駅のホームで体調を崩して「救急車」を呼んだところ、朝のラッシュ時に「電車」が「遅延」してしまいました…。この場合、“賠償責任”が発生することはあるのでしょうか?

配信日: 2025.08.11

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駅のホームで体調を崩して「救急車」を呼んだところ、朝のラッシュ時に「電車」が「遅延」してしまいました…。この場合、“賠償責任”が発生することはあるのでしょうか?
駅のホームで急に体調を崩し、救急車を呼んだことで電車の運行に遅れが出てしまった時、「多くの人に迷惑をかけてしまった」「もし鉄道会社から損害賠償を請求されたらどうしよう」と不安に思うかもしれません。
 
今回の記事では、駅での体調不良による遅延と賠償責任について分かりやすく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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急な体調不良による遅延で、賠償責任を問われる可能性は低い

実際のところ、駅のホームや車内で体調不良により電車が遅延した場合、本人や家族に損害賠償責任が発生する可能性は、基本的に低いとされています。
 
理由としては、法律上では「故意」や「過失」がある場合を除き、体調不良や不慮の事故など「やむを得ない事情」で生じた遅延については賠償を負わないというのが一般的な考え方だからです。
 
急病は誰にでも起きうる事情であり、不可抗力とみなされるため、鉄道会社も損害賠償を請求することは例外的でしょう。
 

賠償責任が問われる「故意・過失」とは?

一方で、民法第709条では「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と定められています。
 
例えば、泥酔して線路に立ち入ったり、他の乗客とのトラブルや悪ふざけで電車を止めたりした場合は、過失や故意が認定される可能性があり、高額な損害賠償請求が行われる可能性もあるでしょう。
 

救急搬送でかかるお金はどれくらい?

体調を崩して駅で倒れた場合、救急車で搬送されることになりますが、その際に気になるのが費用です。
 
日本では、救急車による搬送は行政サービスとして提供されており、費用は税金によってまかなわれています。そのため、利用者が直接費用を支払う必要は原則としてありません。
 
一方で、搬送後の状況によっては、次のような費用が発生するケースもあります。

●緊急性がないと判断された場合の「選定療養費」:数千円〜1万3000円程度
●医療機関での処置・検査などの自己負担分:数千円〜1万円程度(保険診療3割負担)
●搬送先が遠方の場合の交通費(帰宅時のタクシー代など):3000円〜5000円程度

このように、救急搬送そのものは無料であっても、合計で1万円〜2万円程度の出費が発生する可能性もあります。ふだんから体調管理や服薬の状況を把握しておくことに加え、突発的な医療費や移動費に対応できる備えをしておくと安心でしょう。
 

心がけたい「日頃の体調管理」

賠償責任がないからといって、「何も気にする必要はない」と考えるのは適切とはいえないかもしれません。法的な話とは別に、社会生活を送る上での「配慮」という視点も重要です。
 
特に都市部では、朝のラッシュ時にひとたび電車が止まると、多くの乗客や鉄道のダイヤに大きな影響を与える可能性があります。鉄道会社にとっても、遅延対応や乗客への案内に多大な労力がかかることになるでしょう。
 
こうした事態を未然に防ぐためにも、ふだんから自身の体調を過信せず、睡眠不足や脱水、体調不良の兆しがある日は特に注意するなど、体調管理を意識することが重要です。
 

駅で体調を崩して遅延が起きても、賠償責任を問われることは基本的にはない

駅のホームで体調を崩し、その結果として電車が遅延しても、賠償責任を問われる可能性は低いでしょう。急な体調不良は法的な「過失」とはみなされず、誰の身にも起こりうることだからです。
 
重要なのは、我慢したり、周囲の目を気にしたりして無理をしないことです。特に夏場は、気づかないうちに脱水が進み、熱中症を引き起こすことがあります。日差しの強い時間帯に外を歩く際は、水分補給を心がけ、無理のない行動を取ることが大切です。
 

出典

e-Gov法令検索 民法 第五章 不法行為
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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