「授業料実質無償化」の制度を利用したい。埼玉在住で世帯年収「940万円」で賃貸住まいなら、東京に引っ越した方がいいのでしょうか?

配信日: 2025.06.20

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「授業料実質無償化」の制度を利用したい。埼玉在住で世帯年収「940万円」で賃貸住まいなら、東京に引っ越した方がいいのでしょうか?
子どもの高校進学とともに家計に大きな影響を与えるのが「授業料」ですが、各自治体で「高校授業料支援制度」があります。
 
実はこの制度、住んでいる地域や世帯の収入などによって、支給対象や金額が異なる場合もあります。
 
例えば埼玉県在住で、世帯年収が940万円、賃貸暮らしの家庭の場合、東京に引っ越した方が支援が手厚くなるかもしれません。
 
そこで本記事では、「高校授業料支援制度」の対象となる条件と、東京と埼玉での違いを解説します。引っ越しによる影響もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

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東京都と埼玉県の授業料の支援内容は?

東京都と埼玉県で行っている「高校授業料支援制度」について解説します。
 

東京都の支援内容

東京都では、令和6年度から私立高校に通う生徒の保護者を対象とした授業料支援制度(授業料軽減助成金)が拡充され、これまで設けられていた所得制限が撤廃されました。
 
これにより、世帯の収入にかかわらず、一定額まで授業料の助成を受けられるようになります。支援の上限は、都内私立高校の平均授業料にあたる48万4000円(全日制・定時制)または26万5000円(通信制)となっており、経済的な負担を大きく軽減できるでしょう。
 
この制度の対象となるのは、東京都内に居住し、私立高校などに通っている生徒の保護者の方々です。
 
国の「就学支援金」に加え、東京都独自の「授業料軽減助成金」が組み合わさることで、授業料の実質的な無償化が実現します。私立高校を選ぶ際のハードルも、以前よりは低くなるのではないでしょうか。
 
なお、対象となる方は必要な助成を確実に受けるためにも、申請を忘れないようご注意ください。
 

埼玉県の支援内容

埼玉県では、県内に住む保護者の経済的負担を軽減するため、「父母負担軽減事業補助金」という独自の支援制度を実施しています。
 
この制度の対象となるのは、埼玉県が認可した私立の小学校・中学校・高等学校・中等教育学校・特別支援学校、そして一部の高等専修学校に通っている生徒です。
 
補助を受けるには、保護者と生徒の両方が県内に居住している必要があります。また、一定の所得基準を満たしていなければなりません。
 
例えば、高等学校(全日制)の場合は、授業料に加えて、施設費や入学金も補助の対象となるため、家計への負担は大きく軽減されるでしょう。
 
ただし、年収が940万円程度のご家庭では、国の「就学支援金」などにより11万8800円の補助を受けられるケースもありますが、県の制度による補助は対象外となる可能性が高いと考えられます。
 
支援を希望する方は、事前に制度の詳細や条件をよく確認しておく必要があるでしょう。
 

東京都と埼玉県の生活費の違い

総務省が公表している「消費者物価地域差指数」(2023年)によれば、物価水準が最も高いのは東京都で、指数は104.5です。これは全国平均(100)を上回る数値であり、東京都が11年連続で物価が最も高い地域となっています。なお、埼玉県も全国平均をわずかに上回っており、物価水準は高めといえます。
 
特に東京都の物価水準が高い要因として大きいのが「住居費」です。全国平均と比較して、東京都では住居にかかる費用が高く、物価全体を押し上げる要因となっています。
 
全国賃貸管理ビジネス協会が2025年4月に実施した調査によれば、3部屋タイプの住宅で東京都の平均家賃が9万7114円、埼玉県では7万5046円となっており、月々の住居費に2万円以上の差があることが分かります。こうしたデータからも、東京都の生活コストの高さがうかがえます。
 
したがって、東京都に引っ越した場合、家賃は埼玉県より月あたり約2万円、年間に換算すると約24万円増加する可能性があります。
 
一方、東京都が支援する授業料の上限は最大で48万4000円とされています。たしかに、授業料の面だけを見れば、東京都の方が手厚い支援を受けられるように感じるかもしれません。
 
しかし、授業料の支援だけで判断するのではなく、住居費や生活コスト全体を踏まえて慎重に検討することが大切です。
 

埼玉在住で年収940万円の場合、東京都では授業料支援の対象となる。ただし引っ越しは住居費なども加味して検討を

埼玉県在住で年収940万円のご家庭の場合、埼玉県が行う授業料支援の対象にはなりませんが、東京都が行う支援の対象になります。
 
東京都では最大で年間約48万円の授業料が支援されるので、魅力的に感じるかもしれませんが、東京都は物価水準が最も高く、家賃も埼玉県から比べると平均して月2万円程度高い傾向にあります。
 
授業料支援だけに注目せず、住居費や日常の生活コストも含めて、総合的に検討することが大切です。
 

出典

埼玉県 令和7年度 埼玉県父母負担軽減事業補助金のお知らせ<県内私立全日制高等学校用>
総務省 消費者物価地域差指数-小売物価統計調査(構造編)2023年(令和5年)結果-
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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