【注意】父が「これで土地が片付くなら…」と300万円を支払い→実は“原野商法の二次被害”だった! 70~80年代の詐欺を「活用した詐欺」とは
配信日: 2025.08.09

そして現在、その被害者を狙った新たな詐欺が、再び高齢者を中心に被害を拡大しています。「土地を処分したい」「不要な土地の管理に困っている」と悩む土地所有者の心理につけ込み、架空の土地売却をもちかけてお金を騙し取るというのが、「原野商法の二次被害」です。
本記事では、かつての原野商法とはどんな手口だったのか、なぜ今になって二次被害が起きているのか、そして被害にあわないための注意点を詳しく解説します。
「原野商法」とはどんな詐欺だったのか?
原野商法とは、1970年代から1980年代にかけて全国で多発した不動産取引の詐欺の手口です。実際には値上がりの見込みがない土地を、「将来価値が上がる」「開発計画がある」などウソの説明をして、実際には交通の便も悪くほとんど価値のないような農地や山林に近い「原野」を高額で売りつけるというものでした。
当然これらの土地は、時間がたってもほとんど価値が上がることはなく、購入者は買い手のつかない土地の固定資産税や管理義務の負担だけが残るという結果になってしまったのです。
原野商法の「二次被害」とは?
近年問題になっているのが、こうして原野商法によって取得した土地を、どうにか処分したいと考える高齢者を狙った二次被害です。
まず「あなたの土地に買い手がつきました」「今なら土地が高く売れます」といった、まさに渡りに船のような連絡が業者からきます。しかし契約を結んでみると実際には、土地を売ったはずなのに、新たな土地を購入する契約を結ばされていたり、売買のためと称した土地の調査費や整備費用をだまし取られたりといった被害となっているのです。
このような「原野商法の記録」を悪用した詐欺は、情報が古くても被害者リストが流通している可能性があり、当時の契約者情報が詐欺グループに渡っていると考えられています。中には、不動産会社の名前を名乗って勧誘してくる詐欺師もおり、信じてしまうケースもあるようです。
二次被害にあわないために注意すべきポイント
こうした原野商法の二次被害にあわないためには、どうしたらいいのでしょうか。
突然の「売却話」には警戒を
「買い手が見つかった」「高値で売れる」といった話が突然舞い込んできた場合は、まず冷静になりましょう。一般的に、今まで値がつかなかった土地が急に売れるということは考えにくいものです。特に、相手が一方的に手続きを急がせる、手数料を先払いで請求してくる場合は注意してください。
不審な連絡は消費生活センターへ
不審な電話や手紙が届いた場合は、一人で判断せず、最寄りの消費生活センターや自治体の相談窓口に相談することが大切です。特に高齢の親が詐欺のターゲットになっている場合、家族が関与して情報を共有することも被害防止につながります。
また消費者ホットラインでは、無料で相談をすることができます。全国共通の電話番号「188」にかけると、地方公共団体が設置している身近な消費生活相談窓口を案内してもらえるので、自分で判断が難しい場合、家族がだまされているのではと感じた場合は、悩まずに相談するようにしましょう。
「土地を片付けたい気持ち」が狙われる時代に
原野商法の被害者は、「この土地をなんとか処分したい」「子どもに迷惑をかけたくない」という思いを抱えているケースが少なくありません。
そこに巧妙につけ込んだ手口が、「原野商法の二次被害」です。被害者の多くは高齢者であり、判断力が衰えている、「なんとかしたい」という思いがあるといった理由から、詐欺グループの巧妙な話術に引き込まれてしまうこともあります。
少しでもあやしいと感じたら、消費生活センターなどの公的機関に相談するようにしましょう。また家族と情報を共有し、高齢者を家族や地域で見守っていくことも大切です。
出典
政府広報オンライン 「原野商法」再燃!「土地を買い取ります」などの勧誘に要注意
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級