「定年後にお遍路巡りしたい」という両親。「徒歩で巡りたい」とのことだけど、ツアーの“2倍”費用がかかるって本当? 交通手段ごとの「日数・費用」とは
配信日: 2025.06.17

本記事では、お遍路にかかる日数や費用を徒歩、自転車、車、ツアー別に比較してみました。また、野宿のメリットやデメリット、歩き遍路の注意点も解説します。
そもそもお遍路とは
そもそも、お遍路とは何なのでしょうか? お遍路は、弘法大師(空海)が修行した四国八十八ヶ所の霊場を巡礼することです。平安時代には修行者によって四国への巡礼が始まり、鎌倉時代には西行や法然といった有名な僧侶も四国を訪れたようです。
お遍路はもともと修行者のものでしたが、弘法大師信仰が広まるにつれて、一般人もお遍路を回るようになりました。
巡礼者は、菅笠(すげがさ)、笈摺(おいずる)と呼ばれる袖のない衣、金剛杖のスタイルで、鈴を鳴らしながら霊場を回り、各霊場で参拝をしたり御朱印をもらったりします。
お遍路にかかる日数や費用
お遍路をするには、どのくらいの日数や費用がかかるのでしょうか。現在のお遍路の手段は、徒歩で回る「歩き遍路」のほか、自転車、車、ツアーなどがあります。お遍路の総距離は、約1400キロメートルです。宿泊費や食費などで1日1万円かかると想定して、それぞれの手段で1人あたりにかかるおおよその費用と日数を図表1にまとめました。
図表1
筆者作成
車や自転車なら、安ければ10万円台でお遍路が可能です。逆に高額になるのは徒歩です。通常の速さだと50万円前後必要となり、日数が増えるほど費用も増えていきます。
さらに安くするには
先ほど紹介した費用よりも安くすませる方法もあります。ビジネスホテルなどを使わずに、野宿する方法です。もともとお遍路は歩き遍路しかありませんでしたから、遍路路には通夜堂(つやどう)、善根宿(ぜんこんやど)といった修行者が無料で宿泊できる施設が存在しています。
一方、現在は車中泊や野宿が禁じられている場所も少なくないため、注意が必要です。野宿を行うのであれば、あらかじめ野宿が可能かどうかを確かめるのはもちろんのこと、野宿が可能な場所でも、周りに十分配慮して行う必要があるでしょう。
また、野宿に必要な寝袋やテントを持ち運ばなければなりませんし、それらを使いこなすスキルも必要です。さらに、野宿をすると犯罪に巻き込まれる可能性もあります。それらを受け入れられることが条件のため、野宿によるお遍路はかなり上級者向けの選択肢でしょう。
歩き遍路の注意点
「歩き遍路」は費用も時間もかかるため、ぜいたくな巡礼方法ともいえます。歩き遍路をする際の注意点をいくつか紹介します。
体を十分鍛えておく
歩き遍路では、1日20~40キロメートルを歩き続けなければなりません。現代では、日常的にそれだけの距離を歩いている人はあまりいないでしょうから、いきなり歩き始めるとマメができるなどで歩けなくなる可能性があります。お遍路に出発する前に、長距離歩行に十分慣れておく必要があります。
必ずしも1回で全て回らなくても良い
お遍路は、1回で全て回る必要はありません。体力・お金・時間などに合わせて、数回に分けて行う人のほうが多いでしょう。特に定年後のお遍路では、時間と費用はあるものの、体力的に厳しい面があるかもしれません。けがなどで苦しみながら巡礼するよりも、無理をせず自分のペースで巡礼したほうが充実したものになるでしょう。
まとめ
お遍路は、弘法大師が開いた四国八十八ヶ所の霊場を巡礼するものです。徒歩での巡礼のほか、自転車や車、ツアーでも回れます。中でも歩き遍路は体力・お金・時間が必要なため、難易度は高めです。しかし、自分の足で歩ききる充実感が得られるのも確かです。体力などの都合に合わせて、歩き遍路に挑戦してみてはいかがでしょうか。
執筆者 : 山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士