更新日: 2019.06.14 その他

懐も、心もゆったり? 「田舎暮らし」の選択

懐も、心もゆったり? 「田舎暮らし」の選択
都会での暮らしに疲れた、子供を自然豊かな場所で育てたい、田舎暮らしが夢……。理由や事情はさまざまでも、「移住」、言葉を変えればIターンという暮らしの選択があります。そして地方の市町村はそうした移住希望者に熱い視線を注いでいます。
 
若者の流出、少子高齢化は地方の自治体には喫緊の課題。2040年までに日本の自治体の半数、896の自治体が消滅する可能性があると日本創生会議が推計し、衝撃を呼んだこともありました。
 
田中恭子

執筆者:田中恭子(たなか きょうこ)

フリーランス・エディター&ライター

北海道大学卒業後、メーカー勤務を経て出版業界へ。自身の経験を生かした旅行、
アウトドア、ライフスタイル、自然などを得意とするが、ジャンル問わず、多方面
で活躍。

FINANCIAL FIELD編集部

監修:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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地方の市町村への移住。まずは「住まい」、そして「仕事」

地方の市町村のホームページを見ると、ほとんどの自治体に「移住・定住」のページがあります。そして、移住希望者のための「空き家バンク」も多くの自治体で機能していることがわかります。
 
まず大切となる「住まいの確保」のための支援は手厚く、物件探しや情報提供のほか、空き家の改修・修繕に関して数十万から150万円ほどまでの助成をする自治体も少なくありません。
 
また新築する際にも、多いところでは200万円まで助成をするというところもあります。同じ自治体内の業者を使うなどの条件もいろいろつきますが。
 
賃貸住宅の家賃を月数万単位で助成したり、引っ越し費用を負担してくれたりするところもあります。「お試し移住」の施設をつくり、ちょっと試しに体験してもらうという自治体も増えています。
 
仕事への支援もあります。仕事探しのサポートはもちろん、島根県隠岐の島では、職人の後継者育成のために、1年以内の就労体験中、月12万円の助成をしています。
 
また、町内外への通勤費、通学費を助成してくれるところもあります。たとえ地元に職を得られなくとも、やはりまずは「住んで」ほしいわけです。転入しただけで10万円の奨励金をくれるところもあります。
 

手厚い子育て支援がPRの核

子育て支援が手厚い自治体もたくさんあります。高校生までの医療費無料や、北海道南富良野町などは、なんと22歳まで無料です。
 
出産祝い金も、2人目まで50万円、3人目以上は100万円という町もあります。さらには、妊婦健診にかかる費用を全額助成したり、また不妊治療にかかる費用を1回15万円、年150万円まで助成したりするという。
 
言うまでもないことですが、子育て支援はもちろん、移住者のためだけのものではなく、そこに住んでいる人全員のためのものです。
 
東京都内でも、23区ではすでに中学生まで医療費自己負担なし、うち2区は高校生まで無料となっていますから、地方だから手厚いというわけでもないのです。
 
ただやはり、地方にとっても都会にとっても子供は宝。今後ますます少なくなる可能性のある子供にぜひ住んでもらいたいと、子育て世帯の誘致を進め、子育て世帯の流出を防ぐためにも、各自治体がプラスアルファの工夫を、予算をなんとかやりくりして加えています。
 
幼稚園や保育園の無償化や、給食費の助成、北海道三笠市では紙おむつ購入費用を助成したり、退職教員などが教材費以外は無料の学習塾を開いたりしています。
 
ここまで書いてきたように、やはりいちばん歓迎されるのは子育て世代。該当する家族は、自然の中で地域の人々に見守られ大切にされながら子供が成長し、しかもさまざまな助成でお財布にもやさしい、そんな移住生活をこれからの暮らしの選択肢に加える価値はありそうです。
 

「老後移住」の希望者には?

では、子育て世代でない人たちは歓迎されないのでしょうか? 実のところ、前述の「住」の部分の助成にも、45歳、50歳といった年齢制限がついているものが少なくありません。老後、夫婦で田舎暮らしを……と考えている人にはちょっとさみしいことですが。
 
しかし、歓迎されないわけでもないのです。田舎暮らしをしようなんて元気な人たちなら、今まで積み重ねた経験を生かし、町に新しい風を吹かせることもできるでしょう。住まいの助成も、年齢制限がないところも多くあります。
 
まずは相談窓口に相談してみること。それと、それまでにちゃんと田舎の人たちにも役に立つような経験を積んでおくこと、そして自己資金をしっかりと蓄えておくこと。助成に甘えすぎてはいけません。
 
また、何年か何十年か後、車に乗るのを諦める日、健康を害したり体が不自由になったりする日が来るかもしれないことを考え、ある程度の医療機関や公共交通機関の充実したところを選んだほうがいいでしょう。
 
最近は老後海外移住をする人も増えていますが、日本の地方を救う存在になれるかもしれません。国内もちょっと考えてみては?
 
執筆者:田中恭子(たなか きょうこ)
フリーランス・エディター&ライター
 
監修:FINANCIAL FIELD編集部
 

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