高齢の親が「銀行印をなくした」と言っています。銀行印をなくした場合の対処法はどうなるのでしょうか?
配信日: 2025.05.31

本記事では、銀行印を紛失した際の基本的な対処法や新しい印鑑の登録方法、さらに高齢の親に代わって家族が手続きを行う際のポイントなどについて解説します。

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目次
銀行印を紛失したら、まずは銀行に連絡を
銀行印を紛失したことが分かったら、できるだけ早く取引先の銀行に連絡することが最も重要です。これは、印鑑が悪用されるリスクを防ぐためです。もし印鑑と通帳が一緒に見つかってしまえば、本人になりすまして預金を引き出される恐れがあります。
銀行に連絡を入れると、その印鑑を使った取引をできないようにするために利用停止手続きが行われます。この手続きを済ませることで、その印鑑による預金の引き出しなどを防ぐことができます。
多くの銀行では、専用の窓口やコールセンターを設けています。連絡する際は、口座番号や本人確認が求められることが多いため、通帳やキャッシュカードが手元にあるとスムーズです。
新しい印鑑を登録する改印の手続き
印鑑の使用を停止した後は、新しい印鑑への変更手続き、いわゆる「改印(かいいん)」が必要です。改印手続きは基本的に銀行窓口で行います。高齢の方が自分で手続きに行くことが難しい場合は、家族が代理人として手続きできるケースもあります(後述)。
改印の際には、以下のような書類を用意しましょう。
・新しい印鑑
朱肉を使うタイプの印鑑で、ゴム印(シヤチハタ)は使用できません。
・通帳またはキャッシュカード
対象口座を確認するために必要です。
・本人確認書類
運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証などが必要です。
銀行によっては、旧印鑑が見つかっていない場合、手続きに日数がかかることもあります。あらかじめ、銀行の公式サイトや窓口で詳細を確認しておくと安心です。
高齢の親に代わって手続きを行うには
高齢の親御さんが体調や移動の都合で手続きに行けない場合、代理人による手続きが可能な場合もあります。ただし、代理人手続きが可能かどうかは銀行によって異なるため、事前に電話で問い合わせることが大切です。
代理人が手続きを行う際には、一般的に以下の書類が必要です。
●委任状:親御さん(口座名義人)からの正式な委任を示す書類
●代理人の本人確認書類:運転免許証やマイナンバーカードなど
●口座名義人の本人確認書類(原本またはコピー、銀行による):健康保険証やマイナンバーカードなど
●代理人と口座名義人の関係を示す書類(戸籍謄本や住民票など):銀行によっては必要
また、印鑑紛失の場合は、本人確認がより厳重になることがあります。認知症などで意思確認が困難な場合は、後見人制度の利用が必要になることもあるため、必要に応じて専門家への相談も検討しましょう。
印鑑が後から見つかった場合はどうなる?
紛失したと思っていた印鑑が、後から家の中で見つかるケースも少なくありません。しかし、新しい印鑑で改印手続きを済ませた後は、元の印鑑は登録上無効になり、そのままでは使用できません。再度使いたい場合は、銀行や自治体で再登録の手続きを行う必要があります。
見つかった印鑑は、そのまま保管しておくか、誤って使用しないように処分するのが一般的です。銀行に返却を求められるケースもありますので、不明な場合は念のため確認しておくとよいでしょう。再度使用したい場合は、銀行で再登録の手続きを行う必要があります。
親が銀行印を紛失しても、慌てず確実に対応すれば心配なし
高齢の親が銀行印を紛失した場合、焦らず、まずは取引銀行へ連絡することが第一です。印鑑の使用停止を行い、改印の手続きを済ませることで、悪用のリスクは大きく下がります。親御さん本人が手続きできない場合でも、代理人対応や公的支援の仕組みが利用できるケースもあります。
今回のようなトラブルに備えて、印鑑や通帳の保管場所を家族で共有しておくことも大切です。金融機関の対応も年々柔軟になってきていますので、不安な点は遠慮なく相談して、早めの行動を心掛けましょう。
出典
一般社団法人全国銀行協会 困った! 銀行印の紛失と変更
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー