世帯年収500万円だけど、子どもに「中学受験」させたい! 家計がカツカツになっても、子どもの将来を考えると“価値のある投資”と言えるのでしょうか? 学歴別の「平均収入」もあわせて解説

配信日: 2025.06.17

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世帯年収500万円だけど、子どもに「中学受験」させたい! 家計がカツカツになっても、子どもの将来を考えると“価値のある投資”と言えるのでしょうか? 学歴別の「平均収入」もあわせて解説
将来を考えると、子どもにはできる限り良い環境で勉学に励んでほしいと思う親は多いでしょう。中学受験は選択肢の1つですが、公立の学校に比べて教育費が多くかかります。世帯年収500万円でも、私立中学校に通わせることはできるのでしょうか。
 
本記事では、中学受験に必要な費用や利用できる補助金制度について解説します。

私立中学校の1年間の学費は約156万円

文部科学省の「令和5年度子供の学習費調査」によると、私立中学校に通う子どもの1年間にかかる学習費の総額は、約156万円です。これは、公立中学校のおよそ3倍にあたります。
 
図表1
図表1
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果について
 
図表1は、学校教育費の内訳を表したものです。私立中学校の場合、公立中学校にはない授業料が全体の4割を占めています。
 
それだけで約45万円がかかり、公立の合計費用を大きく上回る一因となっています。また、入学金や学校納付金等が、私立は公立の10倍以上になっており、負担が大きいです。そのほかの項目についても、私立は公立に比べて多くの費用が必要となります。
 
図表2
図表2
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果について
 
図表2は、学校外教育費の内訳を示したものです。公立は年間で35万6000円、私立は年間で42万3000円となっており、こちらは学校教育費ほど公立と私立で差がないと分かります。
 
つまり、私立中学校に通う場合は、学校教育費の負担が大きいということです。
 

世帯年収500万円で私立中学校に通わせるには、大きく節約する必要がある

私立中学校に通っている家庭の約9割は、世帯年収が600万円以上です。しかし、1割は年収が400万円未満から599万円までのため、年収500万円でも私立中学校に通わせることは可能でしょう。
 
年収500万円の場合、手取り金額はおよそ400万円です。ここから1年間の教育費156万円を引くと、残りが約240万円で、月当たり約20万円が生活費となります。
 
総務省の家計調査年報によると、3人家族の1ヶ月あたりの支出は約31万円です。ここに含まれる教育に関する費用を差し引いても、月に28万円は生活に必要な計算となります。
 
世帯年収500万円で子どもを私立中学校に通わせる場合は、住居費や通信費、保険料などの固定費を抑え、月20万円で生活できるように節約する必要があるでしょう。
 

補助金等を活用して負担を減らそう

東京都私学財団は、私立中学校等の授業料軽減助成金事業を行っています。都内に住所を有しており、子どもが私立中学校等に在学している保護者であれば、年収にかかわらず年額10万円の助成金を受けられる制度です。
 
また、千葉県や神奈川県には家計が急変した際に、補助金を用意してくれる制度が導入されています。在住する都道府県に教育費の援助制度があるかを調べ、必要に応じて利用するといいでしょう。
 

中学受験は進学や将来の年収に影響する

世帯年収500万円で子どもを私立中学校に進学させる場合、家計が厳しくなることが分かりました。それでも、中学受験をして通わせる価値はあるのでしょうか。
 
厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、学歴別の平均月収は図表3の通りです。
 
図表3

大学院 大学 高専・短大 専門学校 高校
49万7000円 38万5800円 30万7200円 30万6900円 28万8900円

厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況 より筆者作成
 
図表3より、大学卒と高校卒では、平均月収に約10万円の差があると分かります。35年以上働くと仮定した場合、4200万円の差が生じるということです。
 
中学受験をしたからといって、必ずしも年収が上がるとは限りません。ただし私立中学校に進むことで大学に進学できる可能性は高まり、それによって将来の年収が大きく変わることもあるといえます。
 

まとめ

世帯年収500万円で子どもを中学受験させるとなると、家計への負担は大きいです。しかし、固定費を節約したり補助金を利用したりすれば、私立中学校に通わせることは可能でしょう。
 
よりよい環境で学ぶことによって、子どもの可能性は大きく広がります。中学受験は、子どもの将来の選択肢を増やす価値ある教育的投資と言えるでしょう。
 

出典

文部科学省 令和5年度子供の学習費調査の結果について
文部科学省 子供の学習費調査/令和5年度 子供の学習費調査 5 世帯の年間収入段階別、項目別経費の構成比
総務省 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)
厚生労働省 令和6年賃金構造基本統計調査の概況
 
執筆者 : 舟山こうた
FP2級、小学校一種免許

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