2026年度末で「手形・小切手」が廃止!? 利用はピーク時の「4億4000万枚→2468万枚」に減少。今後はどのように対応すべき? 代替手段も解説

配信日: 2025.06.16

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2026年度末で「手形・小切手」が廃止!? 利用はピーク時の「4億4000万枚→2468万枚」に減少。今後はどのように対応すべき? 代替手段も解説
2026年度末(2027年3月末)で手形と小切手の廃止が決定したことで、今後は紙媒体が使えなくなるため不便さや不安を感じる人もいるでしょう。
 
本記事では、手形や小切手が廃止される理由や、手形・小切手に代わる手段と特性、廃止に向けて企業に必要な対応などを解説します。
西崎彩智

手形・小切手が廃止される背景

手形と小切手が廃止される背景には、利用率や業務効率の低下に加え、安全性の低さが挙げられます。
 
近年はペーパーレス化が進んだ影響で手形・小切手の利用が減り、1979年のピーク時には約4億4000万枚だった利用数は、2023年には約20分の1となる2468万枚まで減少しました。
 
対して、電子的決済サービスである電子記録債権(でんさい)の発生記録請求件数は、2013年の約13万件から2023年には約689万件まで増加しています。
 
このように、紙媒体の利用率の低下や電子的決済サービスの急速な普及が手形や小切手の廃止を後押しする要因となったようです。
 
また、紙媒体では郵送料金や収入印紙代などのコストがかかることに加えて、管理や手形帳への記入などといった負担もあり、現金化するのにも多くの時間を要することから企業の資金繰りとしては懸念点も少なくありません。
 
ほかにも、現物のある紙媒体では盗難や紛失のリスクに加え、偽造や改ざんなどの不正リスクも起こり得るため、電子的決済サービスへの切り替えで安全性の向上も期待できるでしょう。
 
政府は2026年度末で手形・小切手を廃止する方針と共に、「約束手形・小切手の利用廃止に向けたフォローアップを行う」方針も示しています。
 

企業に必要な今後の対応

手形や小切手の廃止に伴い、今後は手形や小切手の代わりとなる手段に切り替える必要があります。
 
手形や小切手の代わりとなり得る手段は次の通りです。

・電子記録債権(でんさい等)の導入
 
・インターネットバンキングの利用
 
・ファクタリングでの資金調達
 
・クレジットカードでの企業間決済の活用

電子記録債権とは電子的に債権を記録・管理するサービスで、インターネットバンキングと同様にコストや事務負担が軽減できて安全面でのリスクも抑えられるため、どちらも移行先として推奨されています。
 
また、資金調達のための代替手段であれば、ファクタリングを利用するのも1つです。
 
ファクタリングとは、自社が保有する売掛金を専門の企業に買い取ってもらうサービスで、支払期日よりも前に現金化ができますが、手数料がやや高めに設定されていることもあるため利用する際には注意しましょう。
 
代替となり得る手段として、クレジットカードでの企業間決済も挙げられます。
 
クレジットカードでの企業間決済では、カード会社が一時的に支払いを立て替えてくれるため、支払い側は支払いの猶予を得られて受取側は不渡りの心配なく支払いが行われるのがメリットです。ただし、手数料や利用限度額が設けられているため、取引によって使い分ける必要はあります。
 
手形や小切手の代替案にはそれぞれ特徴やメリットが異なるため、それぞれの特性や利点などを理解して、手形や小切手の廃止に対応するようにしましょう。
 

まとめ

手形・小切手の廃止は、紙媒体の利用率の低下や業務効率と安全性の向上が期待できることを要因として、政府がフォローアップを行う方針とともに2026年度末に向けて進められています。
 
手形や小切手の廃止に伴い、「電子記録債権」や「インターネットバンキング」のように手形や小切手の代わりとなるサービスの利用が必要です。
 
ビジネス環境の変化に適応していくためにも、なるべく早くから代替手段の特性や利点などを理解し、政府のフォローなどをうまく活用しながら代替手段の導入を進めていきましょう。
 

出典

一般社団法人全国銀行協会 2026年の手形の小切手の全面電子化へ
一般社団法人全国銀行協会 「手形・小切手機能の全面的な電子化に向けた自主行動計画」の改定について
 
執筆者 : 梅井沙也香
FP2級

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