「子ども3人だから大学無償化」と奨学金を申請したら“不採用”だった!「高校生・中学生」を扶養してるのになぜですか? 見落としがちな注意点とは
配信日: 2025.08.11

少子化対策の一環として「こども未来戦略」に基づき導入されたもので、教育費の負担を減らし、子どもたちの進学機会を広げることが狙いです。
子どもが3人いれば誰もが対象になると思いがちですが、実際には申請が却下されるケースもあります。本記事では、多子世帯向け給付奨学金の仕組みと、不採用となる主な理由について解説します。

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多子世帯向け給付奨学金の対象条件と仕組み
多子世帯向け給付奨学金は、2020年度に始まった高等教育の修学支援新制度をベースにした支援策です。
高等教育の修学支援新制度は、当初は年収380万円程度までの世帯が対象で、給付型奨学金と授業料等減免の2つで構成されていました。2024年度から対象が拡大し、年収600万円程度までの多子世帯や私立大学理工農系の学生も対象となりました。
2025年度からは、多子世帯(扶養する子どもが3人以上)の場合、所得制限が撤廃され、世帯年収に関係なく授業料と入学金が一定額まで無償化されます。
対象は大学、短大、高等専門学校4・5年生、専門学校で、支援額には学校種や公私別に応じた上限があります。さらに、子ども3人以上を同時に扶養していることや、学業意欲・学修成果などの要件を満たす必要があります。
扶養する子どもの要件に注意
多子世帯向け給付奨学金の対象条件の1つが、「同時に扶養する子どもが3人以上であること」です。ここでいう「扶養」とは、税法上の扶養親族として認められている子どもを指します。たとえ子どもが3人いても、1人が就職や独立などで扶養から外れていれば対象外となるので注意しましょう。
また、見落とされがちなのが、大学生本人のアルバイト収入です。年間給与収入が103万円を超えると、合計所得金額が48万円を超え、税法上の扶養親族から外れます。この時点で多子世帯の条件を満たさず、不採用となる可能性が高いです。
なお、勤労学生控除と混同して「年収130万円までなら扶養に入れる」と勘違いする人もいますが、勤労学生控除は所得税を軽減する制度であり、親の扶養認定とは別です。奨学金の判定では年収103万円を超えるかどうかが重要なので、収入見込みを必ず確認しましょう。
多子世帯給付奨学金が不採用ならほかの奨学金も検討
多子世帯向け給付奨学金が不採用となっても、利用できる奨学金はいくつかあります。まず、多子世帯でなくても利用できる高等教育の修学支援新制度では、世帯年収600万円程度までが対象で、給付型奨学金や授業料・入学金の減免が受けられます。
ほかに代表的なのは、日本学生支援機構(JASSO)の奨学金です。貸与型の第一種(無利子)は世帯年収約800万円、第二種(有利子)は約1100万円が目安で、家族構成により基準は変動します。第一種は成績と家計基準が必要ですが、第二種は対象が広く、無償化の対象外でも利用可能です。
また、自治体や企業・財団による奨学金も有効です。都道府県や市区町村では給付型・貸与型の奨学金があり、在住条件や家計基準が設けられています。
さらに、大学独自の奨学金も多く、入学時や在学中の成績によって給付されることがあります。
まとめ
多子世帯向け給付奨学金は、扶養する子どもが3人以上で利用できますが、学生本人の年収が103万円を超えると扶養から外れ、不採用となる可能性があります。
もし不採用になっても、JASSOや自治体、大学独自の奨学金など活用できる制度は多くあります。申請前に収入や条件を確認し、複数の支援策を検討しておきましょう。
出典
文部科学省 高等教育の修学支援新制度
文部科学省 令和7年度から、子供3人以上の世帯への大学等の授業料等の無償化を拡充します!(「高等教育の修学支援新制度」の拡充)
独立行政法人日本学生支援機構 多子世帯なのに、給付奨学金が家計基準で不採用になりました。どうしてですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー