高校無償化で「お金の準備は不要」と思っていたら、義妹から「ウチは結局数十万かかった」と言われビックリ!“全額タダ”で進学できるんじゃないの? 入学後に発生する出費とは
配信日: 2025.06.20

しかし、「高校無償化」=「高校に無料で行ける」ではありません。そう思っていると、入学後の思わぬ出費に驚くことになるかもしれません。
本記事では、高校無償化の意味と、実際に高校生活の期間にいくらくらいお金がかかるのかを解説します。
「高校無償化」とは? 無償になるのは授業料だけ
現在、政府の「高等学校等への修学支援」により、国公私立を問わず、高等学校等に通う所得等要件を満たす世帯の生徒に対して支援金の支給が行われています。
公立高校の場合は年額最大11万8800円、私立高校の場合は年額最大39万6000円が支給されます。この11万8800円という金額が、国公立高校の一般的な授業料にあたるため、「高校無償化」と言われています。
ただし、私立高校等に関する加算には所得制限があり、目安として年収590万円(家族構成などによって異なる)を超えると支給されません。
また、公立高校等の就学支援金にも所得制限(目安年収910万円)がありますが、2025年度は「高校生等臨時支援」により、従来対象外だった家庭も、ほかの家庭と同額の支援を受けられます。
なお、「高校無償化」といっても、高校生活にかかる全ての費用がカバーされるわけではありません。授業料以外の費用は自己負担となることに注意が必要です。
実費はどれくらい? 授業料無償でも毎年数十万円の出費がある
実際に授業料以外にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、授業料を除いた学習費用は公立で約30万6000円、私立で約53万3000円にのぼります。学習費用の内訳を一部抜粋したものは次の通りです。
【教科書・教材・学用品など】公立:約6万2000円、私立:約7万4000円
【教科外活動費】公立:約4万9000円、私立:約5万7000円
【通学費】公立:約5万5000円、私立:約8万7000円
さらに、これ以外の大きな出費の1つに制服代があります。
年間平均で公立約2万8000円、私立約4万2000円とされていますが、制服は初年度にまとめて購入するのが一般的ですので、初年度は公立で約8万4000円(約2万8000円×3年)、私立で約12万6000円(約4万2000円×3年)の出費を覚悟したほうが良いでしょう。
今からできる対策は?
まずは、子どもの進学予定先の高校が公立か私立かで大まかな必要額を把握しましょう。そのうえで、進学前の1年間などの期間に、必要な費用を少しずつ積み立てていくことが現実的な対策となります。
例えば、入学まで10ヶ月間あるとすると、月に1万円ずつなら10万円、2万円ずつなら20万円の準備が可能です。
また、各自治体で実施されている入学準備金や就学援助制度も確認しておきましょう。こちらも所得制限などはありますが、条件を満たせば、授業料以外の教育費の一部が補助されるケースもあります。
安心して進学を迎えるために
「高校は無償だからお金はかからない」と思っている人は、授業料のみが対象であるという点を認識しておくべきです。これを知らなければ、高校入学後、思いもかけない出費に戸惑ってしまう可能性があります。
特に入学初年度はまとまった出費が発生しやすく、準備が不十分だと家計に大きな負担がかかることがあります。事前に必要な金額と内訳を把握し、できる範囲で備えておくことで、安心して子どもの進学を迎えられるとよいですね。
出典
文部科学省 高校生等への修学支援
総務省統計局 令和5年度 子供の学習費調査 学校種別の学習費
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士