地方在住の友人が「出産費用は0円だった」と言っていましたが、都内在住の私は支払額20万円!地域により出産育児一時金の額が違うのですか?

配信日: 2025.08.05

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地方在住の友人が「出産費用は0円だった」と言っていましたが、都内在住の私は支払額20万円!地域により出産育児一時金の額が違うのですか?
出産を控える家庭にとって、費用がどれくらいかかるのかは気なることのひとつでしょう。そして、その出産費用をサポートしてくれるのが出産育児一時金です。住んでいる地域により、その金額は異なるのでしょうか?
 
本記事で、国の制度と全国の出産費用の平均を確認してみましょう。
宮野真弓

FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動しています。
結婚や妊活、出産、住宅購入など人生のターニングポイントにおけるお悩みに対して、お金の専門家としての知識だけでなく、不妊治療、育児、転職、起業など、自身のさまざまな経験を活かし、アドバイスさせていただきます。
https://fpoffice-minoria.jimdo.com/

出産育児一時金とは

出産育児一時金とは、公的医療保険の加入者が出産したときに支給される一時金のことをいいます。令和7年現在の支給額は、出産した子ども1人につき原則50万円(産科医療補償制度に加入していない医療機関で出産した場合や妊娠週数22週未満で出産した場合は48万8000円)です。この金額は「全国一律」で、地域による差はありません。
 
事前に手続きをしておくことで、医療機関の窓口では出産費用のうち出産育児一時金を差し引いた金額のみを支払えばよくなります。出産費用が出産育児一時金よりも少ない場合は、差額を受け取ることができます。
 
また、国は出産育児一時金とは別に妊婦等支援事業を行っており、妊婦であることの認定後(妊娠届出後など)に5万円相当の給付金が、胎児の数の届出後(通常、妊娠32週以降)に、妊娠している子どもの数につき5万円相当の給付金が支給されます。
 

出産する場所によって費用が違う

出産費用の支払額の違いは、何によるものなのでしょうか。それは、主に次の3つの理由が考えられます。
 

(1)医療機関による費用の差

病院には、国立病院や市民病院などの公的病院、一般的に民間病院と呼ばれる私的病院、助産院を含む診療所などの種類があります。これらは規模もさまざまで、総合病院、大学病院、個人クリニックなどがあり、医療機関の種類によって出産費用は異なります。
 
厚生労働省の資料「出産費用の状況等について」によると、令和5年の出産費用(正常分娩)の平均は50万7000円ですが、公的病院の平均は47万4000円であるのに対して、私立病院の平均は52万4000円となっています。私立病院は設備やサービスなどにより金額の幅が広く、100万円を超えるケースも珍しくありません。
 

(2)出産方法による費用の差

出産方法によっても費用が変わります。無痛分娩の場合、上記の金額に加えて10~20万円程度の追加費用が必要になることが一般的です。
 
また、公益社団法人日本産婦人科医会の「産婦人科社会保険診療報酬点数早見表」(令和6年6月)によると、緊急帝王切開の費用は22万2000円、予定帝王切開は20万1400円ですが、健康保険が適用され3割負担で済むため、正常分娩よりも費用が安くなる場合もあります。
 

(3)地域による費用の差

出産費用は、地域による差も大きいです。前述の「出産費用の状況等について」によると、令和5年の都道府県別の出産費用(正常分娩)が最も高い東京都は62万5372円、一方、最も低い熊本県は38万8796円で、20万円を超える差があります。
 
地域差が生じる理由として、地方に比べて都心部は物価や人件費が高いこと、医療機関の選択肢が多く付加サービスが充実していること、出産方法の選択肢が多いこと、高齢出産の割合が高いこと、などが挙げられます。
 

妊娠・出産に対する自治体の支援制度

国の制度に加えて、独自に妊娠・出産に対する支援制度を用意している自治体もあります。主な支援内容は、出生児1人あたり数万~数十万円程度の出産祝い金や補助金などを支給するというものです。子どもの人数や何人目なのかなど、自治体により条件や金額は大きく異なります。
 
また、産後の支援としては、子どもの医療費助成について、その対象年齢や自己負担額を国の基準よりも手厚くしている自治体があります。そのほかにも子育て奨励金や定住奨励金の支給、保育サービスやベビーシッター利用料、育児用品購入費など、子育てに必要なさまざまなサービスや費用に対して助成を行っている自治体もあります。
 

まとめ

出産費用は、出産場所や出産方法などによって大きく変わります。費用面も含めて、安心して出産できる医療機関はどこか、事前に調べてみるといいでしょう。厚生労働省が運用するウエブサイト「出産なび」では、全国の分娩を取り扱う施設(病院・診療所・助産所)の特色・サービスや費用についての情報提供を行っていますので、参考にしてみてください。
 
また、国や自治体が実施している支援策のほか、従業員に対して妊娠・出産・育児に関するさまざまな支援を行っている企業もあります。お住まいの自治体や勤務先の支援制度を確認しておきましょう。
 

出典

全国健康保険協会(協会けんぽ) 子どもが生まれたとき
こども家庭庁 妊産婦への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施(妊婦等包括相談支援事業・妊婦のための支援給付)
厚生労働省 第5回妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会 資料1-3 出産費用の状況等について
公益社団法人日本産婦人科医会 産婦人科社会保険診療報酬点数早見表(令和6年6月)
厚生労働省 出産なび(産婦人科・助産院検索)
 
執筆者 : 宮野真弓
FPオフィスみのりあ代表、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者

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