店の支払いをQR決済のみにしたら「現金化に時間がかかる」と判明!現金のみの営業にした方がいいの?
配信日: 2025.08.04

しかし、支払い方法がQR決済のみの飲食店や小売店の経営者のなかには、「売り上げの入金までに数日かかってしまい、仕入れや経費の支払いができずに困っている」というケースも少なくありません。
本記事では、QR決済の現金化が遅れる理由や、現金のみの営業に戻すべきかどうかについて詳しく解説します。

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なぜQR決済の現金化は遅いのか?
QRコード決済とは、顧客がスマートフォンアプリなどで店舗のQRコードを読み取ると店舗に料金が支払われる方法です。
しかし、現金払いとは異なり、QRコード決済の場合は、店舗の口座に実際に入金されるまでに「時差」が生じます。これには、QR決済を提供する運営元の「締め日」と「入金日」が大きく関係しています。
コード決済の大手2社の締め日と入金日は、次のとおりです。
A社:月末締め・翌営業日もしくは翌々営業日に振込
B社:入金サイクルは選択制、月1回~最短翌営業日
このように、顧客から支払いを受けてから実際に入金されるまで、数日から数週間のタイムラグが発生するのが一般的です。売り上げが即日で手元に入る現金とは異なり、「今あるお金」で仕入れや人件費を回す必要がある店舗にとっては、キャッシュフローの乱れにつながるおそれもあるでしょう。
現金のみの営業に戻すべき? メリットとデメリット
QR決済の現金化に時間がかかることで困る場合、「現金のみの営業に戻したほうがいいのでは?」と考えるケースもあるはずです。ここでは、現金払いに戻すメリットやデメリットを詳しくみていきましょう。
現金払いのみにするメリット
現金のみの支払い方法に統一するメリットとして、「即時現金化できる」「資金繰りが立てやすい」「決済手数料や振込手数料などのコストがかからない」の3つが挙げられます。
QR決済の場合、利用する決済サービスにもよるものの、現金として手元に入金されるタイミングが月に1回にまとめられるケースも少なくありません。現金が手元にないことで、材料の仕入れや固定費の支払いなどができなくなることも懸念されます。その点現金払いの場合、手元に現金があることで資金繰りが立てやすいといえるでしょう。
また、多くの決済サービスを利用する際、決済手数料や振込手数料などのコストが発生します。特に、決済手数料は、2~3%ほどかかるケースが多くみられます。そのほかにも、別途手数料を請求されるケースも珍しくありません。手数料を節約できるのも、現金払いのみに一本化するメリットといえるでしょう。
現金払いのみにするデメリット
現金払いのみの支払い方法に統一するデメリットとして、「キャッシュレス志向の顧客を逃すおそれがある」「現金管理の手間とリスクがある」「衛生管理リスクが高まる」などが挙げられます。
QR決済できない店舗の場合、顧客のお店選びの対象から外れてしまうケースも珍しくありません。特に、若年層や訪日外国人の多くはキャッシュレス決済を前提に買い物をする方が多いため、来店機会を逃してしまうおそれがあります。
現金払いのみで対応する場合、レジ締めや釣り銭準備の業務が必要です。さらに、盗難リスクや偽札対応なども発生するため、防犯上でも気をつけなければならないことが増えてしまいます。
また、現金に付いた菌やウイルスに触れるおそれもあるため、衛生管理にも注意が必要です。
「現金+QR決済」の併用スタイルがおすすめ
結論としては、現金とQR決済の併用が最も現実的でリスクの少ない支払い方法です。
現金派とキャッシュレス派の顧客の両方に対応できますし、QR決済の入金遅延があっても資金繰りが安定します。決済端末のトラブル時も現金で対応できるため、柔軟に運用できるでしょう。
「QR決済をやめたい」と思っても、完全に切り捨ててしまわずに、現金と併用しながら運用することで、安定経営につながるでしょう。
キャッシュフローを意識して最適な支払い方法を選ぼう
QR決済は非常に便利な支払い方法ではありますが、入金までのタイムラグに注意が必要です。家賃や仕入れなどの出費を考慮しながら、現金と併用することで安定した経営につながります。
店舗のお金の流れを意識しながら、QR決済と現金払いの両方を上手に併用していきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー