日本一“お米にかける金額”が高いのはどこ? 3位「浜松市」2位「福井市」、1位は? お米の「購入金額・生産量」の相関については意外な結果に!「米どころだからお店で買わない」わけではない?

配信日: 2025.06.19

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日本一“お米にかける金額”が高いのはどこ? 3位「浜松市」2位「福井市」、1位は? お米の「購入金額・生産量」の相関については意外な結果に!「米どころだからお店で買わない」わけではない?
インフレが続く中でも、物価上昇が群を抜いて高い「米類」。2025年4月に総務省が発表した消費者物価指数では前年同月と比べて「98.4%の上昇」と報道され、大きな話題となりました。政府は安価な備蓄米の放出を行うなどの緊急対策を行っており、今後の値動きが注目されています。
 
今回のコラムでは都道府県ごとの1年間当たりコメ購入金額と、コメ生産量のランキングを調べてみました。お米の購入金額と生産量に、関連はあるのでしょうか。
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全国のコメ購入金額・購入量とコメ生産量ランキングは?

全国のコメ購入金額・購入量については総務省がまとめた「家計調査ランキング」(2022~2024年の平均)、コメ生産量については農林水産省が発表する2024年度の「作物統計調査」を参照して一覧表を作成しました。(図表1、図表2)
 
家計調査ランキングについては各都道府県の「県庁所在地」および「政令指定都市」における統計となっていることに注意が必要です。
 
図表1

図表1

総務省「家計調査ランキング」より筆者作成
 
図表2
図表2

農林水産省「作物統計調査」より筆者作成
 
コメの年間購入金額トップ3は静岡市、福井市、浜松市。年間購入量トップ3は福島市、福井市、新潟市という結果でした。
 
「コメ年間購入金額ランキング」において、いわゆる「米どころ」として有名な東北地方および北陸地方の都市は、上位10都市のうち4都市(福井、新潟、山形、福島)がランクインしています。
 
年間購入量の上位10都市のうちでは6都市(福島、福井、新潟、富山、山形、盛岡)と、コメの生産量が高い地域ではコメの購入量・購入額も高くなる傾向があるように見えます。
 
逆に下位10都市のうちでも、生産量ランキングでは全国3位となっている秋田県の「秋田市」(43位)が入っています。秋田市はコメの年間購入量も全国下位(52都市中39位)に属しており、これはコメを生産する一方であまりコメを消費していないのか、または知り合いなどからコメをもらえるので、購入自体をしていないなどの現象が起きていると考えられます。
 
一方で「コメ年間生産量ランキング」には、東北地方を中心とする「米どころ」のほか、千葉県、茨城県、栃木県などの関東の農業県がランキング上位に入っています。
 
逆にほぼ断トツで最下位となっているのは東京都と沖縄県ですが、これはそもそも田畑の少ない東京都と、水稲の生産に向かない気候である沖縄県が、全く異なる理由でランクインしているのが印象的でした。
 
また、コメの値上がりが顕著になる前の統計とはいえ、1世帯あたりのコメ年間購入額は全国平均で2万2000円台ということも、筆者にとって驚きでした。
 
仮に現在のコメ価格が統計を取った2022~2024年の2倍になっているとしても、1世帯あたりの年間家計負担増は約2万2000円程度、外食の値上がりなどを含めたとしても約3万円程度にとどまる計算です。
 
加えて、コメは日本で主食とされてはいるものの必ず食べなければいけない食品であるわけもなく、パスタなどの代替物は相変わらず比較的安価なままで手に入る状況が続いています。これらを考えると、現在のコメ価格や備蓄米の動向をめぐる国家的な大騒ぎは、あまりにも度が過ぎているといえるかもしれません。
 

コメの購入金額と、コメ生産量に相関はあるか。

以上の図表1、図表2をまとめ、各都道府県のランキングを一覧表にしたのが図表3です。
 
図表3

図表3

筆者作成
 
筆者はコラム執筆前に「コメの生産量が多い都道府県ほど、コメを生産して自家消費するか、知り合いの農家などからもらうために、購入額・購入量は少なくなる」という仮説を立てていたのですが、結果としては真逆のパターンも多く見られ、相関らしい相関は見えませんでした。
 
例えば新潟・北海道・福島・山形・岩手はコメ生産量が全国上位でありながらコメの購入額・購入量も上位にランクインしていますが、秋田・宮城・茨城・千葉・栃木はその逆の現象が起きています。
 
これは「コメ購入量・購入額」については「都市ごと」の統計であるが、「コメ生産量」は「都道府県ごと」の統計であることが大きく影響していそうです。
 
また、コメの価格や銘柄にどれほどこだわるかなど、都市ごとの米食に対する嗜好についても気になる所です。各都市住民の嗜好に関するデータをもとにさらに深堀していくと、興味深い傾向が見えてくるかもしれません。
 

まとめ

総務省と農林水産省のまとめた統計データによると、コメ購入量・購入額の都市別ランキングと、コメ生産量の都道府県別ランキングには明確な相関がなく、例えば生産量の多い都道府県でも、購入額が高い地域も低い地域も混在しています。
 
地域によって、米の銘柄や品質にこだわる傾向はあるのか、米が販売される際の実勢価格はどうなっているのかなども気になるところです。
 

出典

総務省 消費者物価指数 全国 2025年(令和7年)4月分
農林水産省 作物統計調査令和6年産作物統計
総務省統計局 家計調査 品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2022年(令和4年)~2024年(令和6年)平均)「穀類」
 
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

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