私立高校の「授業料無償化」でも実際はお金がかかる? 公立と私立の費用差はどれくらいあるのでしょうか?

配信日: 2025.06.18

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私立高校の「授業料無償化」でも実際はお金がかかる? 公立と私立の費用差はどれくらいあるのでしょうか?
2025年4月からの「高校授業料無償化」により、私立高校でも授業料の負担が軽減されることが発表されています。
 
この制度は家庭の教育費負担を軽くする大きな施策として注目されていますが、実際のところ「完全な無償化」ではないことをご存じでしょうか。本記事では、私立高校における実際の負担額や公立高校との費用差について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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私立高校の授業料無償化とは?

「高等学校等就学支援金制度」の拡充により、2025年4月からは所得制限なしで年間11万8800円の支援金が支給されるようになりました。さらに、2026年4月からは、支援金の上限が45万7000円にまで引き上げられる予定です。
 
これにより、家庭の年収にかかわらず、ほとんどの私立高校の授業料が実質無償化される見通しとなっています。ただし、「授業料のみ」が対象であるため、それ以外の費用については各家庭の負担が継続する点には注意が必要です。
 
また、私立高校ごとの授業料の設定は学校によって異なります。全国平均が無償化の基準となっているため、それを上回る高額な授業料を設定している学校では、一部自己負担が発生することもあります。そのため、無償化といってもすべての家庭にとって費用がゼロになるわけではないのです。
 

授業料以外にかかる費用とは?

私立高校では、授業料のほかにもさまざまな費用が発生します。代表的なものとしては、以下のようなものが挙げられます。


・入学金(平均15万円前後)
・教育充実費や施設費(年間約20~30万円)
・教科書や副教材費(年間1~3万円)
・制服・体育着などの被服費(5~10万円)
・修学旅行費や積立金(総額10万円前後、積立金は月数千~1万円程度)
・PTA会費やクラブ活動費(年間数千~数万円)

これらの費用は授業料とは別に支払うものであり、授業料が無償になったとしても軽視できない支出となります。
 
特に私立高校は設備が充実していたり、独自の教育カリキュラムを提供していたりするため、教育関連費用が高くなる傾向があります。
 
さらに、私立高校では英語やICT教育など、特色あるプログラムや課外活動が導入されており、こうした活動にも一定の費用がかかります。特に進学指導が手厚い学校では、模試や特別講習などの追加費用が発生する場合もあります。
 

公立高校との費用差はどれくらい?

文部科学省や各種教育情報サイトの調査結果を見ると、公立高校と私立高校では、3年間でかかる総費用に大きな差があります。一般的には、以下のような金額が目安とされています。


公立高校:3年間で約45万~60万円
私立高校:3年間で約180万~210万円

これは、授業料以外の費用も含んだ金額です。授業料が無償になったとしても、私立高校に通うことで発生する費用は、公立高校よりも大きく上回るのが現状です。
 
もちろん、私立高校には進学実績の高さや充実した教育環境、特色ある学習プログラムなど、費用に見合った価値もあります。実際、私立高校を選ぶ保護者の多くは、教育の質や進学への対応を重視しており、費用対効果を見極めながら選択しています。
 
しかし、入学を検討する際は、学費以外にかかる支出を含めて家庭の予算と照らし合わせることが重要です。奨学金や支援制度の有無、通学にかかる交通費なども考慮に入れて、無理のない範囲で進路を選びたいところです。
 

無償化を正しく理解し、賢い進路選びを

私立高校の授業料無償化は、経済的な理由で進学をあきらめることのない社会を目指すための大きな一歩です。しかし、授業料以外の費用は引き続き自己負担となるため、完全にお金がかからないと誤解しないことが大切です。
 
進路選びでは、学費や教育内容、通学距離や進学実績など、多角的に比較検討することが求められます。また、自治体によっては入学金補助や施設費支援などの独自制度を設けているケースもあるため、各学校や市区町村の情報を調べ、利用可能な支援制度を最大限活用することが家計の助けになります。
 
授業料無償化の恩恵を生かしつつ、実際の負担を見極めながら最適な進路を選ぶことが、保護者・生徒双方にとって大切なポイントとなるでしょう。制度の趣旨を理解し、将来を見据えた進路選びをすることで、教育機会の格差を減らし、より豊かな学びの環境を手に入れることができます。
 

出典

文部科学省 高校生等への修学支援
文部科学省 令和5年度子供の学習費調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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