夏の旅行代「10万円」も祖父母が負担…ありがたいけど甘えすぎ? ほかの家庭の“孫支援”はどのくらいなのでしょうか?
配信日: 2025.08.06

本記事では、孫への支援額の相場や家庭ごとのスタンス、注意点などを紹介しながら、祖父母からの支援との向き合い方を考えていきます。

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目次
他の家庭ではどのくらい支援? 孫への支出の相場をチェック
祖父母による孫支援は珍しいことではありません。では、他の家庭では実際どれくらい支援しているのでしょうか。
ソニー生命保険株式会社(東京都千代田区)の「シニアの生活意識調査2024」(調査期間:2024年8月2日~3日、有効回答数:1000人)によると、祖父母が孫にかける年間支出額の平均は10万4717円でした。
この金額には、お年玉や誕生日プレゼント、入学祝い、日々の小遣いなども含まれます。調査結果では、年間10万〜20万円未満が最多であり、次いで3万〜5万円未満という層が続いています。
この調査結果から見ると、夏の旅行代10万円の支援というのは、年額の支援総額として見れば「やや多めだけど特別な例ではない」といえるでしょう。
特に夏休みや年末年始など長期休暇の旅行では、交通費や宿泊費などの負担が大きくなりがちです。そこを祖父母が、「少しでも助けになるなら」と支援するケースがあると考えられます。
ちなみに同調査によると、「この1年間で、孫のためにどのようなことにお金を使ったか」という問いに対し、「おこづかい・お年玉」が最多で65.6%、次いで「一緒に外食」が52.9%、「おもちゃ・ゲーム」が38.0%、「一緒に旅行・レジャー」が32.2%でした。
この結果から、「孫の助けになりたい」と思う一方で、実は「一緒に楽しみたい」と思っている祖父母も多いのではないでしょうか。
旅行代全額負担に戸惑う孫に対し、祖父母の支援の本音は?
一方で、「さすがに全部出してもらうのは申し訳ない」と感じる孫や子世帯も多いといわれています。また、祖父母側にも「孫の笑顔が見たい」「家族との時間を楽しみたい」という思いがある一方で、「毎回期待されると負担になる」「支援して当然と思われるのはつらい」と、一方通行の支援が続くことが負担につながる可能性もあります。
実際、上記のソニー生命保険の調査によると、孫のために使った金額で前年の2023年の平均額は10万8134円であり、2024年の10万4717円と比較して約3400円減少しています。これは、昨今の物価高の影響により祖父母自身の家計負担が大きくなったことが原因と考えられます。
そのため、金額だけでなく、支援の“受け止め方”や“感謝の伝え方”も大切になります。
支援のバランスと相手への伝え方のコツ
孫への支援は、家族の絆を深める素晴らしい行為ですが、無理があっては続きません。そこで大切なのが、「支援のバランス」と「伝え方」です。
まず、孫世帯への支援額は、目安を設けておくのが理想です。例えば、「1年間で10万円まで」などあらかじめ決めておけば、支援する側も安心して協力できます。支援内容も「記念日のプレゼント」「教育費の一部」「旅行の交通費のみ」など、目的別に整理することで、お互いに納得しやすくなります。
一方、支援された孫は、金額に関係なく「ありがとう」の気持ちをしっかり伝えることが大切です。ちょっとしたお礼のメッセージや手土産など、気持ちが伝わる形で感謝を表すことが、良好な関係を保つカギになります。
さらに、もし支援を断る場合も、「今後は自分たちで計画的に準備したい」「気持ちだけで十分ありがたい」といった丁寧な言葉で伝えることで、関係に角が立ちにくくなるでしょう。
感謝と配慮のあいだで、適切な支援を考えよう
旅行代を支援してくれる祖父母の存在は、本当にありがたいものです。金額よりも、「子どもや孫に楽しんでほしい」という気持ちが込められていることを、忘れないようにしましょう。
しかし、支援が習慣化しすぎると「当然」という意識が生まれてしまうリスクもあります。感謝の気持ちと遠慮の気持ちをバランスよく持ちながら、支援を受ける際には相手の気持ちにも寄り添いたいものです。
調査によると、祖父母が孫にかける年間支出額の平均は約10万円なので、今回のような旅行代の支援は決して特別な例ではありません。
ただし、どこまで支援してもらうのか、その線引きは家庭ごとに異なります。支援は、してもらう側・する側の「気持ちのやりとり」です。話し合いを大切にしながら、心地よい距離感で続けていけるよう工夫してみましょう。
出典
ソニー生命保険株式会社 シニアの生活意識調査2024
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー