ではありません。特に下宿や一人暮らしを伴う場合は、生活費が月10万円以上かかることもあるため、さらに負担が増します。
給付型奨学金は年収800万円で使えるのか?
返済不要の「給付型奨学金」は魅力的ですが、利用できるかどうかは世帯年収に左右されます。日本学生支援機構(JASSO)の基準では、4人世帯での目安は年収約380万円未満です。そのため、年収800万円では原則として対象外です。
ただし、例外もあります。たとえば、子どもが3人以上いる「多子世帯」や、住民税非課税世帯の一部は対象基準が緩和されます。さらに、一部の大学や自治体独自の給付型奨学金は年収基準が異なり、800万円台でも申請可能なケースもあります。したがって、「うちは無理」と決めつける前に、各制度を確認することが大切です。
奨学金なしで進学するための現実的な準備方法
給付型奨学金が使えない場合でも、進学費用をまかなう方法はいくつかあります。
まず大切なのは早めの貯蓄です。たとえば、子どもが生まれてから毎月2万円ずつ18年間積み立てると、単純計算で約430万円になります。学資保険を活用すれば、保険としての保障と貯蓄を同時に確保できます。
次に教育ローンの活用です。日本政策金融公庫の「国の教育ローン」は、年収800万円でも条件を満たせば利用できます。固定金利で返済計画が立てやすい点もメリットです。
また、貸与型奨学金(第二種)を活用し、一部を借りて残りを貯蓄で補う方法もあります。全額を借りるのではなく、一部を計画的に利用することで、卒業後の返済負担を軽減できます。
まとめ
年収800万円の世帯では、私立大学進学費用を全額自己負担するのは簡単ではありません。しかし、早めの貯蓄や制度の活用、教育ローンの利用などを組み合わせれば、「奨学金なし」も現実的な選択肢になります。
進学資金は、一度に準備しようとすると大きな負担になりますが、計画的に備えれば実現可能です。制度は年度ごとに変更される場合があるため、日本学生支援機構や自治体、大学の公式サイトで最新情報を確認し、家庭に合った方法を選びましょう。早めの行動が、子どもの希望をかなえる第一歩となります。
出典
文部科学省 令和5年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金平均額(定員1人当たり)の調査結果について
独立行政法人日本学生支援機構 進学前(予約採用)の給付奨学金の家計基準
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー