お寿司屋さんに入ったら「時価」の文字が…「値段を聞いて帰る」のは非常識ですか?「三つの対応パターン」を解説!
配信日: 2025.06.14

本記事では、「時価」とは何かを整理したうえで、現実的な対応パターンを三つ紹介します。

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目次
なぜ「時価」が存在するの?知っておきたい魚の値段の仕組み
そもそも、なぜ「時価」という価格表示が存在するのでしょうか。それは、私たちが普段スーパーで目にする魚のパックとは異なり、天然の魚介類の価値が常に変動しているからです。
魚の価格が変動する最も大きな要因は、漁獲量の変化です。天候や季節、海水温の変化など、自然環境の影響で魚が獲れる量は日々変わります。例えば、ある魚が豊漁であれば市場にたくさん出回るため価格は安くなりますし、不漁であれば希少価値が高まり価格は上昇します。
水産庁が公表した「令和5年度 水産の動向」によると、日本の漁業・養殖業を合わせた生産量は、1984年(昭和59年)の1282万トンをピークに、長期にわたって減少傾向にあります。2022年(令和4年)には、ピーク時の3分の1以下である392万トンまで落ち込んでいます。
また、天候や漁獲量といった国内の要因だけでなく、世界経済や海外の食文化といったグローバルな要因も、私たちの食べる魚の値段に大きく影響を与えているのです。
日々変動するこれらの複雑な要因をすべてメニューの固定価格に反映させるのは困難です。だからこそ、その日の適正な価格を示す「時価」という表示方法が、お寿司屋さんにとって合理的かつ誠実な方法となっているのです。
「時価」でも安心!予算内で楽しむための三つの対処法
「時価」の仕組みは分かったけれど、やはり値段が分からないのは不安、という方も多いでしょう。お会計の時に「こんなにするの!?」と焦るのは避けたいものです。ここでは、主に三つの選択肢をご紹介します。
まず、一つ目の方法は、「勇気を出して板前さんに直接値段を尋ねてみること」です。「値段を聞くのは失礼にあたるのでは……」と心配になる方もいるかもしれません。最近では多くのお店で、丁寧に尋ねれば教えてもらえることが増えています。
とはいえ、伝統的な高級店や格式を重んじるお店では、値段を尋ねることがマナー違反と受け取られる場合もあるでしょう。そのため、お店の雰囲気や方針に配慮しつつ、気になる場合は「本日のお値段の目安を教えていただけますか?」など、丁寧に相談してみるのがよいでしょう。もし心配な場合は、事前に電話などで問い合わせておくのも一つの方法です。
二つ目の方法は、先に予算を伝えて「おまかせ」で握ってもらうことです。「一人1万5千円でお願いします」などと伝えれば、板前さんはその日の良いネタを使い、予算内で満足できるコースを組み立ててくれる場合もあるでしょう。
そして三つ目の方法が、お店に入る前の「事前調査」です。公式サイトやグルメサイトには、コース料金や価格帯の目安が掲載されていることもあります。事前に確認しておけば、心の準備ができ、お店選びのミスマッチも防げるかもしれません。
どうしても予算と合わない……スマートにお店を出ることは可能?
メニューを見たり、値段を聞いたりした結果、残念ながら今日の予算とは合わない、と感じることもあるでしょう。
しかし、「お店の人に失礼だと思われたらどうしよう」と考えながら、お店を出るという選択肢をためらってしまう方もいるかもしれません。基本的には、価格や内容が自分の希望と合わないと判断すれば、注文せずに店を出ることは可能です。
とはいえ、無言で立ち去るのはお互いに気持ちのよいものではありません。お店への配慮として、ひと言添えてから席を立つのがよいでしょう。
ただし、事前に予約をしていた場合は注意が必要です。寿司店では、予約客のためにその日の仕入れや仕込みを行っていることが多く、直前のキャンセルは店側に迷惑をかける可能性があります。
おいしいお寿司と出会おう!
「時価」という表示には不安を感じるかもしれませんが、事前の情報収集やひと声かける工夫で、予算内で楽しむことも十分に可能です。
そして、万が一予算と合わなければ、失礼なくお店を出る選択肢もあります。自分に合った楽しみ方を知っておけば、無理のない範囲で外食を楽しむ判断ができるでしょう。
出典
水産庁 令和5年度 水産白書 全文
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー