実家の固定電話には「勧誘の電話」しかかかってきません。月々の基本料金もかかるので、引っ越しを機に解約したいのですが…今も持つ意味はあるのでしょうか?
配信日: 2025.06.13


1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
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固定電話はどのくらい普及しているのか
日本の固定電話の普及率は、年々減少傾向にあります。
総務省の「令和6年版 情報通信白書」よると、2013年の固定電話の世帯普及率は79.1%、スマホは62.6%だったのが、2023年には固定電話は57.9%、スマホは90.6%となっています。10年間で固定電話の世帯普及率は8割から6割弱へ減少し、スマホは6割から9割と増加しています。ほぼすべての世代でスマホが主流になっています。
インターネット通話の普及
従来の電話回線を使った通話では、スマホの通話料は固定電話より割高です。しかし、LINEの音声通話、Facebook MessengerなどのSNS通話といったインターネット通話を利用すれば、通話料は無料です。
データ通信料はかかりますが、別途インターネットの契約をしてWi-Fi環境で使用すればそれもかかりません。費用の面からも、固定電話よりもスマホが選ばれています。
固定電話が必要な人は?
■携帯の電波が弱い、届かない場所にいる人
ビルの奥まった場所や山間部など、携帯の電波が弱い、届かない場所にいる人は、安定的な通話のために固定電話が必要です。ただし、インターネットの契約をして、通話はインターネット通話だけで間にあう場合は、その限りではありません。
■ビジネスや信用の確保したい人
会社やお店といったビジネスにおいては、固定電話番号があることで信用度が上がることがあります。取引先や顧客にとって、固定電話がある会社やお店のほうがより安定した印象を与えるのではないでしょうか。
事業を行うのに固定電話が必須の業種もあります。例えば、宅地建物取引業では、宅地建物取引業免許を受けるのに固定電話が必須です。個人でも、不動産の購入で住宅ローンを申し込むときなど、固定電話がないと審査が不利になることもあります。
固定電話は必要ない?
固定電話が必要かどうかは、どのような環境で通話を利用するかによって変わってきます。都市部に住んでいて、1人1台スマホを持っている家庭で、固定電話を利用する機会がほぼゼロであれば、固定電話は必要ないかもしれません。
固定電話を置かなければ、スペースが空いて有効に使えます。もしも固定電話がないことで不自由を感じたのなら、そのときに再契約を検討しましょう。
筆者は、世界遺産・熊野古道のなかの“ポツンと一軒家”に住んでおり、自宅では携帯の電波が届きません。LINEなどのインターネット通話を利用しないと、スマホで音声通話はできません。プライベートなやり取りはインターネット通話を利用できますが、それ以外の通話のために固定電話が必要です。
現在では、セキュリティーの強化により本人確認のSMS(ショートメッセージ)認証を求められるケースが多いです。固定電話では対応できず、スマホでSMSを受信するために車に乗って麓まで下りて対応することもあります。固定電話の必要性は、さらに低下していくかもしれません。
出典
総務省 令和6年度版 情報通信白書の概要 第II部 情報通信分野の現状と課題
執筆者 : 正田きよ子
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者