「持ち家があったら生活保護は無理」は誤解?賃貸への引っ越しは不要なの?

配信日: 2025.08.04

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「持ち家があったら生活保護は無理」は誤解?賃貸への引っ越しは不要なの?
「生活が苦しいけれど、持ち家があるから生活保護は受給できない」と考えている人もいるかもしれません。しかし、一定の条件を満たせば、持ち家に住みながら生活保護を受給できるケースもあります。
 
本記事では、持ち家がある状態で生活保護の受給が認められるケースを詳しく解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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生活保護制度とは?

生活保護制度は、資産や収入、働く能力などを活用しても日常生活を送るのが困難な人に対して、国や自治体が支援を行う制度です。
 
厚生労働省では、生活保護制度を次のように定義しています。
 
「生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。」
 
病気や高齢、失業といったさまざまな理由によって生活費が不足し、日々の生活が立ち行かなくなったときに、生活保護は国や自治体が支援する「最後のセーフティーネット」に位置付けられています。
 
生活保護というと「特別な人たちが受けるもの」と誤解されるケースも多くみられますが、一定の条件を満たせば誰でも申請できる制度です。
 

生活保護の要件とは?

生活保護を受給できる要件として、「世帯収入が最低生活費を下回っていること」が挙げられます。居住エリアによるものの、東京都福祉局の資料を例とすると、東京都区分で男33歳、女29歳、子4歳の一般居住世帯の場合、最低生活費の月額は、生活費が16万4860円(冬季加算の年平均及び児童養育加算を含む)、住宅費が1万3000円です。
 
これらを下回る収入の場合は、生活保護の受給要件を満たします。また、収入の程度だけでなく、次のような要件を満たさなければなりません。

●生活費に充てられる資産がない
●さまざまな事情によって働くことが困難である
●保険や手当などを利用できない
●生活をサポートしてくれる人がいない

 

持ち家があっても生活保護は受けられる?

一般的に、持ち家は「資産」として扱われるため、生活保護を申請する際には売却を求められるケースが多くあります。しかし、すべてのケースにおいて売却を強いられるわけではありません。
 
次のような条件を満たす場合には、持ち家に住み続けながら生活保護を受給できる可能性があります。

●持ち家の売却費用が引っ越しにかかる費用や新たな住居の確保に必要な費用を下回る場合
●年齢や健康状態、保証人の問題などによって、賃貸物件への入居が難しい場合
●住宅ローンの支払いがすでに完済していて、今後の住居費がかからない状態である場合

上記のようなケースであれば、持ち家が「生活の維持に必要な資産」とみなされるため、例外として持ち家に住み続けることが可能です。持ち家を所有していて、生活保護の申請を検討している方は、申請する際に居住する自治体に相談しましょう。
 

持ち家の売却を求められるケース

生活保護を受給するにあたって、持ち家を売却して賃貸への引っ越しを求められるケースは、次の通りです。

●豪華な持ち家や別荘に住んでいる場合
●住宅ローンの支払いが継続中の場合

豪華な持ち家に住んでいる場合や別荘に住んでいる場合は、売却すれば安定した生活を送れるとみなされるケースもあります。また、持ち家の住宅ローンが残っている場合には原則として生活保護を受給できません。生活保護を受給するためには、住宅ローンの完済や残債を減らす必要があることを覚えておきましょう。
 

持ち家を売却する方法

持ち家を売却するように促された場合、次のような方法で売却手続きを進めましょう。

●不動産会社に仲介を依頼して売却する
●不動産業者に直接買い取ってもらう

不動産会社に仲介を依頼する方法は、最も一般的な売却スタイルです。市場価格に近い売却価格で売れる可能性がありますが、売却期間が長期間に及ぶおそれもあります。
 
一方、買取専門業者に直接買い取ってもらう方法は、仲介よりも価格は低くなる傾向にあるものの、早期に現金化したい場合におすすめです。短期間での売却を希望する場合は、買取専門業者への依頼を検討しましょう。
 

持ち家があっても生活保護を受給できるケースはある

「持ち家があると生活保護は受けられない」と考えている人も多いでしょう。しかし、条件次第では持ち家に住み続けながら受給できるケースもあります。
 
ただし、住宅の規模や住宅ローンの有無によっては、売却や引っ越しを求められることもあります。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度
東京都福祉局 生活保護(163ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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