更新日: 2019.06.18 その他
「DUTY FREE」と「TAX FREE」は何が違う?意外と知らない免税店のこと
大型連休になりますので、この機会に海外旅行へお出かけになる方も多いでしょう。そこで本稿では、空港などでちょっとお得に買い物ができる「免税店」について、ご紹介します。
執筆者:星田直太(ほしだ なおた)
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
一般企業勤務を経て、30代から税務会計の世界に入り、税理士とCFPの資格を取得。
税理士法人勤務時には法人税務顧問、ベンチャー支援、事業再生、相続・事業承継といった多様な業務に従事。公的機関での勤務も経験した後、2014年に独立。現在は西新宿に税理士事務所を開業している。
中小企業向けの講演多数。他の専門家とも多く提携しており、ワンストップでお客様のお悩みに対応できる体制を構築している。
「DUTY FREE」と「TAX FREE」
空港で見かける免税店は「DUTY FREE」の看板が掲げられていますね。一方で、街を歩いていると「TAX FREE」という看板を見かけることがあるでしょう。免税店という語感からいえば、「TAX FREE」のほうがしっくりくるかもしれませんね。
この「DUTY FREE」と「TAX FREE」について、違いがよくわからないという方も多いのではないでしょうか。以下、それぞれの違いを見ていきましょう。
「DUTY FREE」とは
「DUTY FREE」は関税法(関税法基本通達42-15)に定める「保税免税店」あるいは「保税売店」です。国際空港に設置されていることが多いため、「空港型免税店」といわれることもあります。
「DUTY」とは関税のことを指す英語ですが、ここで課されないのは関税だけではなく、消費税・たばこ税・酒税などの税金もあわせて免除されます。お酒やたばこ、あるいはブランド品などが対象物品となりますが、利用できる方は「出国者」という制約があります。
購入した商品の受け渡しは、出国手続き後、空港や港などの免税品引渡しカウンターで行われることになりますので、購入後に日本国内の自宅へ持ち帰るといった利用はできません。
「TAX FREE」とは
一方で「TAX FREE」の根拠法令は消費税法(消費税法第8条)で、正式名称は「輸出物品販売場」です。お店は市街にありますので、「市中免税店」ともいわれます。DUTY FREEとの大きな違いは、免除される税金が消費税に限定されていることです。
さらに、利用できる方も「非居住者」に限られます。原則として、外国人の方は非居住者にあたります。日本人の方はその逆で、原則として非居住者には該当しません(日本人であっても一定の要件に該当すれば非居住者に該当する場合もありますが、一般的には厳しいでしょう)。
対象物品は、「一般物品・消耗品」であることが定められています。「通常生活の用に供する物品」ともいわれます。事業用や販売用として購入することが明らかな場合は、非居住者が購入するものであっても免税の対象外になります。
具体的には、一般物品であれば家電製品やブランド品など、消耗品であれば食品や化粧品などが該当します。購入金額の制限があり、さらに消耗品については「国内で消費されないように指定された方法で包装がされている」ことも必要とされています。
購入した物品が国外へ持ち出されることが前提である制度ですので、国内で消費される物品であれば、消費税が課されるべきと考えられるからですね。購入手続きについては、お店が非居住者からパスポートの提示を受け、一定の書類を作成するなどの流れが定められています。
「空港型市中免税店」とは
単純に物品価格で比較すれば、一般的にDUTY FREEのお店のほうがTAX FREEのお店よりも安くなるでしょう。しかしながら、TAX FREEは非居住者のみが利用できる制度ですので、皆さんが利用するのは空港内にあるDUTY FREEのお店になると思います。
しかし、「海外に行くけれど早朝・深夜の出発なので、ゆっくり買い物を楽しむ時間がない・・・」という方がいるかもしれませんね。そんな方は、「空港型市中免税店」を覗いてみるとよいかもしれません。
東京・新宿にあるタカシマヤタイムズスクエアには、「高島屋免税店 SHILLA & ANA」というお店があります。
このDUTY FREE店では、成田空港または羽田空港から海外へ出国される方が、出国前に買い物をすることができます(成田・羽田以外の空港から出国される方は、TAX FREE店での買い物が可能とされているようです)。
購入した物品の引き渡しは、出発空港の引渡しカウンターで行われることになります。
購入の際には、パスポートと海外航空券などが必要で、購入可能期間も出発30日前から出発前日まで(羽田空港から出発する場合で、深夜・早朝の一定時間帯に該当する場合は、前々日まで)という条件がありますが、ご興味がある場合は事前に確認の上で利用してみるとよいでしょう。
銀座にも「Japan Duty Free GINZA」や「ロッテ免税店・東京銀座店」がありますので、WEBサイトなどでチェックしてみてください。
新年度を迎え、春の行楽シーズンがもうすぐです。海外旅行をお考えの方は、せっかくの機会ですので、免税店を利用して、少しお得にお買い物を楽しんでみてはいかがでしょうか。
執筆者:星田直太(ほしだ なおた)
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))