更新日: 2019.06.28 その他
高校の授業料をサポートしてくれる「高等学校等就学支援金制度」とは
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
「高等学校等就学支援金制度」とは
「高等学校等就学支援金制度」は2010年から始まり、今年で9年目になります。2010年以降で、お子さんが高校に進学された多くのご家庭が、この制度の恩恵を受けています。
それでは、簡単にポイントをまとめてみましょう。
〇受給資格
高校等(高専・高等専修学校等を含む)に在学する、日本国内に住所を有する方。ただし、保護者等の住民税所得割額が50万7000円以上の方の場合、対象にはなりません。
年収の目安でいうと、910万円以上の方です。
〇支給額
・公立学校に通う生徒:11万8800円/年(国立高校の場合、実質授業料の負担が0円)
・私立学校に通う生徒:所得に応じて支給額が異なる。
公立高校に通う場合、月に換算すると9900円が支給されるわけですが、気になるのは、お子さんが私立の高校に通う場合です。所得に応じてとは、どのような意味でしょうか。
〇全日制高校の場合の支給額
私立高校の場合、住民税(都道府県民税・市町村民税)の所得割の合計額に応じて、公立高校の支給額である11万8000円を基準に、その1.5倍、2.0倍、2.5倍と金額が加算されていくようになっています。
それぞれを月額換算すると、表の右から、0円、1万4850円、1万9800円、2万4750円と高くなっていきます。
そして、高等学校等就学支援金は、保護者や生徒が直接受け取るわけではなく、生徒本人に代わって学校が国や都道府県から受け取る仕組みになっています。
このとき、国公立の高校については授業料が0円になるため差額は生じませんが、私立高校の場合、授業料が就学支援金を上回る分について負担する必要があります。
教育について国の支援制度は充実してきている
2019年10月から保育園・幼稚園などの利用料の無償化が始まる予定です。
小学校と中学校は義務教育であるため、授業料はもともと無償です。そして、2010年から始まった「高等学校等就学支援金」も、国公立なら無償化、私立なら住民税ベースの所得に応じて支援されるようになっています。
これだけ見ても、昔と比べ随分変わったと思います。それなのに、なぜ教育資金が高い、進学資金が高いと私たちは思うのでしょうか。
ひとつに、塾や習い事などの、授業料以外の学校外教育費の必要性が高いことが挙げられるかもしれません。また、子育て世帯にとっては、子どもにかかるお金を準備することが当面の課題になりますが、同時に老後に向けた生活資金作りについても考える必要があります。
家計面では、今必要なお金と将来必要なお金のバランスを整えることが重要になってきますが、それを難しくしている原因が、教育資金や進学資金でもあります。
これについて、どのように考えるか、そして、どのように工夫するか。国の準備している制度の意味や内容を知ることは、とても重要なことなのかもしれません。次回は、「高等教育の無償化」についてお伝えしていきます。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)