高齢の両親と「同居」を検討し始めました。保険料が低くなる可能性がある「世帯分離」を勧められたのですが、デメリットの方が大きいでしょうか?

配信日: 2025.06.05

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高齢の両親と「同居」を検討し始めました。保険料が低くなる可能性がある「世帯分離」を勧められたのですが、デメリットの方が大きいでしょうか?
住所はそのままで別世帯を設ける制度を「世帯分離」といいます。住民税や所得税の節税になったり、介護にかかる負担を軽減できたりと、さまざまなメリットを享受できるといわれています。しかし、世帯分離はしたものの、思っていたよりもメリットが少なくデメリットのほうが多かった、という声も少なくありません。
 
本記事では、世帯分離の概要を説明し、世帯分離のメリットだけでなくデメリットについても解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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そもそも「世帯分離」とは?

「世帯」というのは、一つ屋根の下に住み、生計を共にする社会生活上の単位になります。 世帯分離とは、住所はそのままで住民票上別世帯を設けることです。主な目的としては、節税や介護などにかかる負担の軽減が挙げられるでしょう。
 
世帯を分けることにより世帯の総所得が減少し、税負担が軽減されたり、中には住民税非課税になったりするケースもあるのです。加えて、国民健康保険料や介護費用の軽減など、さまざまな経済的メリットが得られる可能性があります。
 

「世帯分離」のメリット

世帯を分けることで、どちらかの世帯収入が大幅に減少するケースが考えられます。ここでは、世帯分離によってもたらされるメリットについて、詳しく解説します。
 

・国民健康保険料の負担軽減

国民健康保険料は、前年の所得と被保険者の人数で算出されます。したがって、世帯収入が高かったり、被保険者の数が多かったりすると、その分保険料は高くなるのです。
 
そこで、世帯を分けることによって世帯の総所得が減少すれば、保険料が下がる可能性があります。高齢の親と働き盛りの子どもが同居しているケースでは、親世帯の所得が大幅に減少するため、国民健康保険料の負担が大きく軽減される可能性があるのです。
 

・介護費用の軽減

介護費用を大幅に軽減できる可能性があります。例えば、親子で合算した所得が介護費用負担額の算定対象となっていたものを、世帯分離によって親の所得のみが算定対象となるため、介護保険費用を軽減できる可能性が高いのです。
 

「世帯分離」のデメリット

さまざまなメリットのある世帯分離ですが、デメリットはないのでしょうか。ここでは、世帯分離で考えられるデメリットを解説します。
 

・国民健康保険料が高くなるケースもある

国民健康保険料は、世帯主が世帯収入や被保険者の人数に応じた保険料を支払う義務を負います。
 
そのため、世帯分離した場合には、保険料の算定基準となる世帯収入と被保険者数が変わります。親と子で同一世帯だったものが、別世帯になると、それぞれで保険料を支払う義務を負うことになるのです。その結果、世帯全体での保険料負担が増えるケースもでてきます。
 

・子どもの健康保険に扶養加入できない可能性がある

高齢の親が子どもの扶養から外れると仮定して考えてみましょう。これまでは、子どもの勤務先の健康保険組合に加入し、実質的な保険料負担がありませんでした。しかし、扶養から外れることで国民健康保険への加入が必要となるため、新たな経済的負担が発生するのです。
 

まとめ

世帯分離は、節税だけでなく介護費用や国民健康保険料の負担軽減など、さまざまな経済的メリットを享受できる可能性があります。ただし、ケースによっては逆に負担が増える恐れもあるため注意が必要です。
 
世帯分離を検討している方は、節税や介護費用、健康保険料との関連性を十分に理解し、メリットが大きいのかそれともデメリットが大きいのか適切に判断する必要があるでしょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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