30代の息子が「結婚相談サービスに370万円払う」と言い出しました…これって“詐欺”の可能性はないのでしょうか?
配信日: 2025.06.12

そのような状況で、たまたま手に取った雑誌に「女性を紹介します」という記載があったら、気になってしてしまうでしょう。しかし、「すてきな人と出会いたい」という気持ちにつけ込み、さまざまな名目でお金を支払わせる詐欺が発生しています。

CFP(R)認定者
相続診断士
終活カウンセラー
確定拠出年金相談ねっと認定FP
大学(工学部)卒業後、橋梁設計の会社で設計業務に携わる。結婚で専業主婦となるが夫の独立を機に経理・総務に転身。事業と家庭のファイナンシャル・プランナーとなる。コーチング資格も習得し、金銭面だけでなく心の面からも「幸せに生きる」サポートをしている。4人の子の母。保険や金融商品を売らない独立系ファイナンシャル・プランナー。
交際あっせん詐欺の被害額
警察庁の特殊詐欺対策ページの情報から、令和6年中に特殊詐欺と認知された件数は2万1043件、合計被害額は721億7727万5370円となっています。
そのうち、最も発生件数の多いのは東京都で3494件発生し、被害額は152億9910万円です(出典:警察庁特殊詐欺対策ページ令和6年中の情勢)。
また、東京都が公表している「特殊詐欺認知状況」によると、手口別の内訳は交際あっせん詐欺が2件で、被害額が約691万円の発生でした。ところが、令和7年になってから4月末時点ですでに5件発生しており、被害額は約2744万円にも上っています。
1件当たりの平均被害額にすると、令和6年で約345万円、令和7年で約548万円であり、1件当たりの被害金額が大きくなっています(出典:都民安全総合対策本部ホームページ(令和6年、令和7年))。
では、拡大する交際あっせん詐欺とは、どのような手口なのでしょうか。
会員登録料、保証金等、さまざまな名目でお金を要求してくる
交際あっせん詐欺とは、雑誌やメールに記載された「女性紹介(男性の場合もあります)」等の案内に申し込んできた人に対して、会員登録料金や保証料等の名目で金銭等をだまし取る(脅し取る)手口です(引用:警察庁 特殊詐欺対策ページ「交際あっせん詐欺」より)。
「女性紹介」の記載を見て業者に連絡を取ると、「会員登録をすればすてきな女性を紹介する。登録するには、登録料○万円が必要」と言われます。出会いの場を求めているから申し込んだので、「すてきな人と会えるなら」と思い、申込者は登録料を支払います。
すてきな女性会うことができて喜んでいる申込者に、業者から「相手の女性があなたのことを気に入っている」と聞かされます。当然、うれしくなるでしょう。そして続けて、「相手を保留しておくためには保証金が必要」と言ってきます。
申込者は、ほかの人に取られたくないという気持ちになり、言われるまま保証金を支払ってしまいます。
素性の分からない相手がお金を要求してきたら要注意
この事例のほかでは、出会い系サイトと同様に、知人の振りをして「元気ですか?」などと、いきなりメールを送ってくることもあります。SNSを通じて、メッセージが来ることもあります。
会員登録しても、メールでのやり取りだけで、なかなか会うことができない場合もあります。この場合は、相手の女性になりすましてメールを送っている可能性があり、もう少し払えば確実に女性に会えるといって、次々にお金を要求してくる場合があります。
「女性紹介」「必ず交際できる」(補償はどこにもありません)のほか、「高額バイト」「デートするだけでお金がもらえる」と言って、登録料をだまし取るものもあります。甘い言葉に注意しましょう。
ネットで知り合った人、雑誌に掲載されていた「女性紹介」の広告等、安易に連絡をしないことが大切です。素性の分からない相手がお金を要求してきたらすぐに信用せず、お金を払う前に家族や警察に相談しましょう。
地方自治体で結婚相談ができます
地方自治体は、こども家庭庁の「地域少子化対策重点推進交付金」を活用し、地域結婚支援重点推進事業や結婚支援コンシェルジュ事業を行っています。公共の結婚相談所や民間企業と連携した取り組み、人工知能(AI)やビッグデータにより効果的に相手を探せるなど、出会いの場の提供がされています。
すてきな人と出会いたいと思ったら、まず、お住まいの自治体の窓口へ相談されてみてはいかがでしょうか。
出典
警察庁 特殊詐欺対策ページ その他の手口
都民安全総合対策本部 特殊詐欺認知状況(令和6年)
都民安全総合対策本部 特殊詐欺認知状況(令和7年)
群馬県警察 特殊詐欺の手口と被害防止対策「交際あっせん詐欺」
岐阜県警察 特殊詐欺について〜被害に遭わないために〜
こども家庭庁 結婚に関する現状と課題について
執筆者 : 林智慮
CFP(R)認定者