Xで自動車学校が「一時停止方法」について注意喚起→ユーザーの「律儀に止まると左右確認できない」発言が話題に! 見えなくても止まらないと“罰金”に? 元警察官の筆者の視点も交えて解説
配信日: 2025.06.14

確かにこのユーザーの言うことにも一理あるような気もしますが、実際はどのように止まるのが正しいのでしょうか。
本記事では一時停止のルールや、なぜ左右が確認できない位置に停止線があるのか、正しい一時停止の方法について、元警察官の筆者の視点も交えながら解説します。
一時停止のルール
一時停止は、道路交通法で定められているルールです。道路交通法第43条に「道路標識などにより一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識などによる停止線の直前で一時停止しなければならない」とされています。
罰則は「3月以下の拘禁刑または5万円以下の罰金(うっかりミスによる場合は10万円以下の罰金)」ですが、基本的には青切符で反則金として処理されます。反則金は普通車が7000円、二輪車が6000円、原付が5000円です。そのほかに、違反点数として2点が加算されます。
なぜ左右の安全確認ができない位置に停止線がある?
停止線の直前で停止すると、塀などの障害物により左右の確認ができないケースはよくあります。「なぜ左右の確認ができる位置に停止線を設置しないのだろう」と思う人も多いのではないでしょうか。
停止線を設置する際には、国土交通省により設置の基準が定められています。今回の事例に関連する基準を紹介します。
●横断歩道がある場合は、その手前2メートルの位置を標準にする
●交差道路側の走行車両を視認できる位置に設置する
●交差道路側の右左折車の走行に支障を与えない位置に設置する
基本的には交差道路側の車両を確認できる位置に停止線を設置するように定められている一方で、右左折車の走行に支障を与えてはならないとされています。確かに、左右を確認できる位置まで停止線を前に出すと、一時停止した車が邪魔になり交差道路側からの右左折ができなくなる交差点があります。
このようなケースでは、左右の確認ができない位置に停止線を下げて設置せざるを得ません。また、交差点に横断歩道があるときも、停止線の位置を前に出せません。
停止線で左右の安全確認ができないときはどうすれば良い?
では、停止線手前では左右の安全確認ができないときは、どうすれば良いのでしょうか?
一時停止のルールとは別に、道路交通法第42条では「左右の見通しがきかない交差点に入るときは徐行しなければならない」としています。「徐行」とは、時速○キロメートルのような具体的な速度ではなく、「直ちに停止できる速度」と道路交通法で定義されています。
したがって、見通しの悪い交差点での正しい一時停止の方法は、以下のとおりです。
1. 停止線の手前で一時停止する
2. 徐行で少しずつ前に進んで左右の安全を確認する(必要に応じて一時停止して安全を確認する)
3. 安全が確認できたら進行する
左右の安全確認ができないからといって、停止線を過ぎたところで一時停止するのはダメです。停止線の手前で必ず一時停止をしなければなりません。ちなみに、「停止」とはタイヤが完全に止まることです。
ただし、私が警察官で取り締まりをしていたときは、停止線を越えて一時停止をしても、ほかの車両や歩行者を妨害していなければ、切符処理はしませんでした。
一時停止のルールは、交差点の左右の安全を確認するためのものです。したがって、少しルールを外れていたとしても、本来の目的が遂げられているのであれば、そこまで厳密に違反としてとらえなくても良いだろうと考えていました。私の周りもそういう人が多かったように感じます。
ただし、法律に忠実に職務を行うという点ではほめられた行為ではありません。法に忠実な警察官であれば、そういった事例でも切符処理をするでしょうから、停止線の前では必ず止まるようにしましょう。
まとめ
一時停止の指定がある交差点では、停止線の手前で必ず止まらなければなりません。左右の安全が確認できないケースでも、止まらなければ違反になります。停止線の手前で止まると左右の安全が確認できないときは、いったん停止したあとに徐行で進み、必要に応じて一時停止して左右の安全を確認しましょう。
出典
e-Gov法令検索 道路交通法
埼玉県警察 交通違反の点数・反則金等の一覧表
国土交通省 近畿地方整備局 設計便覧(案) 第3編 道路編
執筆者 : 山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士