昨年「公営住宅」に入居しました。年収が「200万円から350万円」に増える見込みなのですが、すぐに「退去」しなくてはならないのでしょうか。
配信日: 2025.06.12

急な退去要請に慌てないためにも、制度の内容を把握しておくことが必要です。
今回は、公営住宅の収入基準や退去義務について解説します。公営住宅の収入基準について気になる方は本記事の内容をご参考にしてください。

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目次
収入が上がったら公営住宅は退去しなければならないのか
公営住宅は、低所得者を対象とした公共賃貸住宅であるため、収入が一定基準を超えた場合には、退去を求められる可能性があります。
入居後3年以上経過し、収入が一定の基準を超えた場合は「収入超過者」と認定され、通常より高い家賃が課され、退去への努力義務が発生します。
また、5年以上経過し、2年連続で基準(例:名古屋市の場合は月額31万3000円超)を超えると「高額所得者」として認定され、近隣の民間賃貸住宅並みの家賃が課せられるほか、住宅の明け渡しが請求されるようです。
退去の際には公社や自治体などから文書で通知があり、相談や計画の調整が行われるため、急な退去を迫られることはありません。収入基準の詳細や手続きについては、事前に管轄の管理機関や自治体へ確認することが重要です。
公営住宅の家賃の見直しについて
公営住宅の家賃は、入居者の収入や住宅の立地条件などを基準に算定されます。家賃の額は「家賃算定基礎額」を基に、地域や住宅特性に応じた係数を掛け合わせて決定されます。
家賃を決定する際は、近隣同種の住宅の家賃以下であることが条件です。家賃の見直しは毎年度行われ、収入や近隣住宅の状況を考慮に入れた調整が実施されます。
また、収入超過者や高額所得者には、収入に応じた加算家賃が適用されます。収入超過者の場合、本来家賃に近隣家賃との差額の一部が加算され、高額所得者は近隣同種の住宅の家賃と同等の額が適用されます。
住宅明け渡し義務の条件
公営住宅では、収入や居住期間に応じて、住宅を明け渡す義務が定められています。
高額所得者については、公営住宅法第29条第1項に基づき、5年以上住み続け、直近2年間の収入が基準を超えた場合、事業主体から明け渡しを請求されることもあるでしょう。
さらに、明け渡し請求を受けたにもかかわらず期限を過ぎても住宅を退去しない場合、公営住宅法第29条第7項により、周辺と同等の条件の住宅の家賃の2倍以下の金額を徴収されることもあります。
収入が上がってもすぐに退去を求められることはないが、家賃の見直しが必要となる
今回は公営住宅の収入基準や退去義務について解説しました。公営住宅は世帯構成や居住期間に応じて対応が異なり、収入が増えた場合でもすぐに退去を求められるわけではありません。
ただし、3年以上住んでいる入居者が収入基準を超えた場合、住宅を明け渡す努力義務が課されるため、明け渡しを請求されないためにも、事前に制度内容を確認することが必要です。
出典
e-Gov法令検索 公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー