息子は私立大学の「理系学部」を志望しています。貯蓄は「600万円」ですが、「4年分の学費」を払えますか?

配信日: 2025.06.17

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息子は私立大学の「理系学部」を志望しています。貯蓄は「600万円」ですが、「4年分の学費」を払えますか?
私立大学の理系学部は、高額な学費を支払わなければならないと考えている方もいるかもしれません。では、実際に4年間の学費はいくらくらいなのでしょう。
 
今回は、理系の私立大学にかかる学費や教育資金をためるコツについてご紹介します。
FINANCIAL FIELD編集部

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理系の私立大学にかかる学費は4年間でいくら?

文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」によると、理系の私立大学の初年度の学費の平均額は表1の通りです。なお、計数は端数処理を行っているため、合計において一致しない場合があります。
 
表1

授業料 入学費 施設設備費 合計
116万2738円 23万4756円 13万2956円 153万451円

※文部科学省「令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について」を基に筆者作成
 
授業料と施設設備費が4年間かかると考えた場合、理系の私立大学にかかる学費は合計で541万7533円となります。そのため、貯蓄が600万円あれば、基本的には4年分の学費は支払えるでしょう。
 
ただし、大学生活は学費以外にもさまざまな費用がかかります。例えば、学習に必要な教材費や自宅通学者であれば交通費、一人暮らしで仕送りを行うのであれば別途費用が必要になるでしょう。
 
日本政策金融公庫の調査によると、理系の私立大学に進んだ方の入学および在学費用は4年間で約822万円となっています。学費以外で300万円近く必要になる可能性もあり、貯蓄600万円だけで確実に大学生活4年間を過ごせるとは限らないでしょう。
 

教育資金をためる方法

教育資金をしっかりためようと思うと、大きな金額が必要になるため時間がかかります。そのため、子どもが生まれたタイミングや幼少期からコツコツためるとよいでしょう。
 
例えば、児童手当を使わずにためる方法があります。こども家庭庁「児童手当制度のご案内」によると、支給額は表2の通りです。
 
表2

児童の年齢 児童手当の額(一人当たり月額)
3歳未満 1万5000円
(第3子以降は3万円)
3歳以上 高校生年代まで 1万円
(第3子以降は3万円)

※こども家庭庁「児童手当制度のご案内」を基に筆者作成
 
仮に第1子で児童手当を一切使わずに取っておいたら18年間で234万円たまります。600万円の貯蓄を自身でコツコツ行っていたのであれば、それに児童手当を加えるだけで理系の私立大学の学生生活に必要な費用を補える可能性があるでしょう。
 
また、学資保険で教育資金をためる方法もあります。学資保険であれば、大学進学に向けた積み立てを計画的に行いながら、何かあったときの保障としても活用できます。ただし、途中で解約すると戻ってくる金額が減るリスクがあるため、保険選びは慎重に行いましょう。
 
近年は資産運用で教育資金を増やそうと考える方もいるようです。少額からでも始められる投資も増えており、学資保険や児童手当での資産形成と比較すると、タイミングによって大きな利益を得られる可能性がある点が魅力です。
 
ただし、必ずしもプラスになるとは限らず、時期や社会情勢などによっては大事なタイミングで損失になるケースもあるため、ほかの方法とあわせて行うとよいでしょう。
 

学費負担をおさえる方法はあるのか

学費負担をおさえられる国の制度は以下のように複数あります。
 

・高等教育の修学支援新制度:世帯収入や資産要件、学習意欲などの基準をクリアした学生を対象に、私立大学の場合は最大で入学金26万円、授業料70万円が免除もしくは減額される。
 
・奨学金制度:独立行政法人日本学生支援機構では、返済不要の給付型と返済が必要な貸与型の奨学金がある。世帯収入などの条件に応じて金額は異なる。
 
・国の教育ローン:日本政策金融公庫が提供する教育ローン。日本学生支援機構の奨学金と併用でき、上限350万円まで借り入れできる。

 
また、大学によっては特待生・優等生制度を設けている学校もあり、学費が一部免除されるケースもあります。学校ごとに選考基準や制度の内容が異なるため、志望校に学費免除に関する制度がないか確認するとよいでしょう。
 

学費だけであれば、貯蓄600万円でもたりる可能性はある

理系の私立大学は、4年間で約542万円の学費を支払う必要があり、貯蓄600万円であれば支払える可能性があります。しかし、学校によって学費は異なるため、必ずしも支払えるとは限らないでしょう。
 
また、学費以外にも大学生活では教材費や実習費、交通費などさまざまな費用が発生します。これらを含めると、学費以外に300万円ほど必要になる可能性があります。子どもが生まれたタイミングからコツコツ貯蓄を始めたり、学費をおさえられるような制度を活用したりする方法もおすすめです。
 
それぞれの制度や貯蓄方法を組み合わせれば、大学進学にともなう金銭面の心配も少し取り除けるかもしれません。
 

出典

文部科学省 令和5年度 私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額(定員1人当たり)の調査結果について
日本政策金融公庫 子供1人当たりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~
こども家庭庁 児童手当制度のご案内
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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