家の片付けをしていたら、娘が子どもの頃に作った通帳が出てきました。最後の預金から“30年近く”経過していますが、本人なら引き出せますか?

配信日: 2025.06.15

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家の片付けをしていたら、娘が子どもの頃に作った通帳が出てきました。最後の預金から“30年近く”経過していますが、本人なら引き出せますか?
お小遣いやお年玉を貯めるため、小さいお子さんのために預金口座を作ってあげたという方は多くいらっしゃるでしょう。
 
しかし、その存在を忘れてしまい数十年の月日がたってしまった場合、預金を引き出すことはできるのでしょうか? 本記事で見ていきましょう。
柴沼直美

CFP(R)認定者

大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
http://www.caripri.com

本人であれば基本的に預金を引き出すことは可能

結論からいうと、たとえ最後の預け入れから30年たっていても、銀行口座にある預金の権利は時効などで消滅することはありません。
 
民法上の消滅時効はありますが、金融機関側がそれを一方的に主張して引き出しを拒否することは、実務上ほとんどありません。ただし、10年以上入出金などの動きがないと「休眠預金」扱いになるケースがあります。
 

休眠預金になっている場合の対応

「休眠預金」の言葉の意味から確認しましょう。
 
休眠預金とは、最後の取引から10年以上動きのない預金口座を指します。2019年から、こうした口座のお金は「休眠預金活用法」により預金保険機構に移管され、民間団体による公益活動に使われています。
 
ただし、本人が請求すればいつでも払い戻してもらえます。銀行に行って、「休眠預金を引き出したい」と伝えれば対応してくれます。
 

引き出し手続きの流れ

引き出しには、以下の手続きが必要です。まず以下のものを準備します。


1. 通帳(残っている場合)
2. 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、健康保険証など)
3. 印鑑(登録印があれば理想ですが、紛失していても対応してもらえます)
4. キャッシュカード(ある場合)

次に、手続きの手順についてみていきましょう。まず、銀行の窓口へ通帳と本人確認書類を持参し、口座の状態が休眠かどうかを確認します。そのうえで、所定の申請書に必要事項を記入します。
 
こちらを提出すれば、銀行の窓口で内容確認後、預金を払い戻しできます。印鑑がない場合は、「印鑑喪失届」などを別途提出して対応してもらえます。
 

銀行名・支店名が変わっていた場合はどうすればいい?

10年以上も出し入れがない場合、口座を解説した銀行が合併や統合などで変わっている場合、あるいは支店がなくなっていたり、統合されていて支店名が変わっていたりすることがあります。
 
そのような場合でも、銀行業務を引き継いだ金融機関が通帳に記載された支店名や口座番号から対応してくれるので、現在の金融機関に連絡しましょう。
 

そのほかよくある質問

よくある質問として、「印鑑も通帳も紛失してしまった」という問い合わせが多いですが、本人確認書類があれば大丈夫です。印鑑は再登録、通帳は再発行されることもあります。
 
また、「親が代理で引き出すことはできるか?」という質問もよく聞かれます。こちらについては、 原則として、現在の名義人本人(今回の場合は娘)が行く必要があります。未成年時に作った口座でも、今ご本人が成人していれば、本人確認のうえで引き出すことが可能です。
 

まとめ

通帳を作ってから30年、お嬢さまは大人になられるという長い時間を経過していても、当時のお金はきちんと守られています。金融機関の窓口で丁寧に対応してもらえるので、安心して手続きを進めてください。
 
事情があって難しい場合は、事前に銀行に電話で相談すると、代理人手続きや委任状の案内もしてもらえます。いきなり出向くのは抵抗がある場合は、電話での事前照会やオンライン問い合わせなどを活用することをおすすめします。
 
まずは通帳に記載されている銀行の連絡先を調べて、確認するのがベストでしょう。
 

出典

一般社団法人全国銀行協会 休眠口座ってご存じですか?
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
 
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者

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