息子が夏のボーナスと貯蓄を全て使って、奨学金「120万円」を一括返済していました。賢い方法でしょうか?

配信日: 2025.08.06

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息子が夏のボーナスと貯蓄を全て使って、奨学金「120万円」を一括返済していました。賢い方法でしょうか?
貸与型の奨学金制度を利用して大学や専門学校などに進学した場合、卒業後に返還しなければなりません。
 
何年かけていくらずつ返還するかは人によって異なりますが、まとまったお金が入った際などに一括返済することも可能です。
 
本記事では「一括返済することで返還総額が安くなるのか?」ということについて、奨学金の返還月額の算出方法とともにご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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奨学金の返還月額

学生の多くが利用している日本学生支援機構(JASSO)の貸与型奨学金には、無利子で借りられる第一種奨学金と、有利子の第二種奨学金があります。
 

第一種奨学金の場合

第一種奨学金を利用した場合の返還月額と返還回数は、大学が国立・公立か私立か、自宅から通うか自宅外から通うかによって変わります。一例を表1にまとめました。
 
表1

通学形態 貸与月額 貸与月数 貸与総額 返還月額 返還回数
国・公立 自宅 4万5000円 48ヶ月 216万円 1万2857円 168回
自宅外 5万1000円 48ヶ月 244万8000円 1万3600円 180回
私立 自宅 5万4000円 48ヶ月 259万2000円 1万4400円 180回
自宅外 6万4000円 48ヶ月 307万2000円 1万4222円 216回

出典:独立行政法人日本学生支援機構「大学 ・ 返還例」を基に筆者作成
 
さらに、返還月額が毎年見直される「所得連動返還方式」と、毎月同じ額を返還する「定額返還方式」のどちらを選択するかによって返還月額が変わります。
 

第二種奨学金の場合

第二種奨学金は有利子なので、返還月額の算出には利率が関係してきます。例えば、貸与月額が3万円の場合の返還月額と返還回数は、年利によって表2のように変わってきます。
 
表2

貸与月額 貸与総額 年利 返還総額 返還月額 返還回数
3万円 144万円 0.50% 149万1061円 9557円 156回
(13年)
1% 154万3214円 9892円
2% 165万545円 1万580円
3% 176万1917円 1万1293円

出典:独立行政法人日本学生支援機構「大学 ・ 返還例」を基に筆者作成
 
市場金利が変動しても変わらない「利率固定方式」と、おおむね5年ごとに見直す「利率見直し方式」のどちらかを選択します。それによっても返還額や返還回数は変わってくるでしょう。
 

奨学金を一括返済すると返還総額が少なくなる?

日本学生支援機構の奨学金は、第一種・第二種ともに返還額の繰上返還が可能です。
 
今回の事例では「奨学金120万円を一括返済するのは賢い方法か?」ということですが、第一種奨学金は利子がなく元本のみを返還するものなので、一括返済することによって返還期間を短くできるものの、返還総額が少なくなることはありません。
 
一方、第二種奨学金は月々の返還額に利子が含まれているため、一括返済することで今後の利子の支払いが不要になる分、返還総額が少なくなります。
 
そのため、有利子の第二種奨学金を利用している場合であれば、一括返済することは「賢い方法」といえるでしょう。
 

有利子の奨学金を借りている場合は一括返済することで返還総額が少なくなると考えられる

日本学生支援機構の奨学金には無利子で借りられる第一種奨学金と、有利子の第二子奨学金があります。
 
第一種で返還する必要があるのは元本のみなので、一括返済しても返済総額に変わりはありません。一方、第二種は一括返済することでその後に支払う予定だった利子分がなくなり、結果的に返還総額が少なくなります。
 
そのため、第二種奨学金を借りている人であれば、今回の事例のように、ボーナスと貯蓄を使って奨学金を一括返済することは賢い選択といえるでしょう。
 

出典

独立行政法人 日本学生支援機構 返還例 大学 ・ 返還例
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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