「賃貸アパート退去時」に「敷金」を支払っているのに「追加の請求」が…そのまま支払う人の割合はどのくらい?

配信日: 2025.06.18

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「賃貸アパート退去時」に「敷金」を支払っているのに「追加の請求」が…そのまま支払う人の割合はどのくらい?
賃貸アパートの退去時に「修繕費用を請求されて、全額支払った」という人もいるでしょう。実は、原状回復工事が発生するケースでは敷金を使用し、余った敷金は返金するものと決められています。
 
そこで今回は、退去時に請求額通りに支払っている人の割合や敷金の使い道、原状回復トラブルやそのガイドラインについて解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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賃貸住宅の退去時に修繕費用を請求額通りに支払っている人の割合

株式会社AlbaLinkの「賃貸物件の退去時に起きたトラブルに関するアンケート調査」によると、賃貸住宅の退去時に、修繕費用などを請求額通りに支払っている人の割合は約36.5%となっています。退去時トラブルの対処法やその割合について、表1にまとめました。
 
表1

対処法 割合
1 請求額通り支払った 約36.5%
2 交渉・抗議を行い、支払わなかった 約17.8%
3 第三者に相談した 約8.6%
4 交渉・抗議をしたが、請求額通りに支払った 約6.3%
5 交渉・抗議を行い、減額してもらった 約5.6%

※株式会社AlbaLink「【賃貸物件の退去時トラブルランキング】経験者304人アンケート調査」を基に筆者作成
 
そのまま支払った人の理由として「それほど大きな金額ではなかった」「支払うものだと思っていた」「時間がなかった」などがあるそうです。
 
実際に交渉や協議によって、支払い義務がなくなったり減額できたりするケースもあります。退去時の修繕費請求に対して「どこまで支払いに応じるべきか」で悩んでいる人が多いかもしれません。
 

敷金は何のために支払う?

敷金とは、賃貸物件を借りた人が物件オーナーや管理会社に預けるお金で、家賃滞納時の補填目的や物件の修繕費用などに使われます。そのため、退去時に修繕費用が発生するにしても、敷金から支払われることが一般的といえるでしょう。
 
「民法第622条の2第1項」によると「敷金は本来の目的に使用して、残った分は返還しなければならない」と書かれています。入居時に敷金を支払っているケースではそのお金を修繕費用にあてるため、退去時に修繕費の請求があると納得できないかもしれません。
 
また、民法では敷金について「いかなる名目によるかを問わず」と書かれており、敷金と同じ目的で支払う金銭は敷金と同様の扱いをする必要があります。
 
例えば「保証金」を支払うケースで、家賃の滞納や退去時の修繕費用にあてるつもりで預けるケースでも、敷金と同様に使用しないお金を返還する義務が発生します。
 

賃貸住宅の原状回復トラブルの状況とガイドライン

独立行政法人国民生活センターのデータによると「賃貸住宅の原状回復トラブル」に関する相談件数は1万3247件(2023年)となっています。具体的には「退去時に原状回復費用を請求された」「たいした傷や汚れはないのに、敷金が返還されない」などです。
 
このような現状を受け、国土交通省では「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を作成しました。
 

ガイドラインのポイント

ガイドラインのポイントとして「原状回復」の基準を定めています。原状回復となる修繕例は以下の通りです。


・借主の故意もしくは過失によるもの
・管理不十分によるもの
・通常の使い方を超える使い方によるもの

上記のケースによる修繕費用は借主が負担する旨を定めています。これにより、一般的な経年劣化や通常の使い方による傷・汚れは、賃料に含まれるものとされました。
 
したがって、普通に生活するうえでの傷や汚れの修繕には「敷金」を使用せず、原状回復に該当する修繕がなければ返金することが一般的と考えられます。
 

借主に原状回復義務が発生する状態とは

借主に原状回復義務が発生する状態は、以下の通りです。


・借主の使い方によって発生したりしなかったりすると想定されるもの
・借主の手入れや管理の状態が悪く、傷や汚れが発生した(拡大した)もの

退去時に上記の事例が発生している場合は原状回復を求められる可能性があります。具体的には「落書きによる毀損」「タバコのヤニによる変色」「飼育ペットによる傷」などです。ただし、敷金を支払っているケースでは、敷金で対応できる可能性もあり、別途費用が発生するとは限りません。
 

賃貸住宅の退去時に原状回復費用を請求通りに支払った人は約36.5%

賃貸住宅の退去時に原状回復費用を請求された場合に、約36.5%の人が請求通りに支払っていることが分かりました。
 
そもそも敷金とは、借主が賃貸オーナーに対して「家賃の滞納や原状回復費用が発生した際に使用するために預けるお金」です。そのため、原状回復が発生する場合に敷金を使用するものであり、余った場合は返金するものと決められています。
 
しかし、敷金におけるルールを理解しておらず、請求通りに原状回復費を支払う人が存在しています。退去時にトラブルとならないためにも、契約時にしっかりと確認しておきましょう。
 

出典

株式会社AlbaLink【賃貸物件の退去時トラブルランキング】経験者304人アンケート調査
e-Gov 法令検索 民法(明治二十九年法律第八十九号)
独立行政法人国民生活センター 賃貸住宅の原状回復トラブル
国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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